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SUPER GT第2戦富士 坂東代表定例会見「完売になるほど多くの観客を集められた。モータースポーツも元気だと知ってほしい」

2023年5月4日 実施

左から株式会社三栄 取締役副社長 鈴木賢志氏、株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏、株式会社MOST 代表取締役 松岡隆一氏

 SUPER GT第2戦「2023 AUTOBACS SUPER GT Round2 FUJIMAKI GROUP FUJI GT 450km RACE」(以下、第2戦富士)が、5月3日~4日の2日間にわたり静岡県駿東郡小山町の富士スピードウェイで開催された。

 ゴールデンウィークの中日にあたる5月4日の13時30分から450km(100周)の決勝レースが行なわれたが、それに先だって午前中には、SUPER GTのプロモーターであるGTアソシエイション(以下、GTA)による定例会見が行なわれた。GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏は「今回の富士スピードウェイのレースは前売りの駐車券が完売となり、前売り券の販売が満員御礼となった」と述べ、今回の第2戦富士が多くの観客を集めて、コロナ禍前、ないしはそれ以上の状況になってきているとアピールした。

 富士スピードウェイの発表によれば、第2戦富士の観客数は5月3日が3万1600人、5月4日が4万8600人で、2日間のべで8万200人とされており、コロナ前の約9万人という数字にかなり近づきつつある状況だ。

2023年の新しい協賛企業として「オートスポーツ」の三栄とデジタルサイネージの「MOST」が参画

株式会社三栄 取締役副社長 鈴木賢志氏

 開幕戦のGTA定例会見では、30年にわたってSUPER GT(および前身の全日本GT選手権)のタイトルスポンサーを務めているオートバックス、また本年からSUPER GT車両の1/43モデルカーの独占制作を行なう「SPARK JAPAN」の代表者がゲストとして呼ばれ、そのパートナーシップについて説明する機会が設けられた。今回の第2戦でも三栄とMOSTがゲストとして呼ばれ、今シーズンから両社がSUPER GTの協賛企業として参画することが明らかにされた。

 三栄 取締役副社長 鈴木賢志氏は「弊社ではautosport webというモータースポーツ専門のWebサイトを20年近くやっているほか、雑誌のオートスポーツは50年以上発行しており、長年モータースポーツに関わっている。今回GTAさんとの提携では主にプロモーションについて関わる計画で、GTAと共同でレースを盛り上げていきたいと考えている。本年コロナも明けて、観客のみなさまにサーキットに来ていただくべく集客が大事になる。そうした点でモータースポーツ振興に協力していきたい。また、autosport webでも動画コンテンツを増やしていき、レースに来たことがない人にアピールしていきたい」と述べ、オートスポーツブランドでWebと雑誌を展開している三栄が、SUPER GTの集客を実現する取り組みでGTAと協業していくと説明した。

株式会社MOST 代表取締役 松岡隆一氏

 MOST 代表取締役 松岡隆一氏は「表彰台の背後にあるビジョンを提供することで協力してサポートしていく。弊社はデジタルサイネージやITサービスを提供している企業で、SUPER GTを大いに盛り上げていきたい」と述べた。今シーズンのSUPER GTの表彰台ではMOSTが提供するデジタルサイネージがお立ち台の背後に置かれており、今シーズンのレースにおける表彰式を盛り上げる役割を果たすことになる。

表彰式で使われたデジタルサイネージ

 GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏は「今回新しいパートナーとして両社をお迎えすることができてうれしい。コロナが明けたことで、各スポーツに多くのお客さまがつめかけている。そうした中でモータースポーツは元気だと、われわれの手で発信していきたい。三栄さま、MOSTさまと協力してサイネージや映像などを活用して、お客さまに分かりやすくアピールしていくためにご協力いただくことで1年間一緒に盛り上げていきたい。われわれとしてはスポンサーとして1年といわずずっと一緒にやっていただきたいので、ウインウインになるようにしていきたい」と述べ、両社がSUPER GTの振興に向けて協力してくれることに期待感を表明した。

2日間で述べ8万人が訪れたGWのレースイベント、来年は駐車場の課題を解消してさらにお客さまをと坂東代表

株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏

 発表会後は通常の定例会見に移行し、坂東代表が記者からの質疑に答えた。この中で坂東代表は「今回は前売りの段階で完売御礼となった」と述べ、富士スピードウェイが用意した駐車券完売したことなどを明らかにした。

──先月には感染症関連のさまざまな制約がなくなった中で、開幕戦が行なわれた。そのイベントを終えての坂東代表の感想は?

