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WEC最終戦バーレーン8時間、TOYOTA GAZOO Racingが1-2フィニッシュ ブエミ/ハートレー/平川組がシリーズチャンピオン獲得 豊田章男氏も祝福コメント

8号車 GR010 HYBRID(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)が優勝、7号車(小林可夢偉/マイク・コンウェイ/ホセ・マリア・ロペス)が2位を獲得した

 WEC(世界耐久選手権)第7戦バーレーン8時間耐久レースが11月4日(現地時間)、バーレーン・インターナショナル・サーキットで開催された。WECのマニュファクチャラーズチャンピオンは、富士6時間でTOYOTA GAZOO Racingが獲得、最終戦ではドライバーズチャンピオンの行方が焦点となっていた。

 予選では、8号車 GR010 HYBRID(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)がポールポジションを獲得。7号車(小林可夢偉/マイク・コンウェイ/ホセ・マリア・ロペス)が2位に続き、トヨタがフロントローを占めた。

優勝した8号車 GR010 HYBRID(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)は、ドライバーズチャンピオンを獲得

 決勝レースでは、スタート直後に7号車が後続車に追突されスピン、最後尾に落ちることとなった。7号車はここからポジションを獲得、トップを走る8号車に追いつくことは難しかったものの、2位までポジションを回復。今シーズン4度目となるTOYOTA GAZOO Racingの1-2フィニッシュを達成した。

 8号車(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)は優勝したことで、ドライバーズチャンピオンを獲得。2連覇を達成した。平川選手は、WECハイパーカークラス参戦初年度でドライバーズチャンピオンを獲得しており、2度目のドライバーズチャンピオン獲得となる。ブエミ選手とハートレー選手はWEC史上新記録となる4度目のドライバーズチャンピオンを獲得した。

中嶋一貴TGR-E副会長も祝福

 TOYOTA GAZOO Racingは、マニュファクチャラーズ/ドライバーズのダブルチャンピオンを5年連続で獲得。2023年シーズンはル・マン24時間レース制覇とはならなかったものの、シーズンを通して強さを見せた。

 ダブルチャンピオン獲得後、豊田章男 TOYOTA GAZOO Racing チームオーナー、小林可夢偉チーム代表兼選手、平川亮選手らのコメントも発表された。

豊田章男(TOYOTA GAZOO Racing チームオーナー)

TOYOTA GAZOO Racingの2台が最後まで繰り広げた“アスリートとしての戦い”最高でした。6人のドライバーたち、それを支えた両車のメカやエンジニアのみんな、素敵なレースをありがとう。セブ、ブレンドン、亮、2年連続のドライバーズタイトルおめでとう!ワンツーでそれを決めてくれた7号車のホセ、マイク、可夢偉もありがとう!

今日は、2台ともトラブルを抱えながら走ることになってしまいました。気持ちよく最終戦を走ってもらうことができず、ドライバーたちには申し訳なく思います。7号車はスタートでのアクシデントもありましたが、すぐに差を詰め、8号車とどちらが勝ってもおかしくないような優勝争いをしてくれました。レースに向かう全員でクルマを走らせて、戦ってくれたと感じられるレースでした。

モータースポーツの主人公はクルマを走らせる人々です。だからこそ“スポーツ”であり、そこに集う人は、みんながアスリートでありファイターであると思っています。今年のWECはライバルも増え、ファンが待ち望んでいた“戦いの場”になりました。そんな選手権の場で、今日はアスリートたちが全力を尽くして結果を勝ち取りにいく姿を見せてくれました。いちファンとして、私もその姿にとても興奮しました。アスリートが戦える場を整えてくれた主催者の皆さまにも感謝いたします。

この最終戦にむけて可夢偉は、チーム代表として“どうすべきか?”、ドライバーとして“どうしたいか?”かなり悩んでいたと思います。

チーム代表の可夢偉は、チームを鼓舞したり、リラックスさせるために戯けたり、改善点を探すためにメカやエンジニアたちと話したり、そんな代表としての役割を、これ以上ないほどにやってくれていました。本当に感謝しています。今日のレースを見ていても、チーム全員が勝利に向けて戦うアスリートになり、だけどお互いを信頼し尊重し合っている…ずっと目指してきた「家族的でありプロフェッショナルなチーム」になってきたと感じます。可夢偉代表、今年もお疲れさまでした。ありがとう。

一方で、ドライバーの可夢偉に私が望んでいることは“たったひとつ”「誰より速く走ってほしい。全力で戦ってほしい。」ということだけです。これは以前から変わりません。他のドライバーに対しても同じ気持ちです。
予選でポールを取れずに悔しがる姿、決勝に向けてエンジニアと相談し続ける姿、そして最終スティントでファステストラップを叩き出す走り、今週の可夢偉は、私が見たいドライバーの姿そのものでした。チャンピオンを取れず悔しい結果だとは思いますが、ドライバー可夢偉としても、これ以上ない仕事をしてくれたと思います。

そんな一人二役の姿を見せることでTOYOTA GAZOO Racingは“ドライバーファーストなチーム”にも変わってきました。これからも2つの顔の狭間で悩むことはあるかもしれませんが、来シーズンも引き続き、“可夢偉だからこそできるドライバーファースト”を続けて、チームを強くしていってもらえればと思います。

追伸
このメッセージを書き終えたところでチームから映像が届きました。見てみると「ドライバーたちがレース後のクルマを磨いているシーン」でした。みんなクルマを大切にしてくれてありがとう。(特にホセは一生懸命、楽しそうに磨いてくれていましたね!ありがとう。)みんなにもっと気持ちよく走ってもらえるクルマをつくっていきたいと改めて思いました!

