ニュース

ラリージャパン開幕前日、新城市・豊田市・中津川市・恵那市・岡崎市の担当者が取り組みを語る

ラリージャパンが明日開幕する。各自治体担当者によるオンライン合同取材が実施された

 ラリージャパン開催の前日となる11月9日、ラリーのスペシャルステージなどが設置される愛知県・岐阜県の自治体担当者を対象としたオンライン合同取材会が開催された。

 移動に公道を使用するラリーは自治体の協力が欠かせないものであり、自治体にとっても世界的ラリーが地元で開催されることは日本や世界への発信という意味で大きなインパクトがあるイベントである。しかしながら、すべての住民が最初からラリーという競技を理解してもらえているわけではなく、テスト的に行なってきた2019年のセントラルラリーや地元イベントなどを通じて、住民との理解を深めてきたという。

 それらの活動もあって、2020年の開催予定からコロナ禍などで2年ずれ込んだものの、いよいよ明日、WRC(世界ラリー選手権)最終戦ラリージャパンが開幕する。ラリーのステージなどが設置された各自治体の担当者は、どのような気持ちでWRCを迎えるのだろう。合同取材会で得られたコメントなどを紹介する。

新城市 観光課ツーリズム振興係 係長 西田和裕氏

 新城市は新城ラリーの開催などでラリーが市民に理解されている。新城の盛り上がりがWRCの誘致につながったと言ってくれる人もいてうれしい。新城ラリーは2023年に20回目の開催を迎える。WRCの開催を2023年3月に行なわれる新城ラリー20周年の盛り上げにつなげていきたい。

豊田市 ラリーまちづくり推進課 課長 塚田知宏氏

 WRCが開催される10月・11月を「ラリーオータム」と位置づけて、「ラリーを応援しよう」「参加して楽しもう」「ラリーを支えよう」という3つの取り組みを実施。市民にラリーを楽しんでもらおうとしている。シティドレッシングとしては、マンホールのふたにWRCのラッピングを合計22か所(市役所の中に、さらに2か所)行なっている。注目してほしい。

中津川市 政策推進課 主任 河合一輝氏

 ラリーやモータースポーツに接する機会はなかった市。手探りで進めてきた。SSで見られるポイントが少ないところで、中津川市のどこかにリフュールエリア(給油ポイント)置いていただいて、リエゾンなどでラリーを市民に見てもらおうという工夫を事務局と話をして行なった。中津川駅から歩いて10分のところにリフュールエリアを設置して見てもらうことにした。イベントなども行なっていく。

恵那市 まちづくり企画部 WRC活用推進室 主査 小原朱音氏

 スタートとしては、2017年に日本で唯一、女性限定のラリーイベント「ウィメンズラリー」を実施する。徐々に盛り上がってきており、WRCが終わった後の12月にイベントを実施していく。今年は男性も参加可能なオープンクラスも用意した。年金保養施設の跡地を活用して、ジムカーナやヒルクライムなど実施している。

 1人に1台というクルマの所有率となっている。住民の生活にクルマは欠かせない。

岡崎市 スポーツ振興課 係長 小川貴之氏

 岡崎と言えば、なんといっても徳川家康の岡崎城。その城下でラリーマシンが走る。岡崎市は中嶋悟さんや中嶋一貴さんらの中嶋ファミリーの地元としてお付き合いがあり、モータースポーツには取り組んできた。その中でセントラルラリーを開催して、ラリーの威力を知った。とくに今回、岡崎城の下で走らせたいと思っている。

 水素GRヤリスやトヨタの新しいラリーマシンがサプライズ的に岡崎のSSを走ることについては「やったーという感じ」。岡崎城と合わせての絵を撮っていただければ。

ラリージャパン事務局 事務局次長 渡辺文緒氏

 今はちょうど(開幕前のチェックのため)恵那のSSでレッキ(事前に走行して、コースを確認するもの)をしている。(WRCは)広い地域で、自治体のみなさまの協力があってできたものである。


 もともとラリーを開催していた自治体はWRCを活用してさらなる発展を目指し、ラリーそのものが初めての自治体は、まずは住民の理解からという違いが見られた。しかしながら世界的イベントラリーが中京地区で開催されるのはどの自治体にとっても初めてであり、さまざまな盛り上げ策が紹介された。

 中京地区は、トヨタや三菱、そしてスズキ、スバル、ホンダなど日本の自動車メーカーの多くが工場を持つなど、ものづくりの盛んな地域でもある。WRCが実際に開催され、世界へ地区の魅力が発信された後、どのような変化があるのだろうか。世界的イベントが大きく育っていくことに期待したい。