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日産、モータースポーツファンイベントをオンライン開催 近藤真彦監督「2023年は日産の年」としてSUPER GTでの必勝を誓う

2023年2月19日 開催

日産自動車株式会社 代表執行役最高執行責任者(COO) 兼 チーフパフォーマンスオフィサー アシュワニ・グプタ氏

 日産自動車は2月19日、オンラインでファンイベント「2023 日産モータースポーツファンイベント」を開き、2月17日に発表済みの2023年モータースポーツ体制に関するファンへの説明会を開催した。この中で日産自動車 取締役、代表執行役最高執行責任者(COO) 兼 チーフパフォーマンスオフィサー アシュワニ・グプタ氏、NISMOやオーテックのブランドで知られる日産モータースポーツ&カスタマイズの代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)片桐隆夫氏、日産陣営のSUPER GT総監督で日産モータースポーツ&カスタマイズ 副社長 松村基宏氏などがあいさつを行なった。

 イベントにはそうした日産のモータースポーツ関連の幹部だけでなく、2022年のSUPER GT/GT500チャンピオンになったチーム・インパルの星野一義総監督、SUPER GT/GT300でチャンピオンになったコンドーレーシングの近藤真彦監督など監督陣やドライバーなども参加し、楽しいトークショーを繰り広げた。この中でコンドーレーシングの近藤監督は「2023年は“日産の年”と言われている、絶対になんとかしないといけない年だ」と述べ、GT500/GT300ともに日産陣営でチャンピオンを獲得することが必要だと強調した。

2023 日産モータースポーツファンイベント

日産のモータースポーツ活動の意義

日産のモータースポーツ活動の意義について語るアシュワニ・グプタ氏

 冒頭であいさつを行なった日産自動車 代表執行役最高執行責任者(COO) 兼 チーフパフォーマンスオフィサー アシュワニ・グプタ氏は、日産のモータースポーツ活動の意義と概要について説明した。

グプタ氏のコメント

 2023年 日産モータースポーツファンイベントに参加していただき、本当にありがとう。日産は創業以来人々の生活を豊かにし、お客さまに感動していただけるクルマ作りを行なってきた。他の人がやらないことをやるという創業以来の精神に基づき、ワクワクを追及し挑戦し続けてきて、スピードを追い求めるレガシーを築いてきた。われわれは極限を求めてモータースポーツに参戦し、情熱を傾けて競い合ってきた。モータースポーツへの挑戦は、それを実現する高度な専門技術や経験に裏打ちされて初めて可能になる。われわれの85年以上におよぶモータースポーツ活動において、ファンの皆さまやサポーターの皆さまと勝利の味を分かち合って共に歩んできた。そのことを大変うれしく思っている。われわれの情熱はすべてのレースごとに、すべての勝利ごとに大きくなっている。

 2022年も同じようにやってきたが、大変うれしい年でもあった。ワークスチームの主戦場となるSUPER GT GT500クラスでは、Nissan Z GT500が2008年からの14年間で通算41勝を挙げたGT-R NISMO GT500に変わり投入された。競争は非常に激しく、チャンピオン争いは最終戦までもつれたが、最終戦での激闘の末にデビューイヤーに12号車がシリーズチャンピオンを獲得し、3号車がシリーズ2位となった。振り返れば2004年にR34 GT-Rからバトンを受け継いだZ33のように、NISMOによって開発されたGT500仕様のNissan Zは、再びZの不屈の挑戦と勝ちにこだわるレガシーを証明するかのような鮮烈なデビューを飾ることができた。

 プライベートチームがしのぎを削るSUPER GTのGT300クラスでも56号車 NISSAN GT-R NISMO GT3が、この3年で2度目のチャンピオンを獲得した。このチームには日産自動車大学校の学生や販売会社のテクニカルスタッフも参加しており、チームワークや重要な局面での難しさを乗り越えチャレンジ精神を鍛える人材育成プログラムによりバックアップされている。

Nissan Z GT4

 今シーズンは、より広いカスタマーレーシングチームへNissan Zでのレースを可能にするGT4プログラムを開始する。初代240Zがその美しい流線型のデザインで1970年代初頭のレースシーンにさっそうと登場したように、アメリカと日本でパイロットカスタマーチームによるチャレンジが始まる。歴代ZやGT-Rによる厳しいレース環境での数々の戦績は、日産のレースにかける技術や経験、そして熱い情熱を証明するものだと思う。

フォーミュラE

 日産は挑戦を重んじる精神で、最初で唯一の日本メーカーとしてFIA ABBフォーミュラE世界選手権に参戦している。日産はこの完全電動駆動の世界選手権に参加することで、電動化へのコミットメントを明確にし、ゼロエミッション電気自動車ならではのエキサイティングな走りとそれを運転する喜びをさらに広げていきたいと考えている。われわれはすでに2025-2026のシリーズ12まで参加することを表明しており、長期にわたってこのシリーズにコミットしていく。昨年より新しく完全に日産が所有することになったフォーミュラEレーシングチームでのもとで、よりパワフルで速いGen3マシンで世界選手権に挑戦していく。さらに日産の高い競争力があるGen3パワートレーンは、マクラーレンチームにも供給してご採用いただいている。また、レース技術の市販車への転用を開始し、技術競争の激しいフォーミュラEを活用して日産EVの魅力をより一層引き上げることができる数々の技術を投入していく。

