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ヒョンデ、新型「コナ」発表会 「日本で唯一、400万円以下から購入できるSUVタイプのEV」

2023年10月30日 開催

399万3000円~489万5000円

新型「コナ」の発表会を渋谷ヒカリエホールで開催

 Hyundai Mobility Japan(ヒョンデモビリティジャパン)は、新型BEV(バッテリ電気自動車)「KONA(コナ)」の日本国内での販売を11月1日に開始する。販売は同社の公式サイトで行なわれ、同日の15時からはヒョンデ各拠点での試乗予約も開始する。コナの価格は48.6kWh仕様の「Casual」が399万3000円、64.8kWh仕様の「Voyage」が452万1000円、「Lounge」「Lounge Two-tone」が489万5000円となっており、「日本で唯一、400万円以下から購入できるSUVタイプのEV」とのこと。全車とも駆動方式は2WD(FF)となる。

 コナはヒョンデが日本で展開する2車種目のBEV。日常のさまざまなシーンで使い勝手のよい優れたスペースユーティリティ、V2L/V2Hをはじめとしたさまざまな便利な機能を持つマルチプレイヤーなコンパクトSUV。

 デザイン面ではひと目でコナと分かる前後のシームレスホライゾンランプとダイナミックなサイドプロポーションを採用し、未来的で個性豊かなデザインを実現。空力性能を徹底的に追求し、Cd値は0.27を達成したという。ボディサイズは4355×1825×1590mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2660mm。初代コナと比べて175mm長く、25mm広く、35mm高くなるとともに、ホイールベースは60mm延長されている。

新型コナのボディサイズは4355×1825×1590mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2660mm

 インテリアでは開放的な水平基調のダッシュボードに加え、12.3インチクラスターとナビゲーションディスプレイが統合した12.3インチパノラマディスプレイを採用。先進性と使いやすさが融合したコクピットとした。

 ナビゲーションにはAR機能を搭載しており、ディスプレイに映るフロントカメラ映像に車線や矢印などのAR効果を表示し、行き先を分かりやすく案内させることが可能。また、車両の走行情報や電費情報をはじめ、ナビゲーション画面と連動して近隣充電ステーションや走行可能エリアの表示など、BEVならではの便利な専用コンテンツを採用したという。さらにナビゲーションマップやソフトウェアなどはOTAでのワイヤレスアップデートが可能となっており、簡単にナビゲーションマップや車両制御の最新化が行なえるとともに、ヒョンデとして日本初採用のデジタルキー(NFCカード付)機能を備え、スマートフォンデバイスで車両のロック・アンロック、始動ができるようになっている。

インテリアでは開放的な水平基調のダッシュボードに加え、12.3インチクラスターとナビゲーションディスプレイが統合した12.3インチパノラマディスプレイなどを採用。また、28インチスーツケースを3個収納できる466L(VDA方式)のラゲッジスペースは、後席フォールディング機構やアンダートレーの取り外しにより、用途に応じてさらに拡大することが可能という

 駆動用バッテリには、一充電走行距離が456km(WLTCモード、自社測定値)の48.6kWh仕様と、541km~625kmの64.8kWh仕様の2種類を用意するほか、車内外で電気機器が使用できるV2L(外部給電機能)により、アウトドアから車内でのビジネス用途まで幅広く活躍する。また、充電ステーション到着前に加温もしくは冷却し、バッテリ温度を最適化かつ充電時間を短縮する「バッテリ・プリコンディショニング2」を初採用した。モーターについては48.6kWh仕様が最高出力99kW、最大トルク255Nm。64.8kWh仕様が最高出力150kW、最大トルク255Nm。

 また、ドライバーの好みや走行シーンに応じて、「ECO」「NORMAL」「SPORT」「SNOW」の4パターンに制御できるドライブモードセレクト(DMS)を全車に採用。さらにストップ&ゴーの多い日本の交通事情に合わせ、アクセルレスポンスを最適化しているという。

日常の相棒となるコナにぜひ注目していただきたい

Hyundai Mobility Japan株式会社 代表取締役社長の趙源祥氏

 10月30日には渋谷ヒカリエホールにて新型コナの発表会が開催され、Hyundai Mobility Japan 代表取締役社長の趙源祥(チョ・ウォンサン)氏をはじめ、Hyundai Motor Company Head of Hyundai スタイリンググループのサイモン・ローズビー氏らエンジニアが登壇し、新型コナの概要について説明を行なった。

 Hyundai Mobility Japanの趙社長は「昨年、Hyundai Mobility Japanが日本に導入したアイオニック 5はこれまでにない革新的なEVとして認められ、アジアブランドとしては初のインポート・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなどお客さまやメディアの皆さま方に高い評価をいただきました。長いホイールベースを生かした広い室内空間や、先進のパワートレーンが実現した長い航続距離などが評価される一方、さまざまなライフスタイルにあったお求めやすいEVが望まれる声も少なくありませんでした。こういった声に対応すべく、EVの先進性はそのままに、取りまわしのよいコンパクトサイズのSUVとしてコナを導入することを決定しました」と、新型コナを導入する背景についてコメント。

 また、今回日本デビューするコナはグローバルでは2代目にあたるモデルで、2022年のコナのグローバル販売台数は約23万台だったという。新型コナは2023年3月にワールドプレミアされ、韓国を皮切りに11月から北米とヨーロッパでも販売を開始する予定。趙社長は「EVに慣れ親しんだお客さまに限らず、初めてEVをご購入するお客さまにとっても高い実用性を持ち、日常の相棒となるコナにぜひ注目していただきたいです」と語った。

