ニュース
【メディア4耐 2022】3年ぶりに4時間走行が復活したロードスター耐久レース、Car Watchチームはまたも完走14位
2022年12月7日 09:10
- 2022年12月3日 開催
観客あり、3年ぶりの4時間耐久となって開催した第33回
マツダの「ロードスター」を使ったワンメイクレース「第33回 メディア対抗ロードスター4時間耐久レース」(通称:メディア4耐)が12月3日に開催された。通常メディア4耐は9月はじめに行なわれるが、前回が前年から延期で今年3月開催となり、今回は12月の開催となった。Car Watchチームの最終リザルトは14位。
前回、前々回は新型コロナウイルスの影響もあったため、本来4時間のレースが2時間30分の短縮レースで無観客開催だったが、今回は元通りの4時間耐久レースで途中給油も復活。そして、観客ありと徐々に本来の姿に戻っている。
ただし、4時間の走行となったものの、本来の16時スタートではなく12時となり、日の短い12月でも日没前にレースが終わることとなった。併催イベントも少なめでコース上では「マスターズ」と称した40歳以上によるロードスターレースを開催、さらにマツダ車を使った同乗試乗会なども行なわれた。
出店も徐々に復活。関連商品の即売会や地元からの出店もあったほか、優勝チーム当てという、出走チームには厳しいような嬉しいようなイベントも開催された。
メディア4耐の概要を簡単に説明すると、各チームのロードスターは完全なワンメイク仕様。チーム独自のカラーリングを施す程度しか差別点はなく、パーツの交換や改造も禁止。唯一の調整箇所といえばタイヤの空気圧のみで、あとはドライバーの腕と戦略がすべてとなる。
そして、決勝レースで使用できるガソリンは、満タン40L+途中給油20Lで、燃費との勝負となる。
クルマは6速MTのNDロードスターだが、マツダ製専用ロールバー、ビルシュタイン製車高調整機構付ダンパー、タイヤはブリヂストン「POTENZA Adrenalin RE004」、ブレーキパッドはエンドレス製「MFE1」、ブリッド製専用フルバケットシート、CUSCOレーシングハーネス6Points FHR(HANS専用)を装備。油脂類としてエンジンオイルはGulf ARROW GT30、ギヤオイルにGulf PRO GUARD Gear Oil 75W-90 GL5、ブレーキフルードはENDLESS S-FOURを使用する。このほかに一部にレース用の装備をしているが、基本的にはノーマルのままで各車イコールコンディションだ。
スタート以前に戸惑いや混乱が続く……
Car Watchチームは、今回で11回目の参加となり、いつもと同じように進むと思われたが、開幕前から問題が発生していた。
本来参加予定だったドライバー2名が昨今の感染疑いで参加を断念。仕方ないことだが、判明したのが週末にレースを控えた月曜日で、4人体制だったドライバーのうち2名が不参加となればレースどころではない。そこで、急遽代わりに走ってくれるドライバーを探すことに。
Car Watchチームは毎回、ロードスターパーティレースに長けた石川和也氏をはじめ、誌面に登場するモータージャーナリストと一緒に参戦しているが、これまではスタッフとして戦略サポートや給油などでサポートしてもらっていた石川琢也氏、佐久間行雄氏をドライバーとして迎えつつ、さらにパーティレースで走行指導などを行なっている加藤彰彬氏も助太刀できるということで、なんとか5人ドライバー体制でメディア4耐への参加が可能になった。
ちなみに加藤氏は今回のメディア4耐の公式Youtube生中継を担当しているということで、途中、生配信を抜けてきていただき、走ってもらうというハードスケジュール。そして、メディア4耐では「助っ人」認定されてしまう実績の持ち主となるため、レースの戦略に大きな影響を与えてくる。
それはなぜかというと、通常のドライバーは最大96分走行可能で、連続走行は50分までと規定されているのだが、「助っ人」認定されたドライバーの走行時間は合計で最大40分までと、圧倒的に短いのだ。
全体で4時間=240分のうち、助っ人走行分を除くと残りは200分。それを4人で割るときっちり50分となる。しかし実際は、規定タイムを1秒でも超えてはいけないので、それよりも早めに交代していくことになる。また、交代時は1分停止、給油の場合は3分停止、さらに助っ人のハンデとして2分の停止が課せられるなど、助っ人+4ドライバーでは微妙に危うく、最終的に助っ人+5ドライバーでゴールを目指すことに。誰かが2回走行することになるので、ピットインの回数も5回に増やさざるを得ない。
