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トヨタ、自動運転搭載GRヤリスでファン・トゥ・ドライブ スポーツドライビング可能な自動運転車 TRIギル・プラットCEOも来日

自動運転装置を搭載したGRヤリス

 11月13日、トヨタ自動車は報道陣向けに新型自動運転車を下山テストコース(Toyota Technical Center Shimoyama)で公開した。この新型自動運転車は自動運転車として安全に走るを目指したほか、TOYOTA GAZOO Racing WRCチーム代表ヤリ-マティ・ラトバラ氏のような安全・安心の運転技術を獲得することを目指して作られたもの。

 この開発にはトヨタのAI研究を行なうTRI(Toyota Research Institute、トヨタ・リサーチ・インスティテュート)が強く携わっており、TRIのCEOであるDr.ギル・プラット(Dr.Gill A. Pratt)氏、TRIでスープラのドリフト運転を手がけたDr.ジョナサン・ゴウ(Dr.Jonath Goh)氏も来日。トヨタ自動車からは、コネクティッドカンパニー Autono-MaaS 自動運転 担当(Chief Project Leader)鯉渕健氏、第2シャーシー開発部 チーフプロフェッショナル エンジニア 曽我雅之氏が参加。トヨタの自動転の考えを伝えた。

トヨタ下山テストコースをスポーツ走行する自動運転GRヤリス
自動運転の表示装置などが追加されている程度で、市販車のGRヤリスと同等
自動運転実験車には珍しくガソリンエンジンのみ。エンジンカバーにはヤリ-マティ・ラトバラ氏のサイン
開発中の8速ATが搭載される

 ギル・プラット氏は2016年のGTC 206で、「Chauffer(運転手)/Series Autonomy」と呼ぶ、レベル5、レベル4、レベル3と区分けされる、いわゆるAIが自律で運転する自動運転と、「Guardian Angel(守護神)/Parallel Autonomy」と呼ぶAIが人をアシストする自動運転の概念を提唱。多軸な自動運転の概念は、その後の自動運転の世界に大きな影響を与えた。

トヨタ自動車 コネクティッドカンパニー Autono-MaaS 自動運転 担当(Chief Project Leader)鯉渕健氏(左)と、第2シャーシー開発部 チーフプロフェッショナル エンジニア 曽我雅之氏(右)
TRI ギル・プラットCEO(左)とジョナサン・ゴウ氏(右)
TRI CEO Dr.ギル・プラット(Dr.Gill A. Pratt)氏による自動運転GRヤリスのプレゼンテーション

 今回は、ガーディアン(Guardian)を拡張する、Driving Sensei(運転の先生、以下センセイ)によって、運転がもっとうまくなる方法を教えるということをAIが行なうようになるという。

 ガーディアンとセンセイによって、より「高次元」の安全と、さらなるファン・トゥ・ドライブを実現。それを具現化した、自動運転を組み込んだGRヤリスを世界初公開した。

 このGRヤリスは,市販車のGRヤリスに開発中の8速ATであるDATを搭載。自動運転によって走るようになっている。そしてその自動運転の範囲は、速く走ることを目的としており、高速のコーナリングや切り返しができるようになっている。

自動運転車の奇跡と、ラトバラ代表の軌跡
コースの走り方比較
タイヤの摩擦円
開発概要

 実際にこのGRヤリスの助手席に試乗できたが、100km/h近くでタイヤのスキール音を聞きながらのコーナリングは驚異的で、タイヤのスキール音が出ていることから、タイヤの能力を使い切りながら走っていることが分かる。

 実際、この自動運転GRヤリスではタイヤの摩擦円を使い切ろうとしているとのこと。目標のコーナリングラインや速度を設定し、そこに合うようにステアリング、アクセル、ブレーキをコントロールしている。

 走りも速く、スムーズで、とてもガソリンエンジンと8速ATの組み合わせとは思えないぐらい。通常自動運転の実験車は、ハイブリッドなど電動化車両が使われることが多いが、ガソリン車でのスムーズな自動運転を実現していることも驚きだった。

 発売などは未定、市販化の予定も直近ではないが、高速スポーツドライビングの領域まで自動運転が実現しはじめていることには驚きだった。スポーツドライビングのような高G領域の運転まで自動運転の領域が担えるようになることで、より安全な社会の実現につながっていくだろう。