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日本TI、半導体メーカーが語るEV事業戦略 新たに6つのウェハー工場開設を計画

2022年10月26日 開催

日本TI(テキサス・インスツルメンツ)がEV事業戦略に関する記者説明会を行なった

 米国の総合半導体メーカーTIの日本法人である日本TI(テキサス・インスツルメンツ)は10月26日、EV事業戦略に関する記者説明会を実施した。

 登壇したTIのアナログ・パワー製品担当 シニア・バイス・プレジデントであるマーク・ゲイリー氏は、テキサス工科大学 電気工学・コンピュータサイエンスの学士号やサザン・メソジスト大学 経営学の博士号などを取得後、1988年にプロダクト・エンジニアとしてTIに入社。リニア電源やバッテリ管理ソリューション分野の管理職など、アナログ製品事業においてさまざまな職務を歴任し、前職はバック・スイッチング・レギュレータ・ビジネス部門のバイス・プレジデントを担当していた人物。

TI アナログ・パワー製品担当 シニア・バイス・プレジデント マーク・ゲイリー氏

 ゲイリー氏は、「多くのクライアントがより安全で購入しやすい製品作りを実現し、TIの手掛ける半導体が自動車メーカーの生産を最適化することで開発を加速させ、自動車の電動化を推進させます」とあいさつ。

 これまでTIは、40年以上にわたり車載システム向け製品を設計し、7000種以上の車載製品を手掛け、主に電動化や運転支援技術、部品調達の部門で貢献。現在は世界15か所にグローバルに製造拠点を持ち、長寿命を誇る製品設計と高い製造能力によって、今後数十年にわたり、さらなる部品の安定供給を実現するとしている。

グローバルに製造拠点を持つ半導体メーカーのTI(テキサス・インスツルメンツ)

 また、製品の品質管理についても、製造からパッケージング、テスト、納品までを網羅する総合的な品質アプローチを行なうことで、厳格な品質・安全要件を満たすことが可能になり、10~15年以内にテキサス州やユタ州に計6つのウェハー工場を開設予定だと明かし、供給能力を高めて事業継続性を促進するという。

新たなウェハー製造工場の建設予定

 さらに、アナログおよび組み込み製品に最適な45~130nmのプロセス・テクノロジ・ノードへの投資を行なうとともに、デバイスの寿命を延ばすために、耐久性のある部品の再設計も継続的に実施していくとした。

 またゲイリー氏は、主な注力分野として、「運転者に多くの情報を提供しながらも注意力を低下させないような没入型のインフォテイメントシステム。充電間隔が長く、より安全で手頃な価格の車両製造を可能にする高精度のバッテリ監視システム。快適性と利便性を最適化する革新的なアナログおよび組み込みプロセッサ。高精度レーダーSoC、強力なプロセッサ、信頼性の高いパワーマネジメント製品などを含めた車載機器などを手掛けることで、自動車の未来を切りひらく」と説明。

TIの主な注力分野

 バッテリEV(電気自動車)およびPHEV(ハイブリッド車)のパワートレーン分野へも積極的に参画するとしていて、ゲイリー氏は「車両の電動化技術を革新させ、パワートレーンの設計を加速するとともに、機械部品点数の削減により軽量化と燃費向上にも貢献する」と説明。同時にバッテリ管理システムについても、「正確さ」「信頼性」「コネクティッド」の3本柱を向上させることでEVの信頼性と性能向上を図るとしている。

パワートレーンへの参画
バッテリ管理システムの進化
EVの信頼性と性能向上を図る