一度の交代で1分+ピット走行のロスタイムがあり、それを取り返すのは至難の業。しかも、助っ人によるハンデのピットストップが2分あるため、これらを乗り越えて上位を目指さなければならない。逆にいえば、そこまでレース展開に変化を与えながらも、それだけの実力があるのが「助っ人」ということになる。
当日朝まで混乱が続き、ひとまず無事「完走」が目標
このような混乱のなかで開催される今回のメディア4耐。目標は「完走」はもちろんだが、過去の最高順位が9位なので、できればその上の8位を狙いたいところ。8位に入ればサーキット内の順位を表示するリーダータワーにゼッケンが表示されるので、「助っ人」のパワーでなんとか8位を目指したいところ。
そして、12月開催ということもあり、路面温度や気温もいつもと異なり、エンジンパワーにはプラスの影響がありそうな反面、パワーを使いすぎてしまうと燃費に影響が出る。さまざまな要素を加味した作戦が必要となる。
そんなことを考えながら朝の車検で問題が発覚。なんと小林編集長のヘルメットが期限切れで使えないことが判明。ほかにもヘルメットを持参しているスタッフもいるが、給油スタッフなどはレース出場ではないので古いものを使っていたり、サイズ違いで無理。開いている店や調達方法を探す一方で、偶然にも貸してくれる人を見つけ、なんとか走行に間に合ったが、昨年はモータースポーツライセンスが更新されていなかったこともあり、当日ギリギリで対応した経緯もあり、装備などの事前確認をどうするかは今後の課題となった。
そんな状況のなか、朝8時から8時30分の公式練習には石川琢也氏、佐久間行雄氏が走行、はじめて乗るチームCar Watchロードスターに慣れてもらい、9時5分からの予選には石川和也氏が挑んだ。
予選の結果は18位で、14周走ってベストタイムは1分11秒176。後方からのスタートとなったが、あとは決勝レースで順位を上げていくのみだ。なお、予選1位でポールポジションを獲得したのはREVSPEEDロードスターで、タイムは1分9秒751。
決勝レースがスタート、まずはハンデの消化から
練習走行、予選に続き、いよいよ昼の12時に決勝レースとなる。コース上で優勝トロフィーの返還、各チーム紹介が行なわれ、いよいよスタートとなる。
ちなみに、今回は来場者にいろいろと体験してもらうコンテンツが用意されていて、各チームのプラカードを持って記念撮影などが行なえるイベントでは、大学生の田中光一さんがCar Watchチームのプラカードを持ってくれた。
第1ドライバーは小林編集長。まずは助っ人のハンデを消化ということで1周目からピットストップ。その後は22台中20位で走行が始まった。2分のハンデを消化しているが、ほかにもハンデを消化しているチームがあるため最下位とはなっていない。
その後、編集長は1分16秒台で淡々と周回を重ねる。今回の燃費は1Lあたり6.5kmをまずは目指すことにしていたが、燃費6.8km/Lを記録、一時期的にペースアップさせて1分14秒台を出すが、燃費に変化が現れたのでやはり1分16秒台に戻して走行。
編集長は約45分間走行し、次の佐久間氏へ交代。ドライブ後の弁として「新しいブレーキパッドの効き具合が心配だったが、初期から効く感じで空気圧もちょうどよく、走りやすかった。そのおかげで踏みすぎたので、燃費をもう少し頑張れたらよかった。毎回、走る難しさを感じる」とのこと。
第2ドライバーの佐久間氏がレースに戻り、しばらくすると17位前後で落ち着き、走行を重ねていく。走行を終えたあとの佐久間氏は「パーティレースを20年やっているが、メディア4耐は燃費がきつい。スプリントと違って燃料を使っちゃだめという難しい走り。無事に終わってよかった」とほっとした様子。ふだんはNCロードスターに乗ってるという佐久間氏は、NDについて「乗りやすくて、よく曲がる」とのことだった。
第3ドライバーは助っ人、加藤氏が10位まで押し上げる
3番手にはいよいよ助っ人ドライバーの加藤氏が乗る。スタート後は1分14秒台で周回、以後、1分13秒台で進み、1台、また1台とパスしていく。加藤氏のドライブは全体的に回転数を必要以上に上げず、コーナーの減速を最小限に抑えるという文字で書けば当たり前のドライビングだが、それを確実に実践していることが特徴。ドライブの様子がピットに伝わってくると、待機するドライバーからも驚きの声があがる。
そして、順位が上がってくるとピットの雰囲気も変わってくる。次に乗る石川琢也氏にはプレッシャーにもなるが、よい雰囲気のなかでのプレッシャーはプラスになることもある。
最終的に加藤氏のドライブでは10位まで順位を上げて、盛り上がりのなかで次のドライバーへと交代した。
