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日本TI、従来よりも最大40%離れた自動車を検出できる新型レーダー・センサを開発 自動車メーカーのADAS開発をサポート

2022年2月2日 発表

離れている車両などを素早く検知することで交通事故減少が期待できる

レーダー・センサの高性能化と小型化を実現

 日本TI(テキサス・インスツルメンツ)は2月2日、自動運転と自動車の安全性向上を目指す取り組みの一環として、先進運転支援システム(ADAS)の物体検知能力を向上する新型レーダー・センサ「AWR2944」を発表した。

 77GHzを利用するAWR2944は、4個のトランスミッタを内蔵したことで従来のレーダー・センサより33%高い分解能(測定の細かさ)を有し、さらに約30%の小型化も実現。加えて、DDMA(Doppler Division Multiple Access)ベースの信号処理に対応した独自のハードウェアにより、従来のレーダー・センサより最大40%遠くの対向車を感知できるとしている。

 そのほかにも、高性能の統合型システム・オン・チップ(SoC)レーダー・センサや高効率のエッジAI(人工知能)プロセッサに加え、レーダー・モノリシック・マイクロ波プロセッサに適した低ノイズのマルチレールPMICである「LP87745-Q1」など、車載用パワー・マネージメントIC(PMIC)も搭載。それにより自動車の「物体の迅速な検出」「ブラインドスポット(死角)の監視」「効率的なコーナリングのナビゲーション」という各機能を強化したことで、より精度の高いADASの開発をサポートできるという。

 TIのミリ波レーダー担当マネージャであるYariv Raveh氏は「車線変更と狭い曲がり角のナビゲーションは、TIのクライアントにとって設計上の非常に複雑な課題になっています。より安全な運転環境を実現できるように、運転支援システムは大量のデータを迅速に高い精度で処理し、ドライバーとの意思の疎通を明確に行なう必要があります」と述べている。

死亡事故や重傷事故の合計50%以上は交差点またはその付近で発生

 米国の連邦高速道路局(Federal Highway Administration)の調査によると、死亡事故や重傷事故の合計50%以上は、交差点またはその付近で発生しているといい、新しい自動車安全要件が国連規則(U.N. Regulation)第79号、および改定版の新車アセスメント・プログラム(New Car Assessment Program:NCAP)規格という形で発効したことにともない、自動車メーカー各社は先進運転支援機能と自動運転機能をサポートできるようにステアリング・システムを改善する必要があるという。

 TIのJacintoプロセッサ担当マネージャであるCurt Moore氏は「曲がり角の周辺での視認性は、自律走行車や半自律走行車にとって、従来から難易度の高い課題でした。この課題によって、自動車の認識能力強化を後押しする質の高い最上級のADAS技術を設計する機会がうまれています。自動駐車や自動運転にとって「AWR2944」センサのようなデバイスを使用し、より遠くを視認できる機能、さらにTIのJacintoプロセッサを使用し、それらのデータをシームレスに処理できる機能は、認識能力と安全性の向上につながります」とコメントしている。