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三菱自動車、2023年度第1四半期決算は増収増益 デリカミニ受注2万台超に「期待を超える反響」、新型モデルでアセアン攻勢へ

2023年7月24日 発表

三菱自動車工業株式会社 代表執行役社長兼最高経営責任者の加藤隆雄氏(左)と代表執行役副社長(CFO)の松岡健太郎氏(右)

 三菱自動車工業は7月24日、2023年度 第1四半期決算を発表し、報道向けに決算説明会を開催した。売上、利益ともに前年同期より増加し、グローバルの前年同期比で台数を下げるものの国内と北米は台数増加、国内では市場が回復するなかで「デリカミニ」の本格販売を開始して受注が2万台を超えるなど、期待を超える反響があったなどと説明した。

売上と利益は増加、台数はグローバルで減少するも日本と北米で増加

 第1四半期(2023年4月1日~6月30日)の売上高は前年同期(5287億円)から20%増となる6358億円、営業利益は前年同期(308億円)から47%増の452億円、経常利益は前年同期(495億円)から25%増の618億円、当期純利益は前年同期(386億円)から24%増の479億円となった。グローバル販売台数は前年同期の217万台から195万台へと10%減少した。

2023年度 第1四半期 実績サマリー
2023年度 第1四半期 販売台数実績
2023年度 第1四半期 営業利益変動要因分析

 実績については代表執行役副社長(CFO)の松岡健太郎氏が「販売の質向上、あるいは手取り改善戦略の推進に為替の追い風が加わり、前年同期比で大幅に改善」とした。一方、台数の減少については「全体の需要はおおむね堅調だったが、一部部品供給不足の影響による車両供給不足が残り、オセアニア、中東、欧州等の船腹不足で在庫補充が遅れた」としたほか、ピックアップトラックの「トライトン」については、新型投入前の在庫調整や、期待感からの買い控えがあり販売台数が減少したと理由を説明した。

2023年度 第1四半期 日本での状況
2023年度 第1四半期 北米での状況
2023年度 第1四半期 ASEANでの状況

 台数面で好調だった日本国内は、軽自動車で部品供給不足の影響を受けて十分に小売につなげることができなかったとしながらも、5月から販売開始したデリカミニが期待を大幅に上回る2万台超の受注があったことなどを紹介した。北米は、生産回復による車両供給不足の改善やフリート需要の増加等や、アウトランダーPHEVを中心に好調だったことなどを説明した。

新型トライトンや新型コンパクトSUVで販売台数目標を達成

 続いて、代表執行役社長兼最高経営責任者の加藤隆雄氏が2023年度通期見通しについて説明した。上方修正となり、修正後の通気見通しは、売上高が800億円増えた2兆7800億円、営業利益は200億円増の1700億円、経常利益も200億円増の1700億円、当期純利益は100億円増の1100億円とした。販売台数については第1四半期が減少したものの当初の91万7000台に変更はない。

上方修正後の2023年度通期見通し
上方修正後の2023年度通期販売台数見通し
上方修正後の2023年度営業利益変動要因分析

 加藤氏は「2023年度第1四半期は、おおむね想定していた通りの堅調なスタートを切ったと認識をしている」とし、為替相場が期首想定よりも円安に推移したことや、半導体と輸送のための船の不足による供給制限があるなか、新型車効果や手取り改善戦略の推進等で上方修正の見通しは達成可能と説明した。

 新型車については世界各地で投入、新型トライトン、ASEAN戦略車の新型コンパクトSUV、欧州ではルノーからのOEMである「ASX」と欧州市場に9年ぶりに再投入した「コルト」の新車効果の本格化などを期待、コルトの発表後の反響は「ASX同様に想定以上」と評価した。

2023年度の新車投入実績

 なお、7月26日にタイで世界初披露する新型トライトンはワールドプレミアを三菱自動車の特設サイトでライブ配信を予定している。

新型トライトンは7月26日タイで世界初披露

 また、新型コンパクトSUVを8月10日から開催される「第30回インドネシア国際オートショー」で世界初披露することについて、加藤氏は「三菱自動車初採用となるウェットモードを含む4つのドライブモードを設定、ASEAN地域でのコンパクトSUVの使われ方を熟慮し、荒れた路面でも安心のクラストップレベルとなる最低地上高を確保した」と特徴を紹介した。

新型コンパクトSUVは8月10日に「第30回インドネシア国際オートショー」で世界初披露

 新型コンパクトSUVについてはインドネシアでまず投入し、ASEAN各国に展開後、将来的には電動車の追加やASEAN以外の地域に展開する計画とし、現在の「エクスパンダー」のような主力車種にしたい考えを示した。なお、エクスパンダーについてはハイブリッドモデルが2023年度中に投入されるとした。

発表スライドには、チーム三菱ラリーアートの現行トライトンのラリー車イラストが挟まれたが、特に説明はなかった