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【メディア4耐 2019】Car Watchチームは過去最高9位で完走! 節目の第30回大会レポート
「トヨタイムズ」チームから豊田章男氏も参戦
2019年9月9日 18:59
- 2019年9月7日 開催
モリゾウ選手ことトヨタ自動車の豊田章男氏も参戦したマツダ「ロードスター」のワンメイクレース「第30回 メディア対抗ロードスター4時間耐久レース」(メディア4耐)が9月7日に筑波サーキット(茨城県下妻市)で行なわれた。30℃を超える猛暑の中、われらがCar Watchチームは過去最高順位の9位で完走した。
ロードスターによるメディア対抗のワンメイクレースが第30回の記念開催
メディア4耐は自動車関連メディアによる対抗戦。各メディアの編集部員やプロドライバーを含む自動車ジャーナリストなどがチームを編成して戦うレースだが、例年出場するマツダの社内チームである「人馬一体」や、過去にはメーカー5社による混成チームなどメディア以外のチームも参加することもある。
今回は30回目ということもあり、マツダから「MORIZO(モリゾウ)」ことトヨタ自動車 代表取締役社長 豊田章男氏に参戦を誘い、トヨタのオウンドメディア「トヨタイムズ」のチームとして参加。豊田氏も4人のドライバーのうちの1人として、ロードスターを操ってレースを盛り上げた。
レースに使うロードスターは1.5リッターの6速MT仕様で、エンジン、トランスミッション、排気系はノーマルのまま。タイヤなどは各車で統一した装備となり、イコールコンディションで戦う。
統一装備は、マツダ製専用ロールバー、ビルシュタイン製車高調整機構付きダンパー、ブリヂストン「POTENZA Adrenalin RE003」(195/50R16)、エンドレス製専用ブレーキパッド、ブリッド製専用フルバケットシート、クスコ製レーシングハーネス「6Points FHR」(HANS専用)、エンジンオイル「Gulf ARROW GT30」、ギヤオイル「Gulf PRO GUARD Gear Oil 75W-90 GL5」、ブレーキフルード「ENDLESS S-FOUR」。油脂類は交換できないよう封印がされ、レース前やレース中に車両を整備することはない。
使用できるガソリンは、決勝レースでは満タンの40Lと途中給油用の20Lのみ。4時間の全開走行には決して十分な量ではなく、各車とも燃費と戦いながらゴールを目指す。
マツダ車の展示など併催イベントも多数。チームでは「おもてなし」も
メディア4耐の当日は、コースでは「ロードスター・パーティレースIII」「マツダファン・サーキットトライアル(MFCT)」「ロードスター筑波サーキット ミーティング」も併催。そのほかでは、マツダ車の展示のほかにブース出展やイベントを多数開催し、1日中楽しめるようになっていた。
サーキットではマツダの代表取締役社長兼CEO 丸本明氏と、トヨタ自動車の豊田章男氏が報道陣の取材に応える場を設け、豊田氏からはロードスターを評価する声とロードスターにロータリーエンジン搭載を要求する発言も飛びなすなど、盛りだくさんだ(関連記事)。
また、今回から各チームでも来場者を楽しませる工夫が求められ、Car Watchでは子供向けに、アルパインスターズの子供用カートレーシングスーツを着用してCar Watchチームのロードスターへ乗車する体験を行なったほか、PS4を用意して「グランツーリスモSPORT ロードスター タイムアタック大会」を開催。グランツーリスモSPORTに最適化されたスラストマスターの競技用ホイール「T-GT」を使って筑波サーキットで筑波サーキットを疑似体験できるという「おもてなし」を用意した。
どちらも好評で、グランツーリスモSPORTをプレイすると人だかりができたほか、Car Watchチームのドライバーが実際に走行をシミュレーションしてみるなど、チームのテントは盛り上がった。また、タイムアタック大会のあとは大画面モニターにレースモニターを表示すると、これもまた好評だった。
今年は監督を交代。シンプルな作戦でゴールを目指す
メディア4耐の戦い方だが、ドライバーは4名または5名の耐久レース。ドライバーは1度の乗車で連続して50分間まで運転でき、1人の合計運転時間は96分間まで。Car Watchチームのドライバーは今回は4名で、走行順に編集長 小林、モータージャーナリスト 岡本幸一郎氏、パーティレーサー 石川和也氏、交通コメンテーター 西村直人氏と続き、最後に再び岡本氏がステアリングを握ってゴールする。監督は2018年までステアリングを握っていた編集部 瀬戸が担当する。
