ニュース

新生エアレース「渋谷」で復活 世界チャンピオンの室屋義秀選手も参戦する「AIR RACE X」10月15日決勝開催

2023年7月13日 発表

「AIR RACE X 記者発表会」に登場した室屋義秀選手

渋谷の街を舞台に新生エアレースをデジタル開催

 世界チャンピオンの室屋義秀選手らが参加する新生エアレース「AIR RACE X(エアレース X)」の決勝トーナメントが2023年10月15日、日本の「渋谷」を舞台にデジタルラウンドとして開催される。7月13日、渋谷ストリームホールで開催中の「Metaverse Japan Summit 2023」において「AIR RACE X 記者発表会」が開催され、AIR RACE Xについての解説や、2025年のリアル開催に向けた今後のロードマップなどが示された。

 AIR RACE Xでは、実際のフライトと最新のデジタル技術を融合させた新たなレースフォーマットが採用された。AIR RACE Xのデジタルラウンドとして開催されるレースコースは、レースの舞台となる「渋谷」の街に合わせて、参戦する各パイロットの拠点で正確に位置と間隔を計測して作成される。

AIR RACE X プロモーションムービー
AR(拡張現実)技術によって渋谷でエアレースが観戦できる
参戦パイロットの各拠点でフライトデータを収集

 パイロットが飛行したフライト内容については最新のセンシング技術により全データが計測され、そのフライトデータを大会本部が収集・分析し、これらのデータによって競技が行なわれる。そして、渋谷に集まった観客はAR(拡張現実)技術によって、パイロットたちのフライトを間近で観戦できるという仕組み。

 記念すべき世界初の大会には、日本の室屋義秀選手、オーストラリアのマット・ホール選手、カナダのピート・マクロード選手など計8名のエアレースパイロットが参戦。同発表会では、2023年の渋谷での開催の後、2024年にはデジタルラウンド4戦、2025年にはデジタルラウンド4戦に加えて、リアル開催となるグランドチャンピオンシップの開催を目指すなど、今後のワールドチャンピオンシップ化へのロードマップが示された。

2025年のリアル開催に向けたAIR RACE Xのロードマップ

 発表会場で行なわれたトークセッションでは、室屋選手のほか、渋谷未来デザインの長田新子氏、Psychic VR Labの渡邊信彦氏、東京大学生産技術研究所特任教授・建築家の豊田啓介氏が参加。AIR RACE X が提供する新たな観戦スタイルについての話などが展開された。

左から、渋谷未来デザインの長田新子氏、室屋選手、Psychic VR Labの渡邊信彦氏、東京大学生産技術研究所特任教授・建築家の豊田啓介氏

 AIR RACE Xのデジタルラウンドは、Psychic VR Labが提供するリアルメタバースプラットフォーム「STYLY」の技術によって実現される。観客は「STYLY」のアプリケーションを起動したXRデバイスやスマートフォンをかざすことで、渋谷の街をレース機が駆け抜ける様子を目の前の出来事のように楽しむことができる。

 こうした新たな技術との出会いについて、室屋選手は「これはいけるかなと思いましたね。僕が実際、飛行機で飛ぶときは安全上の問題から、何かあったときにお客さんを巻き込まないという条件がもちろんあります。渋谷の街中で飛んでよければ、飛べそうな気がするんですけれども(笑)、それは危ないので実際にはできないわけです。だから、こういう形で本当に街中にいる人、飛行機にそんなに興味がない人でも、目に触れてもらう機会となるので、スポーツはアリーナに行ったり会場に行ったりしないと見れなかったものが、どこでもアクセスできるようになると、スポーツの魅力が一気に広がるんじゃないかなと思っています」との期待感を話した。

 AIR RACE Xのロードマップでは、2025年にはデジタルラウンド4戦に加えて、リアル開催となるグランドチャンピオンシップの開催を目指すことが示された。2025年のリアル開催に向けて、室屋選手は「パイロット目線としては、やっぱり2025年のワールドチャンピオンシップ化ということを目指して僕らも戦っていきたいなと思ってます。このデジタルラウンドを積み重ねていって、最終的にリアルに集まったグランドチャンピオンシップで最終優勝を決するような戦いができたらいいなと思っています。また、こういったデジタルラウンドになることで、僕ら経験のあるマスターパイロットだけじゃなくて、もうちょっと下のクラスの機体とか、若いパイロットも含めて競技に参加できる枠組みを来年以降広げていきたいと思っていて、そしてパイロットがもっと増えてきて、その中の頂上決戦みたいなものがリアルで行なえたら、すごく盛り上がるんじゃないかなと思ってます」との考えを示した。