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スーパー耐久もてぎ戦にGRヤリスの8速AT開発車両参戦か、32号車 GR Yaris DAT conceptがエントリー

TOYOTA GAZOO ラリーチャレンジに参戦しているGRヤリスの8速AT開発車両。車高などはサーキット仕様になると思われる

GRヤリスの8速AT開発車両

 スーパー耐久第5戦もてぎが9月2日~3日の2日間にわたってモビリティリゾートもてぎにおいて開催される。8月25日にエントリーリストが発表され、各メーカーが開発車両を投入するST-Qクラスの参戦車両やドライバー名が明らかになった。

 このST-Qクラスでは液体水素を燃料とする液体水素カローラの参戦が注目を集めているが、液体水素カローラは進化を確実に行なっていくため今回はお休みすることになる。代わりに投入してきたのが、32号車 ORC ROOKIE GR Yaris DAT concept(MORIZO/佐々木雅弘/石浦宏明/小倉康宏)。ドライバー陣は32号車をドライブしているメンバーだが、マシンのエントリー名から読み取るとGRヤリスのDAT開発車両を投入してくるものと思われる。

最高出力200kW(272PS)、最大トルク370Nm(37.7kgfm)を発生するGRヤリスのスポーツエンジン
こちらが8速ATのプロトタイプ。ミッションケースもそれなりの大きさがある

 DATのGRヤリスとは、TOYOTA GAZOO ラリーチャレンジ(以下、ラリチャレ)で開発が続けられている新型8速スポーツAT搭載車両だと思われる。ご存じのようにGRヤリスは、最高出力200kW(272PS)、最大トルク370Nm(37.7kgfm)という強大なパワー&トルクを発生するパワフルな1.6リッターエンジンを搭載している。

 強大なトルクを発生するエンジンであるため、このATはCVTのようなベルト駆動ではなく、いわゆるステップATと同様の遊星歯車のギヤセットを装備。8速の変速機構を持ち、ラリチャレでは変速プログラムや変速タイミング、そしてもちろん信頼性などの開発が続いていた。

マスタードライバーである豊田章男会長の思い

マスタードライバーである豊田章男会長の意見もあり、スポーツ用のシフト方向となった8速ATプロトタイプのセレクトレバー。マニュアル操作時のアップ/ダウンが通常のトヨタパターンと異なる。さてレーシングバージョンは?

 このクルマの開発背景には、2ペダルドライブ可能な自動変速のGRヤリスであれば、そのパワフルな高性能を多くの人にモータースポーツの場で楽しんでもらえるという、トヨタ自動車のマスタードライバーである豊田章男会長の思いがある。

 そのためかラリチャレの場では、一般道を走ったり、スペシャルステージを走ったりという変化に富んだテストを実施しており、トヨタ自動車 副会長である早川茂氏が開発ドライバーとして参戦していた。

 今回のもてぎでは、エントリーリストを見て分かるようにある意味プロ並みであるモリゾウ選手こと豊田会長をはじめ、プロ選手である佐々木選手、石浦選手、さらに小倉社長がエントリー。強い負荷のかかるサーキット路面において、5時間の耐久レースに挑んでいく。

 スーパー耐久では過渡特性もそうだが、最大負荷が長時間かかるという耐久性を見ていくものと思われる。また、このGRヤリスDATの開発コンセプトには「MT車よりも速く走れること」というのがあり、その辺りも確認していくのかもしれない。

 また、高負荷テストを実施するということは、市販も近いのでは……という期待が高まる部分もあり、どのようなレースが展開されるのがも注目されることだ。(32号車 ORC ROOKIE GR Yaris DAT conceptが8速ATであるならば)楽しみな車両が参戦してきたことになる。