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ジャガー・ランドローバー、今後5年間で150億ポンドを投資して電動化とモダンラグジュアリーメーカーへの変革を加速

2023年4月19日(現地時間) 発表

バッテリEV専用の生産施設へと改装されることが発表された英国のヘイルウッド工場

 ジャガー・ランドローバーは4月19日(現地時間)、モダンラグジュアリーな自動車メーカーになるための変革を加速する計画を発表。産業フットプリント(事業全体から排出される温室効果ガスの排出量)、車両プログラム、自動運転、AI(人工知能)、デジタルテクノロジ、人材スキルなどに、今後5年間で150億ポンドの投資を行なうと明かした。

 この計画のなかでは、英国のヘイルウッド工場をバッテリEV(電気自動車)専用の生産施設に改装を行ない、EMA(エレクトリファイド・モジュラー・アーキテクチャ)を採用したバッテリEVモデルとなる新型「レンジローバー」を生産し、2023年後半から予約を開始し、2025年に発売する予定としている。

英国のヘイルウッド工場

 また、バッテリEV専用のプラットフォームEMAとは別に、フレキシブルなMLA(モジュラー・ロンギチューディナル・アーキテクチャー)は、内燃エンジン(ICE)、ハイブリッド車、バッテリEVモデルの生産用に今後も維持するとしていて、排出ガス量実質ゼロという目標に向けてさまざまな速度で歩みを進めている世界市場のニーズを満たす車両ラインアップを展開できるように、柔軟な体制を構築するという。

 さらにジャガー・ランドローバーは、「REIMAGINE」戦略の次のステップとして「House of Brands(ハウス・オブ・ブランズ)」アプローチの採用を発表。これは目の肥えたユーザーのためにモダンラグジュアリーブランドの自動車メーカーになるべく、「レンジローバー」「ディフェンダー」「ディスカバリー」「ジャガー」それぞれがブランド独自の特徴を強化しながら、ビジョンの実現を加速するためのもの。

 この「House of Brands」アプローチについて、ジャガー・ランドローバーのチーフ・クリエイティブ・オフィサーのプロフェッサー・ジェリー・マクガバンOBEは、「私たちのREIMAGINE戦略にとって極めて重要なのは、House of Brandsアプローチの採用です。これは自然な進化であり、特徴的な英国ブランドの独自性を高め、さらに強化することを目的としています。私たちの最終的な目標は、お客さまのために真にエモーショナルで魅力的な体験を提供することです。これを達成することで、時間の経過とともに、私たちのブランドの長期的な価値が高まり、長期的なサステナビリティも実現することが可能になります」と述べている。

英国のヘイルウッド工場

「ジャガー」ブランドも再構築を図る

 ジャガーブランドの再構築については、モダンラグジュアリーを具現化する3モデルの投入を明かしていて、最初のモデルは英国ウェストミッドランズのソリハルで生産する4ドアGTモデルであると発表。この新型モデルは「JEA」と名付けられた新しい専用アーキテクチャをベースに開発され、ジャガー史上最高の出力と最大700kmの航続距離を備え、10万ポンドを上まわる価格設定になる予定という。この新しいジャガーの4ドアGTモデルの詳細は、2023年後半に発表、2024年には一部市場で発売し、2025年から納車を開始する予定と明かしている。

 前出のプロフェッサー・ジェリー・マクガバンOBEは「私たちは、モダンラグジュアリー・ブランドとしてのジャガーの根本的な再構築をしました。ジャガー変革の鍵は、そのデザインが他のどのクルマにも似ていないということです」とコメントしている。

その他の工場施設の変革もスタート

 ヘイルウッド工場のバッテリEV専用生産施設への改装とは別に、英国のウルバーハンプトンにあるEMC(エンジン・マニュファクチャリング・センター)は、現在INGENIUM内燃エンジンを生産しているが、将来的には次世代車両用の電気駆動ユニット、バッテリパックを生産して、電動化の未来に対応することを公表。これに伴いEMCは、エレクトリック・プロパルション・マニュファクチャリング・センターに名称を変更するとしている。

 また、ジャガー・ランドローバーのボディを製造する金属プレス工場として長い歴史を誇るキャッスルブロムウィッチ工場は、将来的にはプレス設備を拡張して次世代バッテリEVのボディを製造することになるという。

ジャガー・ランドローバーの各工場の役割

 ジャガー・ランドローバー最高経営責任者(CEO)のエイドリアン・マーデル氏は「2年前、私たちはREIMAGINE戦略を立ち上げ、それ以来、記録的な需要を喚起したディフェンダーシリーズに加え、高評価を受けた2台のモダンラグジュアリーなモデル、レンジローバー、レンジローバースポーツを市場に導入して、大きな進歩を遂げてきました。私たちはパンデミックと半導体不足による逆風のなかで、これを達成しました。収益性の高いモデルの生産が順調に増えたことで、第3四半期には利益を計上しました。本日、電動化への道筋を加速し、英国のヘイルウッド工場と次世代のミッドサイズ・ラグジュアリーSUVアーキテクチャーを完全に電動化することを発表でき、誇りに思います。この投資により、モダンラグジュアリーな電動化の未来を実現し、新しいスキルを開発し、2039年までに排出ガス量実質ゼロにするという目標を達成するというコミットメントに向けて歩みを進めることが可能になります」と述べている。