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ブレンボ、左右非対称の軽量キャリパー「ハイピュア」やレース技術を投入した新製品など「EICMA2023」で初公開

2023年11月7日(現地時間) 発表

ブレンボの左右非対称の新型キャリパー「HYPURE(ハイピュア)」

 ブレンボは11月7日(現地時間)、ミラノで開催される「EICMA(国際モーターサイクルエキシビション)2023」にて、左右非対称デザインでクラス最軽量コンポーネントという新型キャリパー「HYPURE(ハイピュア)」を初公開した。

 またEICMA2023では「ハイピュア」のほか、GP4シリーズの最新モデル「GP4-MotoGPキャリパー」、クラッチマスターシリンダーの新製品「16RCSコルサコルタRR」、新型「SSV(サイド・バイ・サイド・ビークル)向けキャリパー&ディスク」なども初公開された。

ライダーに1つ上の走りを提供する「HYPURE」

「HYPER(超)」と「PURE(純粋)」の掛け合わせから生まれた「HYPURE」は、ブレンボの革新精神を表す名称で、現代の精神およびアドレナリンを放出させる走りの本質を込めたという。また、これまでの常識を打ち破る非対称デザインも魅力の1つで、機能性と美しさをさりげなく両立。

HYPURE

 また、左右非対称の特徴的なデザインを採用したことで、同じ用途の従来品と比べて10%の軽量化に成功、クラス最軽量コンポーネントを実現するとともに、軽量化しても優れた剛性はそのままで、高度な熱伝導性で安定した制動性能を可能とし、ライダーに自信を持って限界の壁を越える力を付与するという。

 さらに、特許取得設計に基づく独自の「スプリング・パッド・ピンシステム」と、キャリパーとパッド間の特別な工夫を施した「軸受面」により、残留トルクを最小限に抑えることに成功、従来品より高性能で環境にもやさしい製品に仕上げている。

 HYPUREは、研究とイノベーションにたゆみなく挑戦するブレンボの姿勢そのもので、ブレンボ独自のブランドアイデンティティを伝える真のアンバサダーという位置づけ。デザイン、性能、サステナビリティにいたるまで、走りに関わる要素がすべてハイクラスで、性能は別格の領域に達し、サーキットでも公道でもライダーに心躍る走りを提供するという。

Brembo HYPURE(1分18秒)

MotoGP技術を駆使した究極の公道向けブレーキキャリパー

GP4-MotoGPキャリパー

 パワフルなオンロードバイク向けに設計・開発された「GP4-MotoGPキャリパー」は、サーキット発想の公道仕様ブレーキキャリパーで、現代のモーターサイクルのニーズと、厳しいサーキット走行愛好家の期待に応え、性能と公道でのスポーツ感覚を新次元へと押し上げるという製品。

 最大の特徴は、MotoGPで使用しているキャリパーでは標準的だが、ブレーキレバーにかかる力よりもシャープな制動力を可能にする斜めのパッドスライドを採用した点。また、アンチドラッグシステムと瞬時のパッドリリースコントロール性能を強化しつつ、パッド摩耗の軽減も図っている。

ベンチレーション用フィンを採用

 さらに注目すべき点は、キャリパーボディの外側とピストンに取り付けられた新たな「ベンチレーション用フィン」で、ブレーキシステムの熱交換をうながして冷却効率を高めるほか、走行による空気循環はもちろんのこと、ブレーキディスクとホイールの回転が引き起こす空気の動きによっても機能するという。

 キャリパー本体は、MotoGP(ロードレース世界選手権)や、SBK(スーパーバイク世界選手権)でプロライダーが使用しているブレンボ製キャリパーと同様に、アルミビレットから作り出すモノブロック設計。鋳造によるブレーキ部品と比べると、アルミビレットを機械切削加工することによって素材の機械的特性を生かせ、過酷な走行環境でも高い安定性を発揮するという。

GP4-MotoGPキャリパー

 フロント部の補強リブは4本のアルミ製ピストンを取り囲むことで、システム剛性を最大限に向上。明るくなめらかな外観を生み出すニッケルコーティングによる表面処理を施し、高温環境でも本来の強さと性能を両立しながら、耐久性・耐摩耗性・ロードでの最適性能を確保したとしている。

最新バイク用クラッチマスターシリンダー「16RCSコルサコルタRR」

クラッチマスターシリンダー「16RCSコルサコルタRR」

 新型クラッチマスターシリンダー「16RCSコルサコルタRR」は、デザインを含めてRCSコルサコルタRRシリーズの特性をすべて継承したモデル。メインボディはアルミビレットを機械加工し、表面はブラックの硬質アルマイトコーティングを施すことで、優れた耐摩耗性とコンポーネントのスムーズな動きを確立。また、フローティングピストンとシール類はMotoGPと同一仕様となっている。

16RCSコルサコルタRR

 クラッチマスターシリンダーには16mm径フローティングピストンを採用し、大排気量エンジンの走りのフィーリングとパフォーマンスを向上するほか、アイドルストロークはレース用マスターシリンダーと同様にあらかじめ最小値に設定し、使用時のより高い精度を実現したという。取り付け用付属品がセットになったキット販売で、2024年3月の発売予定。

カスタムメイドのSSV向け高性能ブレーキシステム

SSV向けキャリパー

 ブレンボは60年以上にわたりF1マシンからスーパーカーまで、幅広いカテゴリーのブレーキ設計とブレーキ部品製造を手掛けているメーカーだが、新しいSSV向けキャリパー&ディスクは、このセグメントでは初となるカスタムメイドの高性能ブレーキシステムとなる。

 SSV向けキャリパーは、既製のブレーキシステムと比較して制動性能が大幅に高く、ドライバーに自信を与えると同時に、メンテナンスも簡単なのが特徴。アルミキャストを使用し、ブレンボ独自の負荷最適化ソフトウェアを用いた設計により、オフロード走行時の過酷な環境にも耐える堅牢な構造に仕上げているという。

SSV向けキャリパー

 また、ブレンボが設計した4ピストンアルミブレーキキャリパーが、クロスドリルドスチールブレーキディスクをしっかりととらえ、1.55kgの軽量化を実現しつつも優れた制動力を発揮。ディスク表面にはブレンボロゴを配している。