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マツダの新たな特別仕様車「レトロスポーツエディション」が誕生したヒントとは? 松田陽一チーフデザイナーが語る
2023年9月4日 11:30
マツダが9月4日から予約受け付けを開始する新たな特別仕様車「レトロスポーツエディション」。このモデルに関する説明会が行なわれた。
デザイン本部チーフデザイナーの松田陽一氏によると、マツダはここ数年、世代を超えて支持されている「レトロとモダンの融合」といった世界観に注目。若者には“新鮮”で、年齢を重ねた年代には“なじみ深い”世代を超えたトレンドを、既存のブラックトーンエディションのスポーティさと融合させることを発案。また、このライフスタイルを演出するカルチャー感のあるスポーティコーディネーションを、単独車種ではなく「CX-5」「CX-30」「MAZDA3」の3車種の群として提案することで、幅広いユーザーへのアプローチが期待されるという。
この「レトロスポーツエディション」誕生のヒントになったのは、2022年のロードスターの商品改良で「ジルコンサンドメタリック(=エンジンブロックなど鋳造工程で使う砂型の砂をモチーフにしたアースカラー)」を採用したこと。
ただし、ジルコンサンドメタリックをボディカラーに採用したのはロードスターが初めてではなく、実は2021年にアースカラーとSUVのコンビネーションによるアウトドアイメージの押し出しとしてCX-5から採用している。
ところが、ロードスターと組み合わせたことで、ベージュ系の色味でありながら、シャドウ部とハイライトのメリハリがあるマツダらしい硬質で立体感があり、オンロードでのスポーティさも感じさせ、レトロ感のあるカフェレーサー風な雰囲気があることを発見。今回はそのジルコンサンドをテーマカラーに据えつつ、パーツ類を黒で締めることで車両全体のコーディネーションを作り上げた。
インテリアは、エクステリアのテーマカラー「ジルコンサンドメタリック」に合わせ、レトロを感じさせるブラウン系の中でも、タンよりわずかに鮮やかなテラコッタを採用。そして「CX-60」にも使用しているブラックスウェードでは次世代の高級人口皮「レガーヌ」を採用し、スポーティさをより強調したスタイルに仕上げた。
レトロスポーツエディションのターゲット層は、商品の背景にあるストーリーに思いをはせて深みを楽しむユーザーと位置付け、真に価値のある情報を探し出してうまく活用する人や、デザインにこだわりのある人、クルマ選びはじっくりと検討して、長く大事に乗り続けたいような人をイメージしているという。
以下、レトロスポーツエディションの各モデルを紹介する。
CX-5 レトロスポーツエディション
CX-5では、スポーティなSUVのキャラクターを生かし、エクステリアのパーツ類は上級モデル「スポーツアピアランス」のブラックパーツで引き締め、アルミホイールやフロントグリルはブラックトーンエディションと同じディテールとしてスポーティさを表現。内装はテラコッタとブラックスウェードを基調に、テラコッタのステッチを差し色として採用し、レトロスポーツSUVに仕上げている。
また、シートの中央部はマツダのスポーティグレードでは定番のパーフォレーション(小さな穴開け)加工が施されるほか、ボルスター(左右にある体を固定する基部)に黒のパイピングを入れることでレトロ感を増している。
なお、デザイナー陣がジルコンサンドメタリック以外に、レトロ感を演出できると推奨するボディカラーは「マシーングレープレミアムメタリック」「ポリメタルグレーメタリック」だという。
CX-30 レトロスポーツエディション
CX-30もCX-5同様に、ブラックトーンエディションをベースに黒色パーツで全体の印象を引き締めることを踏襲。フロントグリル下部と左右のヘッドライトを結ぶメッキパーツ「シグネチャーウイング」にブラックメッキをCX-30で唯一採用し、スタイリッシュなコンパクトクロスオーバーに“ちょいわる感”をプラスすることで、CX-30の新たな選択肢として設定した。
内装は黒でまとめたスポーティな空間にテラコッタのステッチを指し色として採用したほか、インパネのミドルパッドもブラックスウェードを使用しつつ、インナーハンドルをはじめとした金属調アクセント部品をガンメタ色にしてスポーティさを向上させている。
MAZDA3 ファストバック レトロスポーツエディション
松田氏によると、「ハッチバックモデルのMAZDA3 ファストバックは、レトロスポーツエディションの中でもっともスポーティさを体現したモデル」といい、「ジルコンサンドメタリックもファストバックの特別仕様車を実現させるため、もともとラインアップにはなかったがMAZDA3にあえて導入した」とこだわりの強い1台であると説明。
エクステリアパーツはCX-5、CX-30と同様にブラックトーンエディションがベースとなり、ブラックパーツで引き締められている。インテリアはCX-30同様、トリムを黒でまとめ、テラコッタステッチによるアクセントを採用したことでスポーティさを向上。ベースモデルの室内天井が黒いため、明るいテラコッタの存在がより際立つという。
MAZDA3 セダンのレトロスポーツエディションも、ファストバックと同様の仕上げとなっているが、松田氏は「コーディネーションの組み合わせとしては、一番意外性のある組み合わせで、大人の遊び心をくすぐる1台になっている」という。