フォーミュラEの活動が市販EVにフィードバックされていく

 最後に日産はより速く、より安全で、そして楽しいクルマを今後も数多く提供し、人々の暮らしを豊かにしていきたいという熱い情熱を持っている。この情熱に後押しされ、今後もSUPER GTやフォーミュラEをはじめとするモータースポーツ活動を通じて、より多くのワクワクとスピードを追い求めていきたい。レースは勝利を目指して戦っていく。

2023年もニスモフェスティバルを開催したい意向と片桐CEO

日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社 代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)片桐隆夫氏

 続いてNISMO、オーテックのブランド製品を展開し、日産のモータースポーツを統括する日産モータースポーツ&カスタマイズ 代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)片桐隆夫氏があいさつを行ない、2月17日に発表された日産のSUPER GT(GT500/GT300)参戦体制、Nissan Z GT4パイロットプログラムによる参戦体制、さらにはフォーミュラEの参戦体制などに関して説明を行なった。なお、その体制に関しては以下の記事で既報であるため、そちらも合わせて参照していただきたい。

12号車 カルソニック IMPUL ZがGT500シリーズチャンピオンを獲得
56号車 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-RがGT300シリーズチャンピオンを獲得
62号車 HELM MOTORSPORTS GTR GT3がスーパー耐久ST-Xクラスシリーズチャンピオンを獲得
シリーズチャンピオンを獲得したクルー
ニスモフェスティバルは2023年も開催予定

 片桐氏は「昨年は日産にとって素晴らしい年になった。SUPER GT/GT500では8戦中3勝し、全レースで日産 ドライバーが表彰台を獲得し、12号車が年間チャンピオン、3号車がシリーズ2位に入った。また、シーズンオフには3年ぶりにニスモフェスティバルを開催でき、ファンの皆さまと喜びを分かち合えた」と述べ、昨シーズンが日産にとって素晴らしい年になったと強調した。

 その上で上記の今シーズン体制についてもう一度説明。最後に今シーズンも状況が許せばニスモフェスティバルを開催したい意向であることを明らかにし、「レーストゥウインの精神でチャレンジしていく。コロナの状況も大きく変わりつつあるので、状況が許せばファンの皆さまにもぜひサーキットに足を運んでいただきたい」と述べた。

日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社 副社長 松村基宏氏
松田次生選手

 続いて、そのSUPER GTの総監督を務める日産モータースポーツ&カスタマイズ 副社長 松村基宏氏がSUPER GTのチームを代表して、そして23号車の松田次生選手がドライバーを代表してあいさつを行なった。

 松村氏は「全チームが優勝を争いファンの皆さまにワクワクしていただけるようなレースを展開していきたい。引き続き応援よろしくお願いしたい」と述べ、松田選手は「日産系のチームで連覇を達成できるように頑張っていきたい。コロナ前の状況に早く戻れるように、ファンの皆さまにはサーキットに駆けつけていただき、熱い走りを応援してほしい」と述べ、社会の状況が改善されることに期待感を表明し、ファンの方々にサーキットに来てほしいと呼びかけた。

コンドーレーシング近藤監督「2023年は日産の年で負けられない年」

サッシャ・フェネストラズ選手

 続いて第2部として、フォーミュラE日産・チームのノーマン・ナトー選手、サッシャ・フェネストラズ選手がビデオでフォーミュラEの見どころなどを説明したほか、Nissan Z GT4でピレリGT4アメリカチャンピオンシップに参戦する米国のTechSport Racingの関係者などが今シーズンの期待感を表明した。

ノーマン・ナトー選手

 また、SUPER GT/GT500の各チームの監督とドライバー、SUPER GT/GT300のGT3オフィシャルパートナーチーム(GAINER/コンドーレーシング)、さらにはNissan Z GT4に参戦するTEAM IMPULとTEAM ZEROONEのドライバーやチーム関係者などが参加してトークショーが行なわれた。

 GT500のトークショーには2022年のチャンピオンチームであるTEAM IMPULの星野総監督やコンドーレーシングの近藤真彦監督、そして2022年のGT500チャンピオンドライバーとなる平峰一貴選手、ベルトラン・バゲット選手などが参加してさまざまなトークが繰り広げられた。

トークショー
TEAM IMPUL 星野一義総監督
コンドーレーシング 近藤真彦監督

 中でも24号車 リアライズコーポレーション ADVAN Zの近藤真彦監督は「2023年は日産の年と言われている、絶対になんとかしないといけない年だ」と述べ、語呂で日産の意味になる23という数字を冠した2023年は日産陣営として負けられない年だと強調した。なお、自チームとしてはカーナンバーと同じ24年を狙っているということを付け加えることを忘れなかった。