小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)

シーズン最終戦で1-2フィニッシュを達成し、最高のパフォーマンスを見せて締めくくることができました。7号車のタイトル獲得は叶いませんでしたが、素晴らしい仕事を成し遂げた8号車の全員を祝福します。今季もずっとチームメイト同士の僅差の戦いが続きました。今日のこの素晴らしい結果は、ミスすることなく戦い続けたチームとドライバーの努力の賜物です。パートナーと日本の関係者の皆様の多大なサポートに感謝いたします。そして、もちろんここまで我々が強くなるように支えてくれたモリゾウこと豊田会長、佐藤社長のお二方にも感謝しています。今年は多くのマニュファクチャラーとの激戦となる中で、我々のチームとクルマの強さを証明することができました。このような形でシーズンを締めくくることができたことは、間違いなく我々全員にとって誇りとなります。

マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)

複雑な感情の湧くシーズンエンドとなりました。今レースはチームメイトの後方からのスタートで、少しでもポイントを挽回するつもりでしたが、スタート直後のアクシデントでポジションを落としてしまいました。多くの車両をパスしながらの困難な追い上げを強いられ、タイヤにも負担をかけてしまいました。ベストを尽くしましたが、今日は2位が精一杯でした。タイトルを勝ち取った8号車に祝福を贈ります。彼らの戦いぶりはタイトルにふさわしいものでした。今年もハードワークで支えてくれた7号車のメンバー全員に心から感謝しています。そして、常に素晴らしい仕事をしてくれたチームメイトの可夢偉、ホセにも感謝します。良いシーズンでしたし、4勝できたのは素晴らしいことだと思います。

ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー)

チームに取って最高の1年でしたし、全員が素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。2台のGR010 HYBRIDが全てのレースで競い合いながらも、常にチームとして協力しあってきました。それが最も重要なことです。今日のレースに勝ち、そしてチャンピオンも勝ち取ったセブ、ブレンドン、亮、おめでとう。我々の7号車も今年は何度も勝利を挙げ、その一員として戦えることができた、本当に素晴らしい1年でした。今日も勝利を目指し、逆転タイトルのチャンスをつかむために全力で挑みましたが、1コーナーでその望みはかなり難しいものになってしまいました。とは言え、そこからよく挽回しましたし、最終的な結果には満足しています。

セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)

また世界チャンピオンを獲得でき、信じられない気分です。本当にチームに感謝します。全てが順調にいき、最後までレースとタイトル争いをリードすることができ、最高の夜になりました。本当に価値のあるタイトルだと思います。もちろん、ル・マンで勝てなかったことは残念でしたが、このタフなシーズンの戦いの中でチャンピオンを勝ち取れたことで、我々の強さは証明できました。何度でもチャンピオンは格別なものですが、今年は安定した走りで勝ち取ったタイトルでした。常に最速というわけではありませんでしたが、困難なレースでも着実にポイントを獲得してきました。最終戦で優勝し、チャンピオンを獲得するというのはシーズンの締めくくりにおいて最高の形です。

ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)

最高の1年でした。8号車、そして、TGRのチームの一員であることを誇りに思います。この最高のシーズンを支えてくれた全員に感謝します。シーズンを通して7号車、またライバルたちとの激しいバトルを繰り広げてきましたが、今日も同じでした。ラップタイムとしては、我々8号車が最速ではないこともあったので、とにかくプッシュし続けました。セバスチャンは今日のレースで最もプレッシャーのかかる、スタート直後の1コーナーをトップで抜けるという大役をこなし、亮と共に素晴らしい仕事をしてくれました。4度目の世界チャンピオン獲得を実感するまでにはまだ時間がかかりそうですが、本当に嬉しいです。

平川亮(8号車 ドライバー)

今日のレースに勝利し、チャンピオンを獲得できて最高です。我々はチャンピオン獲得のために努力を続けてきたので、本当に嬉しいです。今年は厳しいレースもありましたが、常にプッシュを続け、タイトル連覇を達成することができました。シーズンを通して強力なライバルと、難しいコンディションでの戦いを続けてきましたが、今日のレースはいつも以上に厳しいものでした。我々は後続とのギャップを広げてそれを維持する走りを強いられましたが、タイヤの摩耗が激しく、容易ではありませんでした。2年連続で世界チャンピオンを獲得できるなんて、チームに入った2年前には想像もできませんでした。このチャンスを与えてくれたトヨタとハードワークで支えてくれたチーム全員に感謝します。このチャンピオン獲得という結果を、チャンスを与えてくれた皆様への感謝の気持ちとして捧げたいと思います。