Hyundai Motor Company Head of Hyundai スタイリンググループのサイモン・ローズビー氏

 次に登壇したサイモン・ローズビー氏は新型コナのデザインについて語り、「第1世代のコナは日本市場に導入されませんでしたが、第1世代のコナを引き継ぐ形でデザインに焦点を当てて開発、完成させました。コナの第1世代が持っていた独自性を引き継いだだけでなくスケールアップされており、よりダイナミックに、カラフルになっております。また、既存のデザインプロセスとは異なり、既存の車両にあったコンポーネントを前方から削除しました。そして平坦で固定されつつも大胆な属性を混じり気のないボリュームとともにサメの鼻のように示しております。車体を貫くラインは、ベルトラインとリアスポイラーのクロームをつなげることで、力強いダイナミックなSUV感を与えています」とエクステリアについて解説。

 また、インテリアについてはお客さま第一に考えたシンプルな室内空間を表現したといい、先代モデルから全長は175mm、ホイールベースは60mmそれぞれ延長され、よりワイドなインテリアを楽しめるとコメント。加えて「洗練されたコンソールスペース、フレキシブルな収納スペース、それから回転式カップホルダー。さまざまなライフスタイルに対応するため、利便性を追及いたしました」と述べるとともに、新型コナで用意される8色のボディカラーのうち、日本専用色となる「デニムブルーマット」について触れ、「この藍色は日本の伝統的な染色技術から生まれたものです。プレミアムなイメージを維持しているさまざまなブランドから刺激を受けましたが、さらに日本古来の伝統を受け継ぎ発展させてもいます。実用的でアクティブというデニムのイメージそのもの」と紹介した。

Hyundai Motor Company Namyang R&D センター リサーチエンジニアの金奎媛氏

 続いて登壇したリサーチエンジニアの金奎媛氏は、「若いエンジニアたちは30代の若いお客さまが好むコンパクトSUVのコナの企画から開発まで、“私が乗りたいクルマ”“私が乗るクルマ”を考えながら進めてきました」と述べるとともに、新型コナはグローバルではBEVに加えて内燃機関モデル、ハイブリッドモデルの3種類があるとし、「一般的に電気自動車は車体床面に装着されるバッテリにより、乗員の着座位置が内燃機関車に比べて相対的に上になる傾向があります。一方、専用開発の電気自動車はそれを考慮した上で開発できますが、内燃機関との共用があり、ヘッドルームの確保のために全高を上げることで航続距離や燃費の悪化、スタイリングの悪化などが発生する可能性があります。電気自動車モデルを重視して企画したコナは、このような問題を解決するため内燃機関を搭載するコナと同じような高さにドライバーの着座位置を設定するため、前席から後席までフロアを上げ、駆動用バッテリを搭載しました」と解説。

 また、「コナは開発当初からEVモデルを想定して開発しましたので、バッテリ搭載の高さ、車体の全高を最適化し、室内スペースを十分に確保しただけでなく、センタートンネルをなくして後席フロアをフラットにして、後席の人がより自由に動けるようにしました。また後席にはカーブスベンチシートを採用して、真ん中の席も快適にお座りいただけます」と訴求ポイントについて解説を行なった。

駆動用バッテリをフロア下にレイアウト
新型コナのボディサイズ
インテリアや装備のポイントなど
Hyundai Mobility Japan株式会社 R&Dセンター シニアエンジニア 宮野達也氏

 一方、今回導入される新型コナは日本市場にフィットするようローカライズされたといい、この部分についてはHyundai Mobility Japan R&Dセンターのシニアエンジニアである宮野達也氏が紹介。

 宮野氏は新型コナでは最大64.8kWhの走行用バッテリと150kWのモーターを採用し、WLTCモード(自社計測値)で625kmを達成したことについて触れるとともに、「例えば実際の走行条件においても、ここ東京から富士山の5合目まで登って、登山を楽しんで帰ってくる。こんなことも余裕でこなしてくれるパワーと航続距離を備えています。進化したバッテリコンディショニングシステムにより、猛暑や真冬においても温度を最適化することによって急速充電性能を確保し、90kW級の急速充電器を使用した場合、10%から80%まで45分で充電することができます」。

「日本の交通環境は非常に多彩で、お客さまの好みにおいても繊細かつクルマにこだわりを持つ人々が多いため、これらすべてのお客さまに満足してもらえるように、コナを開発するにあたって日本現地での商品開発を実施することが必要だと考えました。北海道の豪雪地帯、複雑な首都高、さらには富士山の上り下りまでテストを繰り返した結果、日本市場のために特別にチューニングする要素を絞り込みました。その1つがドライブモードです。日本の繊細な交通環境に合わせ、運転者、同乗者すべての人が快適で、EVならではの気持ちのよい走りを実現いたしました。お客さまの好みやシーンに応じて、エコ、ノーマル、スポーツ、スノーモードをご選択いただきます」とアピールした。

新型コナのバッテリ容量やモーターの出力について
進化したバッテリコンディショニングシステムを採用
日本の各地でテストを実施
日本市場のために特別にチューニングされた1つがドライブモード
「i-PEDAL」モードでワンペダル走行も可能な回生ブレーキシステムは、前方の交通状況に応じて回生ブレーキの量を自動的に調整するスマート回生機能も有している
ナビゲーションにはAR機能を搭載し、ディスプレイに映るフロントカメラ映像に車線や矢印などのAR効果を表示し、行き先を分かりやすく案内
ヒョンデとして日本初採用のデジタルキー(NFCカード付)
V2L/V2Hをはじめとしたさまざまな便利な機能を持つ
ナビゲーションマップやソフトウェアなどはOTAでのワイヤレスアップデートが可能