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レイズ、ネオクラシック世代への新たな提案 ボルクレーシングの3兄弟「VAC」
2022年9月13日 12:38
旧車ブーム時代にいち早くヴィンテージモデル「TE37V」を投入
ホイールメーカーのレイズ(RAYS)は、15年ほど前から旧車向けの製品を投入しているが、今そのブームがさらに大きくなっているというので、その流れを第一商品企画部の加藤照幸部長に聞いてみた。
製造されてからかなり年月の経った車両に対して使われる“旧車”という言葉だが、加藤氏いわく「チューニング業界では20年ほど前ぐらいから、1960年代~1970年代のクルマ、例えば“ハコスカ”“ケンメリ”と呼ばれるスカイラインやS30のフェアレディZなどに対して使われ始めた」と回顧する。
さらに当時は、「現在の旧車のボリュームを100とすると、当時は10ぐらいで市場としての規模はぜんぜん小さかった」といい、旧車を取り扱う雑誌もあったが当時はまだヤンチャなユーザーが大半だったと振り返る。また、そのころ旧車用ホイールといえば、旧車専門ショップがホイールメーカーに依頼して製作したオリジナルホイールが主流だったという。
しかし、そんな流れが変わってきたのが、1980年代の「カローラ レビン/スプリンター トレノ(AE86)」や、初代「ロードスター(NA)」などが旧車にカテゴライズされはじめたあたりとのことで、加藤氏は当時、旧車にカテゴライズされる車種がどんどん増えていくことを見据えて、2011年に旧車をターゲットにした小口径、深リム、4穴仕様の「TE37V」を発売したという。ちなみに「V」はヴィンテージ(Vintage)頭文字。
新世代の旧車=ネオクラシック時代の到来
そして7~8年前から、1980年代後半~1990年代に登場した第2世代と呼ばれるスカイラインGT-R(BNR32、BCNR33、BNR34)やシルビア(S13、S14、S15)、フェアレディZ(Z32)、スープラ(JZA70、JZA80)、RX-7(FC、FD)、インプレッサ(GC8、GDB)、ランエボ(ランサーエボリューション)シリーズなども旧車カテゴリーに加えられはじめ、旧車の母数は一気に増加。また、こういった年代のクルマは「ネオクラシック」や「ヤングタイマー」と、次第に旧車とは区別され始めたという。
また、アメリカの映画「ワイルドスピード」でブームとなったJDMスタイルなどの普及や、日本でも規制緩和によりオーバーフェンダーが装着しやすくなるなど、新たな嗜好性やチューニングメニューが登場。そのころ日本ではまだ鍛造ワイドホイールのマイナスインセットの製品がなく、加藤氏は「鍛造」「大口径」「深リム」「5穴仕様」のホイール開発に着手。
デザインは、第2世代GT-Rなどが新車で誕生し、一世風靡していた1980年代後半~1990年代に大流行したボルクレーシングの「GROUP C」や「GROUP A」を、21世紀に似合うデザインと最新技術を駆使して再構築。そして、2020年に「GROUP C」のデザインを踏襲した「21C」。2021年に「TE37V」の10周年記念モデルとして大口径と特許技術A.M.T.による意匠を加えた「TE37V 10th Anniversary Edition」。2022年には「GROUP A」のスポークデザインを継承した「21A」と、ネオクラシック世代のチューニングカーに似合う新たなホイールを次々と開発。
加藤氏は、この3つの商品名TE37V、21A、21Cの最後のアルファベットを並べて「VAC=Vintage and Custom」とネーミングしている。
定番ホイールに最新技術を融合した「TE37V 10th Anniversary Edition」
TE37V自体は2011年に誕生しているが、当時の製品は小口径、深リム、4穴仕様の旧車向けがメイン。そこでネオクラシック向けに大口径、深リム、5穴仕様も誕生。スポークには、初代TE37のステッカーを、レイズの特許技術A.M.T.によるマシニングで精巧に再現。さらに、今年7月には廃盤となっていた旧車向け14インチをリバイバルし、最深のディープリムスタイルを誇る「TE37V 2324モデル」として期間限定で再販を開始。また、2024年にかけてTE37Vの15、17、18インチ仕様もブラックのみだが限定で発売する予定という。
クロススポークでメッシュ感を表現する「21A」
レイズ初の鍛造モデルとして1986年に開発された「GROUP A」。クロススポーク=メッシュというデザインテーマは、レイズの技術革新とともに鍛え上げられ、今なおレイズにとっても特別なデザインアイコンという。最新モデルの21Aでは、円錐状に掘り込まれたセンターサークルの外縁には、特許技術A.M.T.によるマシニングロゴが刻まれる。現在18インチのみの設定だが、19インチの開発も決定。2023年のSEMAショー開催頃の発表を予定しているという。
スポークの凹みが特徴のボルクレーシング「21C」
スポークにディンプル形状の凹みを設けたデザインは、往年の「ボルクレーシング GROUP C」から受け継がれてきた伝統の形。当時のデザインを現代の技術で鍛造1ピースモデルへ落とし込み、ノスタルジィでありながら最新でもある深リムスポーツモデルとして具現化させた。サイズにより、S(39mm)からLLL(108mm)までの5種類のリムタイプとコンケイブの異なる3種類のフェイスデザインを設定し、鍛造1ピースで最大12.0Jまで対応する。
加藤氏は「2000年代に入ると日本ではミニバンやVIPブームが加速したうえ、排ガス規制が厳しくなったこともあり、新車のスポーツカーの登場は減ってしまった。そのため旧車にカテゴライズされるスポーツカーの増加は今がピークともいえます。とはいえ、今後も限定モデルやイヤー(年次)モデルなど、積極的に旧車やネオクラシックを楽しむユーザーのためにラインアップを拡充していく予定です」と語ってくれた。