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【メディア4耐 2020】2時間30分の短縮版レース、Car Watchチームは完走14位
新型コロナウイルス感染症拡大予防の対策をする中で開催
2020年9月7日 12:51
- 2020年9月5日 開催
マツダ「ロードスター」のワンメイクレース「第31回 メディア対抗ロードスター4時間耐久レース」(メディア4耐)が9月5日に筑波サーキット(茨城県下妻市)で行なわれた。厳しい社会情勢のなかで開催も危ぶまれたが、新型コロナウイルス感染防止対策を行ないながら今年は2時間30分の短縮レースとなり、われらがチームCar Watchロードスターは14位で完走した。
感染拡大対策を行ない、無給油で時間短縮のワンメイクレース
ロードスターを使ったワンメイクレースとなるメディア4耐は自動車関連メディアによる対抗戦。各メディアの編集部員やプロドライバーを含む自動車ジャーナリストなどがチームを編成して戦う。クルマはイコールコンディションながら通常は4時間のレースのなかで給油やドライバー交代など、戦略が勝利を分けることもある。
マツダ100周年という記念すべき年だったが、今回は新型コロナウイルス感染拡大防止対策を数多く行なっており、その1つが途中給油をなくしレースを2時間30分に短縮したこと。参加者を最小限に抑えるという方針もあり、給油スタッフが不要になり、ドライバーも通常より少なくできる。
具体的にはガソリン使用量はロードスターの満タン(公称40L)1回のみ。これまで途中給油していた20Lがなくなる。走行時間は4時間から2時間30分に減るため走行時間は37.5%減少、ガソリンは33.3%少なくなる。時間あたりのガソリン消費量は若干多くなるものの、燃費に厳しいレースであることに変わりはなく、途中給油がなくなっため、給油時に3分間のストップというレースの駆け引きに使える部分がなくなっている。
クルマはこれまでと大きく変わっているところはないが、唯一の変更点がタイヤ。昨年までのPOTENZA Adrenalin RE003がバージョンアップしてPOTENZA Adrenalin RE004になったこと。数字が1つ大きくなるだけだが、RE004はウェット性能をアップさせている。排水性能と耐ハイドロプレーニング性能を確保して、新しいコンパウンドではシリカを配合、転がり抵抗軽減とウェット路面での操縦安定性能に配慮しているという。
そのほかの装備では、レースに使うロードスターは1.5リッターの6速MT仕様で昨年までと同じクルマ。エンジン、トランスミッション、排気系はノーマルだが、エンジンの不調などによってコンディションに差が出ないよう、マツダによって毎年メンテナンスがなされている。
POTENZA Adrenalin RE004以外の統一された装備は、マツダ製専用ロールバー、ビルシュタイン製車高調整機構付きダンパー、エンドレス製専用ブレーキパッド、ブリッド製専用フルバケットシート(助手席レス)、CUSCOレーシングハーネス6Points FHR(HANS専用)、エンジンオイルGulf ARROW GT30、ギヤオイルGulf PRO GUARD Gear Oil 75W-90 GL5、ブレーキフルードENDLESS S-FOUR。
新型コロナウイルス感染防止策も万全
2020年のメディア4耐では、新型コロナウイルスの感染防止として、対策も十分に行なっている。まず、参加者全員にはマスクの着用が義務付けられ、サーキット入場前には検温が全員に行なわれた。そして、来場者数の制限だ。残念ながら今回は一般観客はなく無観客レース、マツダ公式YouTubeでライブ配信のみとなっている。
各チームには参加スタッフを最小限に抑えることが要請され、パスも最小限にしか発行されていない。ドライバーは通常より少ない2~4名。われらがCar Watchチームも3名。また、ステージイベント等もない。通常は各チーム紹介はステージで行なっていたが、十分にチーム間の距離が離れたスターティンググリッドでインタビューを行なう形式に変更された。
コースでは「ロードスター・パーティレースIII」「マツダファン・サーキットトライアル(MFCT)」も併催したが、無観客レースということもあり、ブース出展もなく、通常よりも寂しいものとなった。
マツダ100周年、三輪トラックをはじめ歴代車種のパレードラン
今年2020年はマツダ100周年の記念すべき年、無観客ということでイベントはコンパクトなものに抑えられたが、過去の主なマツダ車の展示とデモ走行が行なわれた。
