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日本ガイシ、独自のセラミック技術を用いたIoTデバイス用電源「エナセラ」など「CEATEC 2022」出展

2022年10月18日~21日 開催

CEATEC 2022のブースイメージ

独自のセラミック技術を用いた電子電気機器用を展示

 日本ガイシは、10月18日~21日の期間に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催される「CEATEC 2022」のトータルソリューションエリアに出展し、IoTデバイス用電源「EnerCera(ナノエラ)」や高周波デバイス用半絶縁性GaNウエハー「FGAN」など、デジタル社会を支える製品を展示する。

 23回目となるCEATECは「経済発展と社会課題の解決を両立する『Society 5.0』の実現を目指し、あらゆる産業・業種の人と技術・情報が集い、『共創』によって未来を描く。」をテーマに掲げ、オンラインに加え3年ぶりにリアルでも開催。

 日本ガイシは「スマート社会をますます快適に~セラミック技術で貢献していくデジタル社会~」をテーマに出展し、「Society5.0」の実現に寄与するIoTデバイス用電源「エナセラ」をはじめ、高周波デバイスや大電力パワーデバイスの特性向上を可能にする窒化ガリウム(GaN)ウエハー「FGAN」、高機能な半導体・電子部品の製造に寄与する異種材料接合ウエハーのほか、半導体素子を保護するセラミックパッケージ、超微細かつ高速動作が可能なチューブ型アクチュエーターなど、独自のセラミック技術を用いた電子電気機器用セラミック製品群を展示。そのほかにも、大容量蓄電池の「NAS電池」で充放電した再生可能エネルギーの環境価値を担保し取引を可能にするシステムも紹介するという。

日本ガイシの出展内容

IoTデバイス用電源「EnerCera(エナセラ)」

 超小型・薄型のリチウムイオン二次電池「EnerCera」は、105℃でも使用できる高耐熱な二次電池で、セラミックスの電極を使用しているため耐久力が高く、ファクトリーオートメーション(FA)やプラントなどの過酷な環境下で動作するデバイスや、センサーのバックアップ電源として利用できる製品。

リチウムイオン二次電池EnerCera
バックアップ電源として利用されるEnerCeraのイメージ

 また、内部抵抗が低いためわずかな電力でも蓄電できるという特徴があり、太陽光発電やワイヤレス空間電力伝送(WPT)といった給電技術と組み合せることで、物流向けの温湿度トラッカーなど、電池を交換せずに長期間の使用が可能な自立型IoTデバイスを実現可能という。

 ブースでは、EnerCeraを活用した自立型IoTデバイスの具体的な使用シーンを体感できる動画や、AR(拡張現実)展示で用途例を紹介するほか、開催初日18日の12時~13時に、CEATEC会場内にある企業セミナー会場にて、日本ガイシ 執行役員 NV推進本部ビジネスクリエーション担当 大和田巌氏による「IoTデバイスの電源問題を解決!自立型IoTの社会実装をEnerCeraで実現」と題した講演も実施する(聴講希望者は事前登録が必要)。

メンテナンスフリーを実現するIoT用バッテリのイメージ

高周波デバイス用半絶縁性GaNウエハー「FGAN」

 FGANは、日本ガイシ独自の液相結晶成長法により低欠陥密度を実現したGaNウエハー。従来の高周波デバイスは、SiC(シリコンカーバイド)やSi(シリコン)などの異種材料基板を用いて作製するため結晶内に欠陥が多く、高電圧・高周波動作時に出力や効率が低下する課題があった。

 そこで日本ガイシの手掛けたFGANは、結晶内の欠陥が少ないため、高周波化・高出力化が求められる5Gや6Gなどの無線通信基地局や各種レーダー、衛星通信向け高周波デバイスの性能を向上させるとしている。

 ブースでは半絶縁性FGANに加え、レーザーダイオードやパワーデバイス用の導電性FGANも展示する。

4インチ半絶縁性FGAN(左)と4インチ導電性FGAN(右)

異種材料接合ウエハー(複合ウエハー)

 異種材料接合ウエハーは、異種材料接合技術と高精度な研磨技術により実現した複合ウエハーで、異種材を接合することで単一材料のウエハーでは実現できない熱膨張の抑制、機械的強度の確保、熱伝導性の向上などの性能や機能を引き出すことが可能になったという。

 ブースでは焼結PZT複合ウエハーと、石英ガラス複合ウエハーを展示。焼結PZT複合ウエハーは、電気を加えると変形し、変形させると電気が発生する圧電材料であるPZTを焼結法で作製し、ベース材料と接合し研磨したウエハーで、ワイヤレススピーカーや自動運転用センサーなどに使用されるもの。ベース基板にSiやサファイア、水晶、ガラスなどの任意の材料が選択できる。

 また、石英ガラス複合ウエハーは、石英ガラスと放熱性の高い材料のベース基板を接合したウエハーで、発熱を抑えることができるので、5Gや6Gといった高速通信用の基地局のモジュールやアンテナの高性能化に寄与する。

焼結PZT複合ウエハー

大容量蓄電池「NAS電池」

 NAS電池は日本ガイシが世界で初めて実用化したメガワット級の大容量蓄電池で、大容量、高エネルギー密度(コンパクト)、長寿命を特徴とし、高出力電力を長時間安定して供給することを可能にした。

 日本ガイシでは、リコーと2022年4月からブロックチェーン技術を活用し、再エネの発電から消費、余剰発電のNAS電池への充放電も含めたすべてのプロセスのトラッキング(追跡)を行なう実証事業に取り組んでいて、展示ブースではトラッキング状況の見える化システムを紹介する。

実証事業を進める恵那電力のNAS電池
恵那電力の太陽光発電設備の1つ