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BMW、世界初の要人警護バッテリEVモデル新型「i7 プロテクション」

2023年8月9日(現地時間) 発表

世界初の要人警護バッテリEVモデル新型「i7 プロテクション」

 独BMW AGは8月9日(現地時間)、世界初となるバッテリEVモデルの要人警護車両として新型「i7 プロテクション」と、ガソリンモデルの「7シリーズ プロテクション」を発表した。2つのモデルはドイツのミュンヘンで9月5~10日に開催される「IAA Mobility 2023」で初披露されるほか、納車は2023年12月に開始予定。ただし「i7 プロテクション」は欧州限定となる。

 銃器や爆発物による攻撃から、要人を保護するためにカスタマイズされた2つのプロテクションモデルは、新型「7シリーズ」をベースに開発され、強固なプロテクション・コンセプトと、卓越したレベルの乗り心地と広々とした空間、先進的な装備を搭載する。i7 プロテクションはそこにBMWのダイナミックな動力性能を融合させた世界初のオール・エレクトリック・ドライブ・システムを搭載した要人警護車両。

バッテリEVモデルの要人警護車両「i7 プロテクション」
外観は通常シリーズの「Mスポーツ・パッケージ装着車」とほぼ同じで、見た目があまり変わらないことも安全性に寄与する1つとしている

 BMWグループのディンゴルフィング工場で「クラフト・マニュファクチャリング」工程を経て製造され、防護スチールを使用した新たな専用ボディ「BMWプロテクション・コア」を中心に、アンダーボディやルーフの追加装甲、防弾ガラスなどが装備される。その保護機能は、ドイツのVPAM(Vereinigung der Prüfstellen für Angriffshemmende Materialien und Konstruktionen:耐攻撃性材料・構造試験所協会)」の国際的な公式試験基準に基づき「クラスVR9」に分類されるという。

新たな専用ボディ「BMWプロテクション・コア」を採用する

 特に耐弾性に関しては耐弾車ガイドライン第3版(VPAM BRV)、耐爆性に関しては耐爆車ガイドライン第3版(VPAM ERV)およびPAS300に基づいていていて、口径7.62×54 Rの弾からも保護できるほか、VPAM 10レベルの弾からも車体を保護するための部分的なプロテクション・エクステンションもオプションで用意されている。また、爆発物から保護するために設計された特殊な装甲は、ルーフとアンダーボディの両方に使用され、例えば爆薬を使ったドローン攻撃や手榴弾の爆発時に飛び散る破片からも乗員を守ることができるという。さらに、燃料タンクも特殊なケーシングを備えていて、被弾後に密閉して燃料の損失を防げる仕様となっている。

窓は防弾仕様

 i7 プロテクションは、フロントとリアに電気モーターを1基ずつ搭載し、「i7 M70 xDrive」のドライブシステムに採用された多数のコンポーネントを使用。最大出力400kW/544PS、最大トルク745Nmを誇る。0-100km/h加速は9.0秒で、最高速は電子制御で160km/hに制限されているという。一方のガソリンエンジン仕様の7シリーズ プロテクションは、最新世代のV型8気筒4.4リッターBMWツインパワー・ターボ・テクノロジーを搭載。最高出力390kW/530HP、最大トルク750Nmを発生。0~100km/h加速は6.6秒、最高速は210km/hに達する。

バッテリEVモデルの要人警護車両「i7 プロテクション」

 スター・スポーク・デザインのモデル専用20インチ・ライト・アロイ・ホイールには、プロテクション専用に開発されたミシュラン製タイヤ(サイズ255-740 R510)を装着。このタイヤは空気量が非常に多いため乗り心地がよく、接地面積が広いためトラクションと走行安定性に優れているほか、PAXタイヤにはホイールリムにランフラットリングが装着されていて、空気圧が完全に失われた場合でも、最高80km/hで走り続けるられるという。また、強力なブレーキ・システムも装備する。

スター・スポーク・デザインのモデル専用20インチ・ライト・アロイ・ホイール

多彩な機能を標準装備するプロテクション

 リアシートの間には飲み物を冷やすための冷蔵庫が組み込まれ、ボトル2本とグラス2個を入れるスペースもあり、必要に応じて4℃~10℃に冷やすことができる。ドア開閉の電動アシスト機能も標準装備していて、重い装甲ドアも座った状態で開閉可能。また、2列目シートの窓には電動ローラー式ブラインドが装備されている。

リアシートの真ん中には冷蔵庫を完備
後席には電動式のブラインドが搭載されている
重い装甲ドアも座ったままボタン1つで自動開閉できる

 さらに、サイドミラーに内蔵されたマイクと車外スピーカー、ヘッドライナーに埋め込まれたハンズフリーマイク、車内の補助スピーカーによって、乗員はドアや窓を開けることなく車外の人とコミュニケーションを取ることが可能な「インターホンシステム」も標準装備。なお、センターコンソールの収納トレイには、オプションで追加マイクを付けられるという。

 そのほかにも、「フレッシュエア供給システム」「自動および手動放水機能付き消火器」「フラッシュライト」「無線トランシーバー」「公務用フラグポール」などに加え、顧客固有の特別オプションも用意し、さまざまなタイプの攻撃シナリオにも、どんな目的にも的確に対応できるとしている。

フラッシュライトや公務用フラグポールを装備した状態。車両はガソリンエンジン仕様の「7シリーズ プロテクション」

 また、プロテクションを操るドライバーのための特別トレーニングコースも用意。プログラムは、参加者の予備知識に応じてさまざまなレベルがあり、世界各地で開催しているほか、トレーニングコースは高度な資格を持つ専門家が指導し、その内容は包括的な理論から実践的な車両制御演習や戦術的対応訓練まで多岐にわたるという。