走行したのは4台。1989年発売の「ロードスター」、1967年発売の「コスモスポーツ」、1980年発売の初代FF「ファミリア」、そして、1947年式の三輪トラック「GA型(通称グリーンパネル)」。
さらに、1960年発売の「R360クーペ」が展示された。これらはいずれもマツダの社内レストアプロジェクト「One Mazda レストア」によるもの。
3台はゆっくりとコースインして、それぞれの音や匂い、若干の煙をなびかせながらコースを1周した。
短縮レースのため、作戦はシンプルなもの。
2020年のメディア4耐は短縮版。ドライバーは2~4名というルールで、レース中に3回のピットストップと1分間の停止がルール。われらがCar Watchチームのドライバーは3名。走行順に編集長 小林、パーティレーサー 石川和也氏、モータージャーナリスト 岡本幸一郎氏の3名。これでは交代のピットストップは2回なので岡本氏の走行中にさらに1回のピットストップを挟む予定。目標はリーダータワーに64のナンバーを光らせること、すなわち8位以内に入ること。
監督の編集部 瀬戸によれば、給油がないことで駆け引きの要素も少なく、ただただ燃費に注意しながら無駄なく走行して完走を目指すこと。そして、1つ大きな問題がある。それはCar Watchチームには1分間のハンデがついてしまったこと。
ある意味喜ぶべきことだが、昨年は9位になり、今回は参加を取りやめたチームもあってハンデの対象になってしまったのだ。ハンデの消化は決勝レース開始30分以内に第1ドライバーが1分間のピットストップをすること。そのため、一度は後方に下がってから順位を上げていく必要が出てくる。
また、燃費については6.1km/Lが目標。昨年の6.4km/Lに比べるとわずかに攻められる感じではあるが油断はできない。計算上では6.0km/Lでも大丈夫だが、少し余裕を見て6.1km/Lとした。
燃費に関して言えば、当日の天気予報ではにわか雨が降る可能性が高く、天候によるレースの成り行き次第でレース運びは大きく変わってくる。具体的には雨が降ればペースは落ちて燃費にはプラスになる可能性があり、トラブルや雨の強さ次第でセーフティカーが入るようなことになれば、燃費に余裕が出てくる。反対に雨も降らずに何もトラブルなくレースが進行すれば、燃費が厳しくなってくる。
また、タイヤがPOTENZA Adrenalin RE004に変わったことによる走行の変化もある。事前情報では剛性感に大きな違いがあり、グリップ力やフィーリングが変化しているため、レース運びにも変化が出てくる可能性がある。ただし、どのチームもそれは同じ。どれだけ速く新しいタイヤになじめるかも勝負に関わってくる。そして、雨の予報もあってウエット性能が強化されたというPOTENZA Adrenalin RE004には期待がかかってくる。
予選で1分12秒台
朝からの公式車検に続いて午前中のフリー走行は編集長 小林と予選ドライバーの岡本幸一郎氏が走行、クルマとタイヤの感じを掴んでいく。そして、12時40分からの公式予選に望む。
今回は参加台数が少なく全18台。20分間の予選は例年どおり岡本氏がドライブ。12周するも、トップタイムが出たのは実質1回目のアタックで出た1分12秒708。途中、ピットインして空気圧を若干減らし、空気圧変化による走行の違いを試した。
チームCar Watchロードスターの公式予選の結果は最初に記録した1分12秒708で13位。予選の1位はREVSPEED・R会ロードスターの1分11秒050。トップからは1秒658の開きがある。
予選を終えた岡本氏は「タイムが出たかなというのは最初のアタック周だけ。そこでも細かいミスしているので、まだまだ上げる余地があった。あとコンマ3秒くらい速ければ、強者があつまるところの真ん中くらいに入れた」と残念がる。
岡本氏はドライ路面だった予選でのタイヤについて、初期の応答が鈍く、インにつけずブレーキングポイントが遅れるという前作との違いを指摘。途中、空気圧を落とした変化については、「最初の高い空気圧のときは、軽く感じられて、クルマの動きがよかったが、リアがナーバスな動きだった。後半の下げたほうが動きが収まって乗りやすくなった」と感想を延べ、「加速が鈍った感じがしたので、どっちをとるかといえば空気圧が高いほう。動きに慣れてしまえばレースではいい結果が出そう」と決勝への抱負を語った。
決勝レースは16時スタート、その前からコースでチーム紹介
