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ダンロップ、新スポーツブランド「SPORT MAXX」のプロトタイプを履いた「R35GT-R NISMO」がランフラットタイヤで筑波サーキット58秒820を記録
2024年1月12日 14:30
- 2024年1月9日 実施
「挑戦」というDNAを基にGT-R(R35)新車装着タイヤを開発
ダンロップ(住友ゴム工業)は1月9日、新スポーツタイヤブランド「SPORT MAXX(スポーツマックス)」のフラグシップモデル発表に先駆け、筑波サーキットにて「GT-R(R35)NISMO」でタイムアタックを実施した。
装着タイヤは市販品ではなく、ダンロップが今持てる技術をすべて注ぎ込んだという新ブランド「SPORT MAXX」シリーズのフラグシップ製品(プロトタイプ)。ただし装着サイズはGT-Rの標準装着サイズと同じフロント255/40ZR20、リア285/35ZR20のランフラットタイヤ。
R35型GT-Rのタイヤは、開発当初よりサーキットで最速タイムを狙えることを大前提としつつ、北米や欧州では「300km/hでも安心・安定して走れる」「高い静粛性」、さらにパンクしても走れる「ランフラット構造」と、より高い性能が求められた。ダンロップは“挑戦”という社内DNAを基にGT-R用タイヤを開発し続け、結果2007年の初代モデルに採用された。
またGT-Rは、2011年、2014年、2017年、2018年、2020年、2022年と改良を施してきたが、通常新車装着タイヤの改良は行なわないダンロップも、GT-Rだけは改良に合わせてタイヤを進化させ、日産もその進化を認めて一貫してダンロップタイヤを装着している。2019年にはタイムアタックの聖地と言われる筑波サーキットにて、新車装着タイヤ「SP SPORT MAXX GT600 DSST」を履き、市販車最速となる59秒361をマークした。
さらなるスポーツタイヤの進化を目指す
しかしダンロップは、他メーカーの性能進化も想定し、高剛性パターンとハイグリップトレッドゴム、接地面の圧力均一化を実現する路面追従ブロック形状、コーナリング中にタイヤがよじれている状態でも最適なグリップを発揮するショルダー形状、300km/h走行時でも外側のスチールワイヤーが開かないショルダー部バンドのハイテンション化など、ダンロップが今持っている技術を最大限に活用し、さらなるタイムアップを実現できるタイヤを開発。その成果を確認するために筑波サーキットでのタイムアタックを実施した。
タイムアタックを行なった1月9日の天気は、筑波サーキットからでも富士山がきれいに見えるほどの晴天。最初の走行時間は午前9時。ステアリンを握るのは、数々のレース実績を持ち、今回の新タイヤ開発も務めているプロドライバー飯田章氏。まずは中古タイヤでチェック走行を実施したところ、冷たい空気でエンジンパワーも出ていることもあり、あっさりと59秒台をマーク。
しかし飯田氏は、「グリップやコントロール性能は従来品(SP SPORT MAXX GT600 DSST)よりもぜんぜん高いけれど、路面が冷たすぎるため走行前に温めているタイヤが最終コーナーへ到達するまでに冷えてしまい、かなり滑ってしまう」と語る。
とはいえ、なるべく空気の冷たい時間帯のほうがエンジンパワーが出て、好タイムを狙えることから、インターバル(休憩時間)をなるべく短くしてタイムアタックを続行。現場に居合わせた日産自動車 商品企画本部 ブランド・アンバサダーである田村宏志氏から、「エンジンを冷やすなら扇風機はもう少し高い位置の方がいい」とアドバイスをもらい、急きょ扇風機を台に乗せて位置調整を行なうなど、現場でできることはすべて取り組んでいた。
1回目のタイムアタックは午前9時10分ころ。いよいよ新開発のプロトタイプのタイヤを装着してコースイン。飯田氏によると、「まだ路面が冷たくて滑ってしまう場所もあった」と言いつつも、目標としていた58秒台(58秒836)を見事にマーク。電光掲示板に表示されたタイムを見て、現場のスタッフたちの間に歓声と拍手があふれた。
ただし、ダンロップは58秒前半を見据えた開発を行なっているため、9時35分ころに再度アタックを実施。見事58秒820を記録し、タイムアップを果たした。その後も目標としていた58秒前半のタイムも期待されたが、気温や路面温度が上昇したため、それ以上のタイム更新はなかった。それでもコンスタントに58秒台をマークできる実力はきっちりと証明してみせた。