ニュース

ユーグレナ、次世代バイオ燃料を日本で初めて一般販売 通常価格で提供し「地球とバイオ燃料のことを考えるきっかけになれば」

2021年4月9日~11日 実施

ユーグレナバイオディーゼル燃料を日本初一般発売

日本初のバイオ燃料一般販売。価格はバイオディーゼル116円/L、バイオハイオク151円/L(4月9日現在)

 ユーグレナは、ライフ白銅が運営するサービスステーション(ガソリンスタンド)「セルフかつしか6号店」で「サステナブルステーション by ユーグレナ」を4月9日~4月11日にオープンし、バイオ燃料を日本で初めて一般販売開始する。

 今回販売されるのは、微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)と使用済み食用油を原料に使用して製造される次世代バイオディーゼル燃料「ユーグレナバイオディーゼル燃料」と、バイオナフサを使用したバイオハイオク燃料。4月9日~4月11日の3日間限定で一般販売され、価格は一般価格でバイオディーゼル燃料が116円/L、バイオハイオク燃料が151円/L(価格はともに4月9日現在)。給油は24時間可能で、11時~17時にはユーグレナバイオ燃料の原料に使用される、家庭から出た使用済み食用油(廃食油)の回収も行なわれる。

セルフかつしか6号店(東京都葛飾区白鳥2-20-20)
店内すべての給油機器でバイオディーゼル燃料、バイオハイオク燃料を給油可能。給油中に次世代バイオ燃料についてを知ることができる
次世代バイオ燃料は通常価格で提供される。写真は4月9日現在の価格
ユーグレナバイオディーゼル燃料(中央)は、使用済み食用油(左)と微細藻類ユーグレナ(右)から製造される
サステナビリティに対する理解を深められるコンテンツを用意
4月9日~11日の3日間、11時~17時に次世代バイオ燃料を10L以上給油した人先着300名に、ユーグレナバイオ燃料の残渣を利用したバイオプラスチック袋や、食用ミドリムシを使用した「からだにユーグレナ」「セサミチョコクランチ」といったユーグレナ製品をセットにした「サステナブル・ハッピーセット」がプレゼントされる

 今回提供される次世代バイオ燃料の量は、バイオディーゼル燃料が500L、バイオハイオク燃料が900L。セルフかつしか6号店の地下タンクに入っていた軽油/ハイオクガソリンと混ぜての販売となる。また、次世代バイオ燃料ではない通常の軽油/ハイオクガソリンの補給が行なわれるため、徐々に次世代バイオ燃料は薄まっていくとのこと。

 今回提供されるユーグレナバイオディーゼル燃料は、今まで5%以上混ぜることのできなかったバイオディーゼルを、今回初めて2倍となる比率の10%混合で出荷したというもの。この10%のバイオディーゼル燃料のうち、10%がミドリムシに由来し、残りの90%は廃油を使用しているという。また、このバイオディーゼル燃料は、国の品確法、揮発油等の品質の確保に関する法律、そしてJIS規格すべての面において軽油とまったく同じものであると確認されているとしている。

 ユーグレナが製造する体内で油脂を生成する種類のミドリムシと使用済み食用油などを原料にしたバイオディーゼル燃料は、従来のトウモロコシやサトウキビ、大豆といった作物を主な原料とするバイオ燃料ではなく、食料との競合や田畑の拡大による森林破壊に伴う温室効果ガスの増加を起こさず、持続可能性に優れた燃料になると期待されているとのこと。

通常価格で提供することで多くの人にバイオ燃料のことを知ってもらう

式典ではマツダ「CX-8」のディーゼルモデルに、実際に次世代バイオ燃料が給油された

 4月9日に開催された記念給油式典には、ユーグレナ 代表取締役社長 出雲充氏と、ライフ白銅 代表取締役社長 山田広太郎氏が出席。

 まずあいさつを行なった出雲氏は「2008年から研究開発を12年続けてまいりました国産のバイオ燃料を、ようやくガソリンスタンドで皆さまにお届けできる日がやってまいりました。12年目にしてようやく皆さまにこうしてお届けできる場所を見つけることができました」と喜びを語った。

株式会社ユーグレナ 代表取締役社長 出雲充氏

 続けて出雲氏はCO2削減効果について説明。日本は現在11億tのCO2を排出しており、木が光合成で吸収するCO2量は約3億t。2019年にはCO2排出量ネットゼロを目指すと宣言していることから、2050年までに約8億tを削減しなければいけないという。ユーグレナではこの約8億tの削減に貢献するため、バイオディーゼル燃料を製造する際に排出されるCO2を、1Lのガソリンを製造する際に排出されるCO2量3kgよりも少なくできるように、廃油の回収やミドリムシの育成を工夫し、CO2排出量を削減した作り方で製造しているとのこと。

 出雲氏は「作り方はCO2を削減し、地球に優しい作り方を開発することができました。そして皆さまにお使いいただくときに5%ルールを超えてもっとたくさん混ぜてもまったく問題ないということを法律に準拠して、JIS規格に適合して、作る方法も発明しました。あとは、このガソリンスタンドで多くの皆さまに、クルマを買い換える必要なく、気軽に使って楽しんでいただいて、このガソリンスタンドから地球とSDGsのことをまず考えていただきたい。そのことがきっかけになって、日本のバイオ燃料をどうしていけばいいのかを、今後も考え続けて行きたいと思っています。皆さまにぜひたくさん給油にきていただいて、地球とバイオ燃料のことをちょっとでも考えていただけるきっかけになれば、こんなに嬉しいことはありません」と、今回の次世代バイオ燃料の販売をきっかけに、CO2削減について興味を持ってもらいたいと語った。

 また、山田氏は「ガソリンスタンドでなにか新しいことをしたいと考える中で、3年ほど前にユーグレナさまからお話をいただいて、ぜひやってみたいと。それなりにチャレンジはあったのですが、この日を迎えられて嬉しく思います」とあいさつ。

株式会社ライフ白銅 代表取締役社長 山田広太郎氏

 そして「価格の部分が非常にネックとなっておりましたが、できるだけ安定した、それほど高くない価格でよりたくさんの方々に給油していただきたいという思いがある一方で、非常に製造コストが高いという現状がございました。そのような中でユーグレナさまにご理解をいただいて、まずは通常の価格でご提供させていただき、少しでもたくさんの方々にバイオ燃料を体験していただくことが本日無事にスタートできました。これをきっかけに、おそらくまだまだ製造の段階では技術的なチャレンジも多いかと思いますが、私どもでできることがあればご協力をして、こういった取り組みを広げていければと思っております」と今後について語った。