各チーム紹介をスターティンググリッドで行なうため、15時に各車コースイン。チーム紹介などスタートに向けてのイベントが始まった。スタート前には雨が降り出し、波乱の幕開けも予想されたものの、雨はすぐにやんでコースが濡れるほどでもなく、スタート時には完全にドライになっていた。
15時57分ローリングスタートのあとにスタート。チームCar Watchロードスターは1周目でハンデを消化すべくピットイン。通常は1分10~20秒で周回を重ねるこのレースでは、1分間のエンジン停止中には通常周回を重ねるチームの集団が通過、この時点で周回遅れになる。
ハンデの付いたチームは、1周目に消化するところが多い。上位チームはハンデの停止時間も長いためより後方に沈む。1分間の停止後のチームCar Watchロードスターは16位で復帰、すぐ順位を上げて10週目には14位までアップした。
タイムは1分17秒前後で周回を重ねるが、トップクラスのチームはそれよりも少し早めの16秒台。順位を上げようとするも、気になるのは燃費。10周を終えて燃費は想定を下回る5.7km/L。順位を上げる必要があるものの燃費を上げていかないと最後まで走りきれない。ここからは燃費との戦いになる。
第2ドライバーの石川氏に交代、順調に周回を重ねる。
16時30分に12位でピットイン、第2ドライバーの石川氏に交代となる。1分間のピットストップのあとでコースに復帰していく。
ドライブを終えた編集長 小林はまず燃費について指摘「6.0km/L目標だったが、もうちょっとで抜けそうとなるとつい頑張ってしまう。燃費悪化との葛藤で走っていた」とコメントした。
石川氏に交代後、すぐにコース上でトラブル。大きなパーツが落ちているということでセーフティーカーが導入された。5分ほどでレース再開となったが、交代のピットストップのタイミングがあと少し遅ければと悔やまれる。
石川氏は1分15~16秒で順調に周回を重ね最高で11位まで順位を上げる走行ぶり。1時間近く走行したのち、最終ドライバーの岡本氏に交代した。
トップチームが上がってくるなか、ラストスパートへ
17時25分、11位を走行中に2度目のピットストップ、第3ドライバーの岡本氏に交代した。予定では岡本氏が最後まで走行。レース全体では3回のピットストップが必要なため、ドライバー交代はしないが途中で1回のピットストップをしなければならない。
岡本氏は17位でコースに復帰し、1分15~16秒台で走行、一時は12位まで順位を戻した。
しかし、このころになるとハンデで順位を落としたチームが上位に上がってくる。一時はハンデで最下位になったJ-waveポテンザロードスターが18時前には1位にまで上り詰めた。
残り30分を切ると順位はだいたい固まってくる。このあとで順位が変動するとなれば、未消化のピットストップのほかにトラブルがある。特にガス欠のトラブルはありがちで、過去、Car Watchチームは2度ガス欠に泣いている。
そして、残り15分を切ってもチームCar Watchロードスターは最後のピットストップを残している。1分間のエンジン停止があるため、1ラップ以上、順位を落とすことになる。
残り10分となったところで上位チームでスローダウンが発生、おそらくガス欠のよう。そのなかで岡本氏が最後のピットインをして残り7分を残して再スタート、燃費はそれまでの走行距離から再計算した目標燃費5.9km/Lに収まっていたため、あとはもう踏んでいくだけ「ガンガン踏んでいきましょう」とピットから指示を出したラストスパートへ。
しかし、残念ながら順位は上がらずチェッカーへ。スローダウンしたチームが2チームあり、最後まで止まらずにチェッカーを受けたのは15台、最終的にはチームCar Watchロードスターは14位でチェッカーを受けた。順位はともかく無事に走りきり、心配された雨も降らなかった。
優勝はTIPO/DAYTONAロードスター、チームCar Watchロードスター14位
優勝はTIPO/DAYTONAロードスター。周回数は113周でトータルタイムは2時間30分17秒423、平均速度は92.255km/h。ファステストラップもTIPO/DAYTONAロードスターで27周に1分12秒858を記録した。
次いで2位は昨年優勝のJ-waveロードスター、3位はカービューロードスター。5位までは同一周回となる。
チームCar Watchロードスターは14位で周回数は110周。トータルタイムは2時間30分39秒294で平均速度は89.589km/hだった。
表彰式も新型コロナウイルス対策で通常とは違うものとなったが、マスク姿のなか、上位入賞チームで記念写真を撮って終了した。