ニュース

レクサス、新型「GX」世界初公開 新GA-Fプラットフォームを採用しV6ターボ&初の2.4ハイブリッドをラインアップ

2023年6月8日(現地時間) 発表

新型GX

 レクサス(トヨタ自動車)は6月8日(現地時間)、米国・テキサス州オースティンで新型「GX」を世界初公開した。2023年末より、順次各地域に展開していく。

 加えて、より厳しい環境下で求められる機能やデザインを備えた“OVERTRAIL”仕様を新たに設定した。

新型GX
新型GX
新型GX“OVERTRAIL”
新型GX“OVERTRAIL”

 GXは、2002年から北米を中心に販売を開始。ボディオンフレーム構造のSUVとして、高い走破性に加え、上質なインテリアを両立。いかなる環境でも快適な移動体験を提供し、世界の約30の国と地域で2023年3月末までに累計約54万台を販売してきた。

 新型GXは、車両開発コンセプトを「ザ・プレミアム・オフローダー」として、過酷な悪路から街中の舗装路に至るまで、ユーザーがクルマとともに過ごすさまざまなシーンで心高まる体験を提供するために進化。2002年の販売開始以来、初めてプラットフォームを刷新し、LXと同じ新GA-Fプラットフォームを採用して、車両の基本性能を飛躍的に進化させた。新型GX(プロトタイプ)のボディサイズは4950×1980×1870mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2850mmとなる。

走行時の安定した車両姿勢や優れた乗り心地などを実現するために、ドア開口部とロッカー下端のスポット溶接打点を増やしつつ、板金合わせ部分やフロアなどに構造用接着剤を使用。ラジエータサポート上部にクロスブレースを採用するほか、フードロックまわりの剛性向上のために専用のリインフォースを追加。リアまわりではCピラー根元付近とホイールハウスをブレースで結合し、車両前後のバランスを整えることでドライバーの意図に忠実な走りを実現した
EPSにより低速から高速まで速度域に応じた取り回しのしやすい操舵感を実現。加えて、シャフト、チューブの大径化によるステアリング剛性の向上や、インストルメントパネルリインフォースからカウル骨格部までをつなげた環状構造でステアリングからの入力を受けることにより、従来型比ステアリング左右剛性を約50%向上した
衝突安全性や静粛性、走りの質を向上させる新GA-Fプラットフォームを採用。サイドレールとクロスメンバーの一部には厚板や素材が異なる鋼材を適材適所に接合(Tailor Welded Blank)し、重量を増やすことなく必要な強度と高い剛性を実現

 パワートレーンは静粛性と出力、燃費を高次元でバランスさせたV型6気筒 3.5リッターツインターボエンジン(ダイレクトシフト10速AT)のほか、レクサスボディオンフレーム車初となるハイブリッドシステムを組み合わせる直列4気筒 2.4リッターターボエンジン(ダイレクトシフト8速AT)もラインアップされる。

V型6気筒 3.5リッターツインターボ「V35A-FTS」エンジンにはダイレクトシフト10速ATを設定。10速ATは、発進時を除くほぼ全域でロックアップクラッチを作動させ、ダイレクトなフィーリングを実現。また、従来型の6速ATから10速化への変更により、ギヤステップのクロス化、全体のギヤレシオのワイドレンジ化を実現し、リズミカルで心地のよい走りと、燃費、発進加速、オフロード性能の向上を同時に果たしている。さらに、駆動力特性と変速タイミングを最適化。高回転域までの伸びやかなトルク特性を引き出すような気持ちよい加速感を活かし、ドライバーの意思に寄り添った力強い加速を実現している
高熱効率な直列4気筒 2.4リッター「T24A-FTS」エンジンと新開発のダイレクトシフト8速ATの間に、モーターと湿式クラッチが一体となったフロントモジュールを組み合わせたハイブリッドシステムを採用。トランスミッションがエンジンの動力伝達を行ない、フロントモジュールはHEV機能(エンジン始動、EV走行、回生など)を担っている。元来より堅牢なエンジン・ATのシステムを活かしつつ、フロントモジュールを加えたHEVシステムとすることで、フレーム車にふさわしいロバスト性に貢献。本格オフローダーの本質でもある「行きたいところに行き、帰ってこられるクルマ」にふさわしいハイブリッドシステムとした

 悪路走破性も、オフロード走行性能を追求したパッケージや、伝統のリアリジッドサスペンション方式とホイールアーティキュレーションの伸長に加え、レクサス初採用のE-KDSS(Electronic-Kinetic Dynamic Suspension System)などを通じて路面追従性を一段と向上。電動パワーステアリングシステム(EPS)の採用で不要な路面情報を低減し、運転により集中できるようにしたほか、悪路でもドライバーの意図通りにコントロールしやすいアクセル・ブレーキの応答性を実現した。

オフロード走破性とオンロードの操縦安定性を高次元で両立するサスペンションを採用。フロントはハイマウントダブルウイッシュボーン式サスペンションとし、安定した車両姿勢を実現するサスペンションジオメトリも徹底的に追求。従来型に対し、コイルスプリングのばね定数の最適化や、キャスタートレールの拡大、キングピンオフセット低減などを行なうことで、直進、旋回、制動時の高い車両安定性を確保し、快適な走行を提供する。リアは、ラテラルコントロールアーム付き4リンクリジッドサスペンションを採用し、サスペンションアーム、ショックアブソーバー配置と特性を作り込み、車軸の動きをコントロールし、制動時の車両安定性を高めている。ショックアブソーバーには伸縮独立バルブとFCD(Friction Control Device )を設定するとともに、サスペンション周辺部品の締結トルクアップにより、締結部剛性を向上。サスペンション特性を最適化しつつ、剛性を向上させ、優れた車両安定性と乗り心地を両立した
レクサス初採用のE-KDSSにより、オンロードの操縦安定性とオフロードの走破性を高次元で両立。前後の電動式スタビライザーを独立制御し、路面状況や前後輪それぞれの状況に応じてより細かくスタビライザーの効果を変化。新開発のサスペンションと組み合わせることで、従来型を超えるホイールアーティキュレーションを実現し、岩石路やモーグル路などにおける路面追従性を向上させ、伝統のオフロード走破性に磨きをかけている
新型GX(プロトタイプ)のアプローチアングル、ランプブレークオーバーアングル、デパーチャーアングル

