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自工会、「バイクに乗ると“脳が活性化”する!」をテーマに東北大学の加齢医学研究所 川島隆太所長が特別講演

2023年1月24日 開催

日本自動車工業会 副会長兼二輪車委員会 委員長の日髙祥博氏(左)、特別ゲストの東北大学 加齢医学研究所所長の川島隆太氏(中央)、日本自動車工業会 常務理事 和迩健二氏(右)

 日本自動車工業会は1月24日、自工会二輪車委員会による第4回メディアミーティングを開催。会場では「バイクに乗ると“脳が活性化”する!」をテーマに、特別ゲストとして東北大学 加齢医学研究所 所長の川島隆太氏が登壇して、特別講演が実施された。

行動制限がなくなりこれまでの遊び方が復活、2023年の二輪業界は試される年

日本自動車工業会 副会長兼二輪車委員会 委員長の日髙祥博氏

 ミーティングの冒頭にあいさつをした日本自動車工業会 副会長兼二輪車委員会 委員長の日髙祥博氏は「最近の若者層は、いわゆるコスパに加えまして、タイパ、タイムパフォーマンスを重視するメリハリ消費が増えているようです。興味のあるのには、お金や時間を惜しまない、そうでないものには使わないというように、メリハリをつけています。ここ数年は、コロナ禍においてのアウトドアレジャーにバイクがうまくマッチしたと思われます。けれども、エンデミックになって様々な行動制限がなくなりつつあります。これまでの遊び方がまた復活します、旅行も外食も復活してきます。こうした環境で、せっかく活性化しはじめた二輪車業界を維持できるかどうか、今のいいトレンドを継続することができるかどうか。昨今入ってきていただいた若者をつなぎ止めることができるかどうか、今年はそういったことが試される年になると考えています」と、2023年への見通しを述べた。

 そして、「バイクに乗ると“脳が活性化”する!」というテーマに対して、日髙氏は「多くの方が関心を持たれているということで、この現象を見ますと、何か二輪業界活性化につながるヒントがあるんじゃないか、そのように考えているところでございます」との考えを示した。

自工会が運営する情報メディア「MOTOINFO」で関心が高かったバイクと脳について注目

特別ゲストの東北大学 加齢医学研究所所長の川島隆太氏

 今回のメディアミーティングでは、⾃⼯会が二輪車に関する情報発信をするために公式Webサイト内に「MOTOINFO(モトインフォ)」を新たに開設したことが紹介された。MOTOINFOに掲載された記事の中で、「若者にも知って欲しい!10年以上前に⾏なわれていた世界初の実証実験『バイクに乗ると“脳が活性化”する!』で出た結果とは?」という記事が2022年度上半期(2022年4月〜9月)の人気記事ランキング第1位となった。

 今から約10年前に⾏なわれたバイクと脳活性化の関係性を証明する世界初の実証実験について取り上げた記事については、現在バイクに乗っている25~44歳の⽐較的若い読者から注⽬を集め、SNSを中⼼に⼤きな反響があったという。今回のメディアミーティングでは川島氏に登壇してもらい、バイクと脳の関係について説明がされた。

 人間の脳については、コンピュータで言うところの計算処理をする「CPU」、作業用メモリ「RAM」にあたる機能があるという。CPUについては認知速度、RAMにあたるものは作動記憶と、それぞれの機能をつかさどる機能があり、それらはトレーニングすることも可能という。

 川島氏らによる、自動二輪運転と脳の関係についての研究は2008年にスタート。このときに行なわれた自動二輪運転時の脳活動計測実験によると、マニュアルの自動車、オフロードバイク、中型バイクを運転中は全般に前頭前野活動が高い傾向にあったとしている。特に中型バイクと中型スクーターを運転時の脳(前頭前野)の活動の違いを詳細に検討したところ、中型バイクを運転中のほうが、スクーターを運転中よりも、様々な走行シーンで全般に大脳右半球の前頭前野活動が高い傾向があったという。

 そうした研究の結論として、バイクに乗ると脳(前頭前野)を使うことが確認され、さらにバイクに乗り続けると、脳機能が向上し、メンタルヘルスも好転するという結論に至った。川島氏は「オートバイに乗ることで脳も鍛えられる、そして心も鍛えられるというのが、今回の研究の結論になります。そういう意味では、オートバイに乗るということ、通勤、通学、趣味等でオートバイを使うということは、きっとわれわれの脳や心の健康にいいんだということが、もう10年以上前に分かっていたんですね。なので、このメンタルをやられやすい社会の中で、オートバイというものを趣味に持つということは、自分自身を守ることにも繋がるのではないのか? それから、脳の老化を防止するという観点からも有益であるということは、これらのデータはいまだに陳腐化しておりません」などと強調した。

東北大学 加齢医学研究所所長の川島隆太氏のプレゼンテーション資料