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TI、EVの航続距離を充電1回あたり最大7マイル延長可能なSiCゲートドライバ「UCC5880-Q1」

新型SiCゲートドライバ「UCC5880-Q1」

TIの新型SiCゲートドライバ「UCC5880-Q1」

 TI(テキサス・インスツルメンツ)は5月16日、新型ゲートドライバ「UCC5880-Q1」を発表した。同日説明会を開催し、「UCC5880-Q1」の詳細について解説を行なった。

 解説を行なったのはTI HEV/EV事業部 ゼネラル・マネージャ マーク・イング氏。マーク氏は、トラクションインバータ、バッテリ管理システム、OBC(オンボード・チャージャ)、DC/DC コンバータという、電動化の3つの主要分野に特化したシステム・エンジニアのチームを率いている。

TI HEV/EV事業部 ゼネラル・マネージャ マーク・イング氏

 マーク氏によると新型ゲートドライバ「UCC5880-Q1」は、トラクションインバータシステムによる効率を改善し、EVの航続距離の最大化を図っていくものだという。20Aもしくは5Aを単位としてゲートドライブ能力をリアルタイムで可変でき、SiCスイッチング損失を低減することで効率が最大で2%改善するとしている。

 この2%は1回のバッテリ充電あたりのEV航続距離を最大7マイル(11.2km)延長するものであり、EV所有者が1週間に3回充電する場合、同じ充電回数で自動車の年間累計航続距離を最大1000マイル(1600km)延長するという。

高電圧半導体について
高電圧電力変換設計への取り組み
航続距離を最大化
トラクションインバータ対応のTIの半導体
高効率ゲートドライバについて

 TIは「UCC5880-Q1」の量産開始前サンプルをTI.COMから1000個単位であれば単価5.9ドルで購入可能としており、評価基板についても249ドルで購入可能。また、800V/300kWシステムのリファレンスデザインについても紹介され、SiC MOS-FETのインバータシステムを実現できていることを示した。

 TIでは、GaN統合型ドライバと保護機能、絶縁型ゲートドライバ、絶縁型
DC/DCコンバータとモジュール、C2000リアルタイム制御マイコンなどの製品ラインアップを活用することで 、高電圧システムで電力損失の最小化と効率の向上を実現できるという。

「UCC5880-Q1」の価格や評価基板について
「UCC5880-Q1」のリファレンスデザイン。SiC MOS-FETはWolfspeed製
TIの半導体について

 絶縁型ゲートドライバ「UCC5880-Q1」は、SiCインバータシステムに向けて作られたものであり、SiC MOS-FETを安全に駆動できるものであると紹介した。

 なお、この絶縁型ゲートドライバ「UCC5880-Q1」を使用したシステムは、5月23日~26日にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催される自動車技術展示会「人とくるまのテクノロジー展2023 YOKOHAMA」のTIブースに展示される。