 さらに、オンロード走行性能では、各部位の高剛性化やEPSの採用などにより軽快ですっきりとした操舵感を実現。長時間移動でも疲労を最小限にするクラストップレベルの静粛性や、本格オフローダーでありながらもレクサスらしい上質な乗り味を実現した。

 エクステリアデザインでは、高い走行性能の提供に寄与する「機能的本質や動的性能に根差したプロポーションと独自性を追求したデザイン」を本格オフローダーとして表現。高い走破性と冒険心をくすぐる外観でありつつ、あらゆる道でドライバーが快適に運転できるデザインとした。

 インテリアでは、オフロード走行時の全方位における視認性などの機能性に配慮しつつ、使い勝手に優れたさまざまな機能を備え、どのような環境の中でも安心感をもたらすモダンで快適な室内空間を提供する。

2列目シートはキャプテンシートもしくはベンチシートのいずれかを選択可能。3列目シートも設定しており、2列目・3列目シートは十分な前後カップルディスタンスを確保し、実用性を向上している。さらに、3列目シートは左右独立操作が可能な電動折りたたみ機構をオプション装備し、荷室容量を拡大しつつ使用シーンに合わせたシートアレンジを実現した
メーターイメージ
センターディスプレイイメージ
オフロード走行時の操作性を考慮し、ドライバー側に走行系や駆動系スイッチを機能別に配置。カップホルダーにはスライドリッドを採用し、閉じるとスマートフォンなどのデジタルデバイスを置くスペースとなる
ラゲッジアレンジ
5人乗りシートイメージ
7人乗りシートイメージ
ボディカラーイメージ
ボディカラーイメージ
ボディカラーイメージ
ホイールサイズは18/20/22インチを用意

 また、レクサスは「自然の大切さを理解し、楽しみ、守っていくアウトドア体験をお届けしたい」という想いのもと、多様なアウトドアライフスタイルとクルマの楽しさへ寄り添うために、自然とのつながりを想起させる「OVERTRAIL PROJECT」を推進。新型GXは、このOVERTRAIL PROJECTを牽引するモデルとして、雄大な自然環境における新たな体験提供をサポートしていくとした。

 Lexus International 開発担当の塚崎公治氏は「新型GXではLEXUSのアウトドアライフの世界観にフォーカスをあて、自然とクルマとの共生を目指すLEXUSの新たな一面を感じ取っていただくべく開発を進めてまいりました。『LEXUS本格オフローダーのど真ん中を創る』をキーコンセプトとし、単なるモデルチェンジではなく、新たなページを創出するゲームチェンジャーがこのクルマです。旅への衝動をかき立てるデザインや、シーンや道を選ばずどこへでも行ける走行性能にこだわり、世界中のあらゆる道を走り込むことで、伝統のオフロード性能とLexus Driving Signatureに基づくオンロード性能の両面を徹底的に鍛え上げてきました。いつでもどこへでも行ける高い性能はまるでダイバーズウォッチのように、所有する喜びをさらに高め、新たな体験をご提供できると確信しています。LEXUSの『人が自然と共存しながら、幸せを感じられる社会であってほしい』という想いをこのクルマで実現し持続可能な未来へ向け挑戦を続けていきます」とコメント。

 Lexus International Takumi(オフロード)の上野和幸氏は「LEXUS本格オフローダーとして、どんなに険しい道を目の前にしても『このクルマとならどこへでも行ける』とお客さまに確信を持っていただけるようオフロード走行性能を作り込んでまいりました。しっかりとした接地感をもたらすサスペンション特性や、ドライバーの細かな操舵、アクセル、ブレーキ操作にも忠実に応える応答性などの走行性能はもちろん、しっかりと周辺環境が確認できる視認性などを、あらゆる環境下での走行試験や、プロラリードライバーの協力も得ながら、徹底的にこだわりました。このクルマの高い悪路走破性が、今まで行けなかったような場所へお客さまを導き、大自然の中でしか得られない新しい体験をご提供してまいります。どうぞご期待ください」とコメント。

 Lexus International Takumi(オンロード)の尾崎修一氏は「GXに乗り込み、走り出した瞬間からLEXUSらしさを感じていただけるようにオンロード性能を作り込んでまいりました。レスポンスよく、ストレスのない気持ちのよい加速感、EPSがもたらすリニアで素直な操舵フィール、コントロール性がよく扱いやすいブレーキや、長旅でも乗員が疲れない静粛性・乗り心地などを実現するために、LEXUSの新たな事業拠点でもあるToyota Technical Center Shimoyamaで走り込みを繰り返し、『人、道、環境』を選ばないどのようなシーンでもLEXUSらしい走りをご体感いただけるよう開発に取り組んでまいりました。乗員のみなさまが、心から『GXでのドライブが楽しい』と感じていただける乗り味を実現できていると信じています」とコメントしている。