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フォルクスワーゲン、2023年の活動について記者会見 新型BEV「ID.Buzz」とともに正規輸入70周年を記念する「ゴルフ」特別仕様車の導入を予告

2023年3月9日 開催

SHARE GREEN MINAMI AOYAMAに展示された新型BEV「ID.Buzz」(中央)。その両サイドに展示されるのは「タイプ2」

 フォルクスワーゲン ジャパンは3月9日、SHARE GREEN MINAMI AOYAMA(東京都港区南青山)において記者会見を行ない、2022年の振り返りと2023年の活動について説明した。

 2023年は日本へのフォルクスワーゲン正規輸入を開始して70年目を迎える記念の年となっており、会場では「ゴルフ」「ゴルフ ヴァリアント」の特別仕様車を年内に発売すること、新型BEV(バッテリ電気自動車)「ID.Buzz」を2024年末以降に日本市場に導入することが発表された。

 ID.Buzzについては2022年3月に本国で発表されており、5人乗りのID.Buzzとともに3人乗りのバン仕様「ID.Buzz Cargo」も公開されているが、現段階で日本市場に導入することが決定しているのはID.Buzz。欧州や米国に次ぐ早さで市場導入することがアナウンスされており、日本市場が重要視されていることがうかがえる。

 また、正規輸入を開始して70周年を迎えるということで、日本のユーザーに感謝を込めたさまざまな活動を今後展開していくとしており、その活動については同日公開の70周年記念スペシャルサイトで案内する。活動の詳細については検討中の段階とのことだが、ユーザーを集めた特別なイベントも考えているという。

2022年12月に東京ミッドタウンで公開されたID.Buzzと同様のモデル。右ハンドルのアイルランド仕様
長年フォルクスワーゲン ブランドのアイコンとして親しまれてきた「タイプ2」(第1世代:T1)。現役オーナーから拝借したモデルという
同じくタイプ2だがこちらは第2世代のT2。フォルクスワーゲン社員の手によってレストアされたモデル

ID.Buzzはこれからブランドのイメージを構築する重要な役割を担うモデル

フォルクスワーゲンブランド ディレクター アンドレア・カルカーニ氏

 記者会見ではフォルクスワーゲンブランドのディレクターであるアンドレア・カルカーニ氏が登壇。

 2022年のフォルクスワーゲンブランドにおける販売状況は、半導体不足などにより大幅な生産制限がかかったため大きな影響を受けたとしつつ、ブランドの世界販売台数は456万台を記録。中でもBEVは対前年比で23.6%増となる33万台を記録し、カルカーニ氏は「私たちの電動化戦略を強力に推進し、それが成功したということになります」と述べる一方で、日本市場は対前年比で9%減の3万2091台にとどまったとし、「私たちが望んだ結果ではありませんし、この結果に満足しているわけではありません。こういった状況にも関わらず、ディーラーは利益を確保することができました」と報告。

2022年の世界販売台数は456万台。BEVは対前年比で23.6%増となる33万台を記録した
日本市場は対前年比で9%減の3万2091台にとどまった

 また、日本では現在内燃機関モデルとBEVという2本柱で戦略を立てているといい、「日本のお客さまは非常に内燃機関の商品に対して熱意を持ってくださっていることを存じ上げておりますので、日本市場には引き続きゴルフ GTIやゴルフRといったパフォーマンス車、そして柱となるT-Rocやポロを提供してまいります」と述べるとともに、日本導入したばかりの新型BEV「ID.4」2022年モデルが数日で完売したとし、その成功の理由についてID.4が安全で、信頼性が高く、乗って楽しいという100%フォルクスワーゲンのモデルであることを挙げた。

 また、ID.4の導入に伴い盤石のサービス体制を敷いているとし、ID.4取り扱い店舗の158拠点に90kW以上の急速充電器を設置したこと、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェの3ブランドによる独自の充電ネットワーク「プレミアムチャージングアライアンス(PCA)」の年会費およびフォルクスワーゲン販売店での充電をひと月あたり60分まで1年間無料で利用できる会員特典を用意したこと、買取価格保証型の残価設定ローン「フォルクスワーゲン ソリューションズ」の特別残価設定といった特典を設定したこと、BEVについての質問に特化した24時間365日対応の問い合わせ窓口「ID.コンシェルジュ サービス」を設置したことなどを紹介。加えて「ID.4では今回初めて国産ブランドと対等に戦える価格設定をいたしました。BEVの場合は国産車との価格差が内燃車に比べると比較的小さいという事情がありますので、ID.4につきましては日本市場でも非常に大きなポテンシャルが眠っていると信じております」と、今後の販売に期待を寄せた。