前回の2018年は緻密な作戦を練っていたが、再スタートによるレース時間短縮や悪天候などがあって作戦どおりにはいかず、最終的に燃費計算をミスしてガス欠でゴールできなかった。その反省から、今回は燃費に注意しながら走るというシンプルな作戦で挑むことにした。
装備やガソリンの量は2018年と基本的には同一であるが、シートベルトであるハーネスは同じクスコのものだが改良された型が装着され、ドライバーチェンジでもスムーズに脱着ができそう。
燃費は、4時間の走行で周回数を180周(368.10km)とすれば、60Lの燃料で走りきるには燃費は6.14km/Lとなるが、レース中に燃費を知るのは車両の燃費計のみ。燃費計の誤差などを考えるともう少し上の燃費を目指す必要がある。
また、統一タイヤのブリヂストン製POTENZA Adrenalin RE003は今回で3シーズン目の利用となる。ノウハウも集まってきており、今回は比較的高めの空気圧で臨むことにした。
メディア4耐は車検の後に公開練習。予選は19位
メディア4耐は朝の車検を済ませ、10時20分からの公開練習の後、12時55分から予選が行なわれ、4時間の決勝へと進んでいく。
レース当日の天候は晴れ。気温はすぐに30℃を突破し、路面温度もどんどん上がっていく。予選のドライブは例年どおり岡本幸一郎氏が担当した。
予選の後に給油する決勝用のガソリン量とは別になるため、予選では燃費の制限はなく、各車ともいっぱいに飛ばす。しかし、タイヤは1セットしかなく、温存しなければならないほか、タイヤの熱ダレもあって予選は早めの周回でタイムを出さなければ、後から順位アップは難しくなる。
Car Watchチームは岡本氏がタイムアタックを開始し、3ラップ目で1分12秒894を記録、そのまま予選タイムとなり、予選順位は24台中19位となった。
岡本氏は「タイヤのおいしいときにミスを犯し、悔いが残った」と話し、本番で取り返すことを約束。「頑張るしかないですね」とコメントした。
予選のトップは堤優威選手がドライブしたREVSPEEDロードスターで、タイムは1分11秒066。2位以下にコンマ390秒の差を付けてポールポジションを獲得した。24台中、予選トップとの差が1秒以内のチームは12台、2秒以内では20台と、わずかなミスで大きく順位を落としてしまう予選だった。
4時間の決勝がスタート。いきなり燃費に苦しむ
決勝は16時にスタート。イベントステージでもパフォーマンスを披露した「東京おとめ太鼓withSAYA」による太鼓で盛り上がったあと、ローリングスタートで4時間のレースがスタートした。
Car Watchチームのファーストドライバーは編集長 小林。ファーストラップは1つ上げて18位で戻り、2周目にはさらに上げて17位。しかし、燃費を確認すると6.1km/Lを示しているとの連絡が入り、ピットは燃費の再計算を迫られる。編集長 小林によれば「競っているのに付き合ってしまった。そんな段階じゃなかった」と後でコメントするように、燃費悪化を反省。その後、小林が担当する約50分間の間に燃費を意識するも、思うように上がらず、燃費は6.2km/Lでピットインした。
各車ともにドライバー交代のピットインのタイミングは似ているほか、ピットインをすれば一時的に順位が大きく変動する。Car Watchチームも第1ドライバーの交代が遅かったため、交代間際には5位までアップ。第2ドライバーの岡本氏にチェンジして、7位でコース上に復帰した。
ピットでは、当初の燃費のわるさについて分析。他のチームもラップタイムを上下させていることから、燃費について模索していることがうかがえた。今の燃費を受けて省燃費運転をすべきか、なんらかの誤差と思って現状のベースを維持するか葛藤があったが、計算上の6.4km/Lになるよう、燃費を意識しながら巡航を続けるということで落ち着いた。
岡本氏は若干タイムを落として1分18~19秒台で燃費走行。交代までに6.5km/Lまで戻して第3ドライバーの石川氏にスイッチした。交代後は7位を走行するも、2時間を過ぎたころになると、本来は上位のチームが追い上げてくる。メディア4耐はドライバーによってハンデがあり、それをはじめに消化するため、スタート直後は順位を落としていてもじわじわと上がってくるのがこのころなのだ。
石川氏の走行も終盤に差しかかるころ、気になる連絡がありピットが慌ただしくなる。燃料残量警告が点灯したというのだ。しかし、燃費計は燃料噴射の量から計算されるが、残量警告はガソリンタンク内の「浮き」の位置から算出されるもの。横Gがかかる環境では誤差が出る可能性もあり、点灯が若干早いが、燃料計ではなく、燃費計の数値を信じることにした。
20Lの給油。このままゴールできるか?
