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スバル、次期社長CEOの大崎篤氏「新たな時代の新たなスバル作り」へ意気込みを語る

2023年3月3日 発表

取締役会長への就任が内定した現代表取締役社長CEO(最高経営責任者)の中村知美氏(左)、代表取締役社長 CEO(最高経営責任者)の就任が内定した現取締役専務執行役員 製造本部長の大崎篤氏(右)

 スバルは3月3日、次期代表取締役社長CEO(最高経営責任者)に、大崎篤氏が就任する社長人事を内定した。同日記者会見が開催され、次期社長の大崎氏は「中村とともに進めてきたスバルブランドとしての大きな方向性は堅持しつつ、新たな時代の新たなスバル作りに向けて、新しい役員、体制、スバルグループ、すべての社員とともに着実に前進していきたいと思っております」との意気込みを述べた。

 この社長交代は、同日開催の取締役会において内定したもので、現在の代表取締役社長CEO(最高経営責任者)の中村知美氏は取締役会長に就任予定で、6月開催予定の第92期定時株主総会と株主総会終了後の取締役会を経て正式決定予定としている。

 社長交代の理由については、2018年に策定した中期経営ビジョン「STEP」の取り組み5年間の区切りとともに、自動車業界を取り巻く大変革期への適応を加速させるため、新たな体制に移行することを目的としたものとしている。

 新たに社長に就任する大崎氏は1962年4月19日生まれで、1988年4月に富士重工業株式会社(現 株式会社SUBARU)入社。現在は、取締役専務執行役員 製造本部長を務めている。

 大崎氏について、現社長の中村氏は「後任となる大崎ですが、元々はエンジン設計のエンジニアの出身です。しかしながら、その後のキャリアはとてもユニークで、労働組合の専従役員、商品企画、品質保証、そして直近では製造部門と多種多様な部門を経験し、それぞれでしっかりと実績を出してきてくれました。また、現場を大切にする方であり、社内外からも人望の熱い人物です。さらに、当社で定めるあるべきCEO像に照らしても、すべての要素において、その資質を実感できる人物だと考えています」と紹介。

 そして、自身について、中村氏は「現在、そしてこの先もクルマの電動化対応だけでなく、企業活動全体を通じたカーボンニュートラルへの対応を含め、難しい舵取りが求められる時代は続くと思っております。私自身は執行の第一線からは1歩引くものの、会長としてしっかりと新社長を見守り、支え、そして、新体制を全力でサポートしていくつもりでございます」との考えを述べた。

答えはマーケットにある、答えは生産や開発の現場にある

代表取締役社長 CEO(最高経営責任者)の就任が内定した現取締役専務執行役員 製造本部長の大崎篤氏

 記者会見で自身の経歴を紹介するあいさつの中で、大崎氏は「特に2017年に発覚した完成検査に関わる不適切事案の対応においては、本事案の調査、各種対応策や再発防止策の策定と実行を国土交通省さんへの報告等に奔走しました。以降は、現社長の中村とともに、この問題の起因となった社内の組織風土改革、品質改革を強力に押し進めてまいりました。直近では、製造部門を担当しまして、これからの電動化の流れも踏まえた国内生産体制再編計画の策定と実行を指導し現在に至ります」と、最近までの取り組みについて振り返った。

 新たに社長に就任することに対して、大崎氏は「われわれ自動車業界にとって、大変革期と言われるこのタイミングで、混沌とした予測不能な時代における舵取りを現社長の中村の後を引き継ぎ、担うことに身の引き締まる思いでいっぱいでございます。先が見通しづらいからこそ、地に足をつけ、軸をぶらさず、前をしっかり向いて、この重責を果たしていくことが、これからの私の仕事であると強く思っております」と話した。

 また、会社経営にあたり大切にしていることについて、大崎氏は「これまで商品開発の最上流から、アフター領域に至るまで物づくりに関わる多くの部門に携わってきた経験から、私自身、常日ごろから感じているのが、現場が大事だという思いです。行き詰まった時はいつも現場を訪れ、何かしらの答えにつながるヒントを得てきました。答えはマーケットにある、答えは生産や開発の現場にある、こういう考えのもとに常に現場に寄り添い大事にしながら、当社のありたい姿である“笑顔を作る会社”、このグリーン化に向けて、経営の舵取りを進めてまいりたいと思っております」との思いを述べた。

激動の中での経営の舵取りであった

取締役会長への就任が内定した現代表取締役社長CEO(最高経営責任者)の中村知美氏

 一方、社長を交代する中村氏は「この5年間は、完成検査問題からの信頼回復への歩み、そして皆さまご存知の通り、コロナ禍での対応。そして、今なお継続している半導体をはじめとする部品供給課題など、本当に激動の中での経営の舵取りでありました。後任にバトンを渡すにあたっては、不安定な状態のままでのバトン渡しは当然できない、経営として責任あるバトン、私としては、そういう思いでやってきました」と、社長を務めた5年間を振り返った。

 このタイミングでの社長交代について、中村氏は「そういう意味では、外部環境も含めて、一時期のコロナも含めてですけれども、最悪の状況からは脱出しつつある。また、会社の体質や利益構造にも改善の兆しが見える。このタイミングが、バトンタッチにふさわしいのではないか。いや、また本当に正しいのかと悩み考え、そういったことも踏まえて、特にこの1年間、社外取締役を含む役員、指名会議での議論も深めてまいりました。そして、本日の取締役会決議、今日の発表に至ったという次第でございます」と説明した。