 そのほか、2022年は輸入車モデル別販売ランキング(日本自動車輸入組合調べ)のトップ10にゴルフ(3位)、T-Cross(5位)、ポロ(6位)、T-Roc(8位)がランクインしたことや、T-Crossが3年連続で輸入車SUV販売台数No.1を獲得したことを報告し、「こういった幅広いラインアップを提供するうことでお客さまをさらに開拓することができると信じております」と2022年を振り返った。

日本では現在内燃機関モデルとBEVという2本柱で戦略を立てている
ID.4に対する充実のサービス体制
ID.4取り扱い店舗の158拠点に90kW以上の急速充電器を設置
2022年は輸入車モデル別販売ランキングのトップ10に4台のフォルクスワーゲン車がランクイン

 一方、2023年についてはゴルフファミリーとID.4 2023年モデルが柱になるとし、ID.4 2023年モデルはバッテリ容量などは従来と同じだが、制御にかかわるハードウェアおよびソフトウェアの改良により、航続距離がさらに延伸。一充電走行距離(WLTC)は「Lite」が388kmから435kmに、「Pro」が561kmから618kmにそれぞれ拡大。これに伴い価格はエントリーグレードの「Lite」が514万2000円、上級グレードの「Pro」が648万8000円となる。また、これまではID.4取り扱い店舗の158拠点に90kW以上の急速充電器を設置していたが、3月1日時点で217拠点に拡大したことも報告され、「2023年度末までにはすべてのフォルクスワーゲンディーラーに90kWの急速充電器を設置することを狙っております」(カルカーニ氏)と今後の展開についても触れた。

 また、正規輸入を開始して70年目を迎える記念の年に導入する「ゴルフ」「ゴルフ ヴァリアント」の特別仕様車については、「今回ゴルフのプラチナムエディションを導入いたします。日本とフォルクスワーゲンの結婚というような形でプラチナという名前をつけました。非常に競争力のある価格と非常に高いテクノロジーとクオリティーをお客さまにご提供いたします。ナビゲーション、IQ.LIGHT、ヘッドアップディスプレイ、17インチアルミホイールを標準装備しており、非常に競争力のある価格でご提供いたします。このゴルフはまさに日本のお客さまの期待に応えることができるモデルであり、新規のお客さまも獲得することができるモデルと信じております」と自信を見せた。

2023年はゴルフファミリーとID.4 2023年モデルが柱に
D.4 2023年モデルでは一充電走行距離(WLTC)が拡大する
急速充電器の設置店舗は3月1日時点で217拠点に拡大
70周年を記念するロゴ
2023年に導入するゴルフ プラチナムエディション

 加えて2024年末以降に日本市場に導入することがアナウンスされたID.Buzzについては、「このアイコン的なモデルが日本のお客さまにとって非常に重要なものだというのを十分理解しておりますので。ID.Buzzはこれからブランドのイメージを構築する重要な役割を担うモデルになるでしょう」と述べたほか、「LOVEという言葉をフォルクスワーゲンブランドのトップマネージメントであるトーマス・シェーファーが最近よく使っているのですが、私たちは愛されるブランドとしての立ち位置をもう1度取り戻したいと思っております。世界中で、そして日本でもフォルクスワーゲンはお客さまから愛され、多くのお客さまから選んでいただけるブランドです。その理由としてはドイツならではの品質の高さ、信頼性の高いクルマ、また安全性の高いクルマという特徴があります。こういったバリューを維持しながら、さらにインスパイアするブランド、そしてよりモダンなブランドに、そしてこれからフォルクスワーゲンを買われるお客さまにきちんと戦略を説明し、社会に、そして環境に対するコミットメントをしっかりお伝えしたいと思います」と述べプレゼンテーションを締めくくった。

ID.Buzzは2024年末以降に日本市場に導入
「愛されるブランドとしての立ち位置をもう1度取り戻したい」とカルカーニ氏