スタートから2時間半を過ぎた18時30分ごろ、第4ドライバーの西村氏に交代と同時に給油を行なった。携行缶を使って20Lを給油して、3分間の停車がルールとなっているため、トラブルなく給油ができれば、慌てて給油して事故を起こすことがないようになっている。
西村氏は11位でコースに復帰。給油したばかりではあるが、念のために燃費と燃料の関係を再計算すると、余裕はないが一応は問題ない範囲なので、引き続き燃費に注意してながら走行することを指示。現時点の6.5km/L~6.6km/Lのあたりから落ちないように走行した。
残り時間40分ほどで、ラストパートは2度目の登板となる岡本氏。例年ラストパートを担当しており、岡本氏がわるいわけではないが、過去2回のガス欠ストップも岡本氏のドライブのときに起こっている。岡本氏は「今はいい順位なので、なんとかキープしたい。アンカーは強敵が出てくるから不安ですが、精一杯頑張ります」との言葉を残してコクピットへ。
走行を終えた西村氏は「燃費走行のコツとして回転をやみくも落とすのではなく、加速が必要なら一瞬でもシフトダウンして加速すれば、アクセルを踏む時間が短くなって無駄がないのではないか」と、終盤に来て燃費とタイムを両立するコツを掴んだよう。タイヤについても、POTENZA Adrenalin RE003の空気圧を高めにしたことで「すごく安定してフラフラしない」と感想が聞かれた。
また、ロードスターについても「視界がよく、直前にやったグランツーリスモよりもいい。ヘアピンのあたりでは小石も見えるし、高齢者のレース界にもいいんじゃない?」と絶賛した。
最後の最後まで順位変動。なんと9位でゴール!
岡本氏が乗り込む前に、アンカーには強敵が出てくると言っていたとおりにラストスパートをかけるチームが現れた。豊田氏もドライブするトヨタイムズチームは一時は後方に落ち込んでいたが、終盤で飛ばしまくり、ファステストラップの1分12秒633を記録。気がつけばCar Watchチームのはるか前方にいた。
そのほかにもラストスパートをかけるチームも現れる一方で、燃費競争でもあるメディア4耐、止まってしまうクルマも現れ始めた。
最後の最後で1台、また1台と脱落、上位チームがストップすれば、Car Watchチームの順位も上がっていく。とはいえ、最後まで完走しなければせっかく上がった順位は無になる。過去2回のガス欠ストップはどちらも最終ラップだったため、順位を落とさない範囲でペースを調整、最後の最後まで燃費に配慮して走行した。
20時をまわっていよいよゴール。トップチームにチェッカーが振られたあとでも、戻ってきてチェッカーを受けなければならない。「なんとしても帰ってきてほしい」というチーム全体の祈りが通じたのか、Car Watchチームも無事にチェッカーを受け、完走した。直後のレースモニターでは10番目ゴールを示していたが、止まってしまったチームや失格のチームがあり、正式結果では9位に。
2012年から挑戦しているが過去最高、それもシングルの順位で記念すべき30回目のメディア4耐を終えることができた。
優勝はJ-waveポテンザロードスター。トヨタイムズは2位
優勝はJ-waveポテンザロードスター。過去に何度も優勝している強豪チームだ。周回数は180周でトータルタイムは4時間1分16秒550、平均速度は91.538km/h。
そして、2位は豊田章男氏もドライバーとして参加するトヨタイムズロードスター。他を圧倒するファステストラップを記録して終盤に追い上げたことがこの成績につながった。3位はLOVECARS!TVロードスターだった。
Car Watchチームの成績は周回数が178周でトータルタイムは4時間2分22秒428、平均速度は90.111km/hだった。
また、チェッカーを受けたチームは24台中17台と厳しいレースになった。チェッカーを受けないながらも完走扱いが5台、コース上の車両停止による失格が2台となった。