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メルセデス・ベンツ、初のラグジュアリーEV「EQS」 107.8kWhのバッテリを搭載し航続可能距離は700kmを達成

2022年9月29日 発表

EQS 450+:1578万円

メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+:2372万円

メルセデス・ベンツの新型ラグジュアリーEV「EQS」

「EQS 450+」「メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+」2モデルをラインアップ

 メルセデス・ベンツ日本は9月29日、同社として初のラグジュアリーEV(電気自動車)「EQS」を発表。同日から「EQS 450+」を発売すると同時に、「メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+」の予約を開始した。価格はEQS 450+が1578万円、メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+が2372万円。なお、メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+の納車は10月ごろの予定。

 EQSは、人間の視覚、聴覚、触覚、嗅覚を通じて、次世代のラグジュアリーを感じられるEVとして誕生。メルセデス・ベンツが長年培ってきたラグジュアリーと快適性の理想を実現した。

 EQS 450+はリアアクスルにeATS(電動パワートレーン)を搭載し、最高出力245kW(333PS)を発生。容量107.8kWhのリチウムイオンバッテリを搭載し、航続可能距離は日本で販売されているEVの中で最長となる700km(WLTCモード一充電走行距離)を達成している。

EQS 450+

 メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+はフロントとリアにeATSを備えており、最高出力は484kW(658PS)を発生(RACE START使用時は最大560kW[761PS])。EQS 450+と同じ容量となる107.8kWhのリチウムイオンバッテリを搭載し、航続可能距離は601km(WLTCモード一充電走行距離)となる。また、トルクシフト機能によってフロントとリアの電気モーター間で駆動トルクの連続可変配分が行なわれるため、前後駆動力配分は常に効率的かつ最適化される。

メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+

 なお、メルセデスはEVにとって中核を担う技術となるバッテリの本体だけでなく、バッテリを管理するソフトウェアも自社開発している。

 充電については、6.0kWまでの交流普通充電(200V・30A充電の場合)と、150kWまでの直流急速充電(CHAdeMO規格)に対応。直流急速充電(CHAdeMO規格)で電池残量10%から80%までにかかる充電時間は、50kWタイプで約110分、90kWタイプで約55分、150kWタイプで約48分とのこと。

EV専用プラットフォームを新たに設計・開発

EVならではの内外装デザインを採用

 エクステリアデザインは、専用のプラットフォームを新たに設計・開発するだけなく、EVならではのパッケージの有用性を活かし、空力という機能性も兼ね備えた先進の美しさを表現。ゆったりとした面の構成やつなぎ目の少なさ、シームレスデザインといった「Sensual Purity(官能的純粋)」の思想を反映している。なお、エアロダイナミクスについては、空気の流れを最適化することによりCd値0.20という量産自動車での最高値を達成している。

エアロダイナミクスイメージ

 スポーティで低く構えたフロントは、グリーンハウスをまたいで続く「ワン・ボウ」(弓)のラインとサッシュレスドアにより、クーペのようなシルエットを形成。フロントにエンジンやトランスミッションを縦置きする必要がないことから、メルセデス・ベンツの典型的なシルエットとは異なるキャブフォワードデザインを採用し、通常よりも前方に位置するAピラーと前後のショートオーバーハングにより、ゆったりとしたキャビンスペースを確保した。

 フロントフェイスでは、超音波センサー、カメラ、レーダーセンサーなど運転支援システムのさまざまなデバイスが「ブラックパネル」ユニットに統合され、表から見えないように組み込まれている。また、ボンネットは左右フェンダーまで回り込んでシームレスなデザインとしているだけでなく、高速巡航時にボンネットが浮く現象を抑え、空力的にも有効な機能性を備えている。ベルトラインに配置されたドアミラーは、空力と低騒音が最適化されたデザインとなり、格納式のシームレスドアハンドルは全車に標準装備される。

 ルーフからなだらかにつながるクーペのようなリアエンドは官能的なデザインとする一方、テールゲートにスポイラーを設けることによりスポーティな印象も持ち合わせ、コントラストを演出。リアカメラはスリーポインテッドスター裏側の汚れが付かない位置に格納される。LEDリアコンビネーションランプの内部は曲線的な螺旋構造となっており、立体的に映るような工夫が施されているほか、フロントと同じくリアにも連続したライトバンド(光の帯)が設けられ、メルセデスEQモデルであることを強調している。

 なお、左フェンダー側面のサービスフラップはウォッシャー液補充のためのもので、ボンネットは室内用エアフィルター交換などのメンテナンス目的の場合にサービス工場でのみ開閉可能となっている。

 インテリアでは、機能や操作は基本的にSクラスと同様となるが、EVならではのアレンジが各部に施されるとともに、NVH対策を徹底的に行ない、静粛性はこれまでにないレベルに達しているという。また、HEPAフィルターを採用した空気清浄システムにより、車内の空気をクリーンに保つとしている。

HEPAフィルターのイメージ

 インテリアデザインにおいてはデジタルな要素を取り入れ、3枚の高精細パネル(コクピットディスプレイ、有機ELメディアディスプレイ、有機ELフロントディスプレイ[助手席])とダッシュボード全体を1枚のガラスで覆うワイドスクリーンで構成されるMBUXハイパースクリーンを採用。そのまわりを細いシルバーのフレーム、エアアウトレットを組み込んだルーバー状のトリムなどで囲んでいる。

インテリアのイメージ

 左右のエアアウトレットはジェットエンジンのタービンを模したデザインで、高度な精密技巧とデジタル技術を駆使したMBUXハイパースクリーンとのコントラストを通じて、アナログとデジタルの共存という遊び心を演出。複雑な形状を持つタービンブレードは、エアコンの空気を効率よく配分する機能を備えている。

 センターコンソールの前部はダッシュボードにつながって下側は宙に浮いたような構造となっており、EVプラットフォームの採用によって従来のようなセンタートンネルが必要なくなったことを視覚的に示している。

 EQS 450+には、デザインはシンプルながら造形美にこだわったシートを採用。サイドサポートの「ラップアラウンド」形状は、乗員の体を支えるとともに、シートの中央部とのコントラストによる立体感を生み出している。オプションのAMGラインパッケージではスポーツシートを標準装備。スリムな一体型の形状が特徴で、シート表面は本革のカバーを上からかけたように見えるデザインが施されている。また、シートは輪郭に沿って照明付きパイピングが施されており、夜間走行の際には雰囲気のある室内空間を演出する。

 走行に関係するインフォメーションは2つのメーターの間に表示され、ディスプレイの表示は複数のスタイルからカスタマイズ可能。EQS 450+は、スポーティ、クラシック、ジェントル、ナビ、アシスト、サービスの6つ、メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+のスタイルは、TRACK PACE、Super sport、スポーティ、クラシック、ジェントル、ナビ、アシスト、サービスの8つが用意されている。

 また、EQS 450+にオプション設定、メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+に標準装備されているARヘッドアップディスプレイでは、進むべき道路がフロントウィンドウの約10m先の景色に重ねて矢印で表示され、クルマの進行方向が変わるとそれに従って矢印も動き、常にどの方向に進むべきかを分かりやすく表示する。