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ユーグレナの「サステオ」を使用した都営バス出発式 小池都知事「バイオ燃料で走る都営バスに乗ってみて」と呼びかけ

2023年1月25日 実施

ユーグレナのバイオ燃料「サステオ」を供給する都営バスの出発式に登場したハローキティ、小池百合子東京都知事、ユーグレナ 代表取締役社長 出雲充氏

 ユーグレナと東京都、東京都交通局は1月25日、ユーグレナのバイオ燃料「サステオ」を供給する都営バスの出発式を開催した。

 ユーグレナと東京都は、「バイオ燃料導入促進事業に係る協定」を2022年10月31日付で締結。今回の都営バスへのサステオ導入は、この協定に基づいて実施されるもの。サステオが供給される都営バスは東京都交通局小滝橋自動車営業所所有の58両となり、小滝橋自動車営業所管内の7路線で、1月25日から1か月程度運行される。また、運行車両のうち5台は、サンリオのキャラクターで、SDGs応援活動を行なっているハローキティのデザインを用いたラッピングバスとなる。

 今回、都営バスに供給されるバイオ燃料のサステオは、生物資源(バイオマス)を原料とした次世代バイオディーゼル燃料で、具体的には微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)から抽出されたユーグレナ油脂と使用済みの食用油から作られている。ただし、使用済みの食用油にも限度があるため、ユーグレナでは必要量に合わせて供給できる原料として、ミドリムシから抽出できるユーグレナ油脂培養の技術開発にも注力している。

 これまで、陸では西武バス、海では広島の瀬戸内海の観光船、石垣島の島と島を結ぶフェリー、空ではエアバスのヘリコプターや国土交通省の飛行検査機、フジドリームエアラインズなどにサステオを供給してきたが、今回は58台の都営バスに60tのバイオ燃料を供給することとなり、このような大規模なサステオの供給はユーグレナとして初めてとなるとした。

 さらに、これまでの日本のバイオ燃料は、軽油に対してバイオ燃料を5%混合した“B5”となっているが、今回提供するのは20%バイオ燃料を混合した“B20”となるため、CO2削減効果も高いとしている。なお、B20であってもバスが故障せず、排出ガス規制にも適合しており、技術的課題はクリアできているとのこと。

ハローキティデザインのラッピングが施された都営バス

新宿、池袋、上野公園などの都心部を、バイオ燃料を使った都営バスが走る

 出発式には東京都知事の小池百合子氏に加え、ユーグレナ 代表取締役社長 出雲充氏、ハローキティも出席した。

出発式は東京都庁で開催された
ハローキティはSDGsのアイコンカラーがデザインされた特別衣装で登場
サステオを使った都営バスを3人でお見送り
東京都庁を後にするハローキティデザインのラッピング都営バス

 小池都知事は「最近のこの気候変動という危機、さらにはウクライナ危機と、さまざまな危機が首都東京に迫ってきております。その中で、エネルギーの安定確保の実現、地球環境に優しいエネルギーの活用が不可欠で、その1つとして都はバイオ燃料の普及の拡大、そして認知度の向上に取り組んでおります。昨年夏には、東京の伝統的な風物詩でもあります屋形船をバイオ燃料で走らせたところでございます。秋にプロジェクションマッピングのイベントを行なった際の電源にもバイオ燃料を使いました。そして、この冬には都の農業研究センターでトラクターの燃料として活用しております。前回は海でユーグレナさんのバイオ燃料を使わせていただいた訳ですけれども、今度は陸でございます。都営バスをバイオ燃料で動かそうということで、今日から1か月間、新宿、池袋、そして上野公園や東京ドームなど、都心部の7つの路線で、バイオ燃料を使った都営バスが走ります。ぜひこの機会にバイオ燃料で走る都営バスに乗ってみてください。そして、みんなで一緒にクリーンで持続可能な輝く未来へ向けて走ってゆきましょう」とあいさつした。

小池百合子東京都知事

 また、出発式の後に行なわれた記者会見で、小池都知事は「気候変動対策はもう待ったなしでございます。そして現実に、エネルギー危機が目の前に迫っているといいましょうか、電気代が値上がりしていることなどで体感しておられるかと思います。こういった危機というのは新しいことに取り組むチャンスでもあります。今回は都営バスがバイオ燃料で動くということで、バスの車両にはキティちゃんのデザインもあります。都民の皆さまに都営バスにご乗車いただいて、バイオ燃料で走っているんだということをぜひ体感していただきたいと思います。こうやって地球環境に優しいエネルギーをみんなで定着させていく、スタートしていく。これで陸と海とやりましたので、次は空……ですかね?」と出雲氏に問いかけ、それを受けた出雲氏は「はい、空もグリーンにしてまいります」と力強く返答した。

出発式後には記者会見が行なわれた

 出雲氏は「当社は東京のスタートアップ、ベンチャー企業でございます。スタートアップは本当に資金がなくて大変なことが多いのですが、2010年に東京都のベンチャー技術大賞を頂戴して、そこからさまざまな企業のご支援をいただくことができるようになりました。この東京都を代表するスタートアップとして、都民の皆さまにバイオ燃料を使っていただく、こういう意義を都知事のリーダーシップのもと、発信していきたいと思っております」と語った。

株式会社ユーグレナ 代表取締役社長 出雲充氏