ドライブを終えた加藤氏からは「コーナーのボトムのスピードを落とさないように、前のクルマがいるときは空走時間を長くして燃費を稼いだ。クルマの状態はよく、乗りやすかった」との感想が聞かれた。
順位を維持し、燃費を戻すことにも成功
続くドライバーは石川琢也氏。交代の際、3分かけなければならない給油も同時に行なった。
ちょうど他のチームのドライバー交代時刻や給油時期と重なったため、めまぐるしく順位が変わるが、実質的な順位は10位前後を維持しているような走りを見せ、抜けるクルマは抜きつつも、燃費も加藤氏から引き継いだときの6.1km/Lから6.3km/Lへ戻した。
そして、石川琢也氏のドライブ途中に一時的に8位となり、コントロールタワーにもチームCar Watchの「64」が点灯するということになり、ピットも大盛り上がり。ドライバー交代もあるためこの順位を最後までキープすることは難しいが、コントロールタワーにチームCar Watchロードスターの「64」が点灯する喜びを一時だけでも味わえた。
走行を終えた石川琢也氏は「バトルしていたので結構疲れた。途中、抜くこともしたが、集団にさしかかり、ガソリンがもったいないので、むしろついていくようにしたところ燃費を6.3km/Lまで戻せた」と語り、上位のクルマともバトルを楽しんだことに満足した様子。
そして、次のドライバーはチームCar Watch唯一の皆勤賞の石川和也氏にスイッチ。この時点で残りはわずかに50分を超えており、最後まで走れば石川和也氏の走行が50分を超えてしまうことから、最後は再び編集長がステアリングを握ることが決定した。
最後のドライバーへの交代をすませ、トラブルなく14位完走へ
ドライバー交代の問題は交代のタイミングとなる。レースになんの問題もなく、残り50分以下になればいつ交代しても順位にあまり変動はないが、セーフティカーが入るなどした場合にピットインすればロスタイムが減り、順位をあまり落とさずにすむ。セーフティカーが入ることを望むわけではないが、何かが起これば即ドライバー交代のチャンスとなるため、編集長は臨戦態勢をとりながら待機。
幸いにしてその後も何も起こらずレースは順調だったため、最後の編集長にスイッチ。そのロスタイムで大きく順位を落としたもののラストスパートへと向かった。
ちょうど各車ともに燃費の目処がついたのかラストスパートをかけるチームが続出。なかでも予選トップだったREVSPEEDロードスターが飛ばしに飛ばし、何台もパスしながら2位まで浮上すると会場は大いに盛り上がった。
しかし、やはり燃費の競技でもあるメディア4耐。ガス欠と思われるスローダウンやピット戻りが続出。最後の最後で順位が大きく入れ替わる。過去2度、最終盤でのガス欠をやらかしているチームCar Watchなので、そこは慎重に、最後まで気を抜かずに走行、無事にチェッカーを受けた。
優勝はTipo Daytonaロードスター、182周でタイムは4時間11秒437。2位はサムライホイールズ×GTロードスター、3位はcarviewロードスター、ファステストラップは終了直前まで場を盛り上げたREVSPEEDロードスターが176周目に記録した1分10秒289となった。
ゴール後にチェッカーを受けたかの確認ミスがあり、チームCar Watchロードスターはチェッカーを受けていない「完走扱い」と一時的に発表されたものの、再確認ののち正式に14位でチェッカーを受けてレースを終えたことが認められた。
次回は2023年9月9日、「このレースは絶対やめません、しつこくやります!」
今回のレースは2019年以来の4時間耐久となったものの、セーフティカーの導入もなく、わずかに接触があった程度と、大きなトラブルなく終了した。
Car Watchチームも、前回と同じ14位となったが、わずか1週間でドライバー不在から立て直したにしては、無事完走し14位ということはまずまずの成績だったのではないだろうか。また、「助っ人」加藤氏の走行はチーム内に刺激となり、プラスに大きな影響があったはずだ。
レースのあとは表彰式が行なわれ、優勝トロフィーのほか、数々の特別賞が送られた。
表彰式で挨拶に立ったマツダの取締役専務執行役員 廣瀬一郎氏は、NDロードスターになってから、同じ条件ながら周回数が当初の179周から今回の182周まで増えたことに触れ「イコールコンディションのなかで人の知恵が結実。今の環境のなかで考えさせられる事象」とレースの意義を語るとともに「このレースは絶対にやめません。しつこくやります」と宣言、「絆を深めながらモータースポーツを楽しむことを広めたいと思うので、協力を」と呼びかけ、次回、来年の9月9日開催が発表された。