坂東代表:われわれはコロナ対策をきちんと1つ1つやってきた。最初にコロナに直面したのは、まだ開幕前の富士スピードウェイでのテストだったが、すでに多くの機材を搬入し終わっており、さらにトレーラーが東ゲートで待っているような状況だったが、そこから東京都の対策の動きが強まるなどの社会の動きもあり中止という決断にいたった。それから独自の対策を行なうことを決定し、2020年には8レースを無観客などもありながらやれた。

 やれることはやれたが、われわれにとってはお客さまがスタンドにいらしゃって、多くの声援を送ってくるという日常がどんなに大事かを実感することになった。

 コロナが実質的に明けて、岡山のレースでは雨の中だったが、より多くのお客さまが来て声を出して応援してもらい、パドックにもお客さまに戻っていただくことが可能になった。そうした環境がわれわれは必要であり、お客さまがあってこそのSUPER GTであり、モータースポーツであることをプロモーターとして再度確認させていただいた。

 これから感染症対策は自己管理ということでお願いし、さまざまな課題はあるが、みなで協力してむかえられた岡山のレースだった。今回は3日、4日と晴れた中でレースをむかえられ、ファンのみなさまに応援していただき、サーキットに来ていただくことが必要であると再度自覚しているところだ。

──天候の話も出たが、岡山では雨で寒かった。公式予選の走行時間帯が伸ばされた(筆者注:Q1が当初予定では10分だったのが15分に伸ばされた)。安全面で考慮されたと思うが、各チーム、タイヤメーカーの作戦、延長で結果に影響がでたのではないか? タイヤメーカーからは、急遽の時間変更には意見があったと聞いているが?

坂東代表:やっている側からすれば、タイヤが温まる時間や雨量なども考慮に入れて、チェックする必要もあるだろうということで、審査委員会とレースディレクターが話し合って10分から15分に伸ばすことを決断した。確かに前例がなかったし、30分前というギリギリに通知したことなどには改善点があるとは思っており、そこをタイヤメーカーなども戸惑ったのではないだろうか。ただ、常に言っているがわれわれとしてはタイヤメーカーには長く持つタイヤを作ってほしいとお願いしている。10分でちょうど発熱するタイヤを作っているところだと思っているし、それが15分だとうまく作動しないというタイヤを作っていることもないと思っている。長く作動するタイヤを作っていただくことを、タイヤメーカーには再度お願いしたいし、その方向をタイヤメーカーには理解していただいていると考えている。

 確かに、エンジニアやチーム、タイヤメーカーにもっと早く伝えられていれば、もっとよかったとは思う。例えば前日にはその可能性を伝えるとか、そういうことはあっていいかもしれない、そこは今後の検討課題だ。しかし、岡山の低温下での雨には怖さもあるので、安全に予選を行なうために10分を15分にしたのは間違っていなかったと考えている。

──今回のレースでは61周終了時に赤旗終了になっており、フルポイントが付与される75%に達していないのではないかという意見も多かった(※82の75%は61.5のため)が、それがフルポイントになった理由を教えてほしい。

坂東代表:周回数についてはきちっとしたルールに沿った規定でやっている、その違いは未満や以上という言葉の意味と解釈の総意が要因になっている。

広報担当:補足すると、周回数(82周)の75%は61.5になる。SUPER GTではこの小数点以下を切り捨てるという決まりになっており、そのため61周でレースがフルポイントで成立ということになった。実はこの規定はJAFでは決まっておらず、各シリーズの判断に任されている。このため、今回は61周でフルポイントという決定になった。

坂東代表:岡山の時に行なった監督ミーティングの資料にも、61周完了でフルポイントのレース成立になると書かれており、そうした規定に従った結果であるとご理解いただきたい。

──両日多くのお客さまに来ていただいている(富士スピードウェイの発表によれば、2日間で約8万人)が、そうした様子を見た坂東代表の感想をうかがいたい。

坂東代表:前売り券は完売したと聞いている。当日券も一応あるそうだが、駐車券が完売しているため、電車とバスで来ていただける方には当日券を買って入っていただけるが、クルマで来られる方に関してはお断わりしている状況だ(富士スピードウェイ側からは、過去に場外に違法駐車をしてしまうことが問題になったため、駐車券を持たない観客はお断わりしている状況だという)。

 大事なことはこの時期に行なわれているモータースポーツのイベントにこれだけのお客さまに来ていただいて、モータースポーツもほかのスポーツと同じようにこんなに元気だということを見せられることだ。今回のイベントではそうした「完売御礼」という形に持っていけたことは前向きなことだと評価している。来年に向けてはぜひ駐車場の問題を解消していただいて、もっと多くのお客さまをお迎えすることができたらいいと思っている。

──本年から始まったカーボンニュートラルフューエル(CNF)の導入だが、GT500では1レースが終わったが、1レースを終えて何か新しい知見などはあったか?

坂東代表:世界的に見ても、E10やE20といった合成燃料をガソリンに混ぜた燃料をモータースポーツに利用する例というのはあったが、われわれがやっているCNFのように合成燃料をそのままレースに使うというのはおそらく初めてではないか。実際に1レースやってみると、希釈の部分は多く出ており、その対策は今後も進める必要がある。そして次に行なわれる鈴鹿のテストではGT300の車両に入れてみて、実際に走らせる計画だ。

 現在このCNFは国外から輸入する形になっているが、それをやはり国産にしたいという希望をわれわれは持っており、こういう経験を燃料サプライヤーや経産省をはじめとした政府ともやりとりをしながら発展させていきたいと考えている。

──最後に板東代表からまとめを

坂東代表:昨年のレースでは事故で赤旗などもあり、450kmを完遂できなかったが、本年はいい天候だし大丈夫だと思っている。新しい取り組みとして持ち込み本数の制限などを作り、さまざまなことを考えながら持続可能なモータースポーツを作る取り組みを1つ1つやってきている。今回は多くのファンのみなさまにお越しいただき、満席御礼という状況で、モータースポーツも元気なのだということをさらに発信していきたいと考えている。