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ダイハツ不正問題、なぜ「タウンエース」などのトラックタイプは型式指定取消となってバンタイプは出荷停止解除となったのか?

ダイハツ工業株式会社

 1月19日、国道交通省はダイハツ工業の型式指定申請における不正行為が確認された46車種のうち、道路運送車両法の基準適合性に関する検証を終えた5車種について、基準に適合していることを確認し、出荷停止の指示を解除した。

 この5車種は、トヨタ「プロボックス」、マツダ「ファミリアバン」、ダイハツ「グランマックス(バンタイプ)」、トヨタ「タウンエース(バンタイプ)」、マツダ「ボンゴ(バンタイプ)」になり、プロボックスとファミリアバン、グランマックスとタウンエースとボンゴは販売ブランド違いの兄弟車種になる。

適合が確認され出荷停止が解除された5車種

 この解除指示で話題になっているのは、ダイハツ「グランマックス(トラックタイプ)」、トヨタ「タウンエース(トラックタイプ)」、マツダ「ボンゴ(トラックタイプ)」について国交省で型式指定取り消しの手続きが始まったことに対して、同じ車名であるバンタイプは出荷停止の指示を解除したこと。この取り扱いの違いについて現時点で明確な説明はないため、何が主な理由となっているのかについて分からなくなっている人もいるようだ。

 この違いに対する明確な言及はないが、2023年12月20日に第三者委員会によって提出された「調査報告書」を読み込むと、その違いが見えてくる。

 ダイハツとトヨタは約90万件について作業工程を見直し、そのうち174件の不正行為が見つかり、第三者委員会とともに報告書として提出した。その後、国交省も加わって見直しをしているなかで、さらに14件の不正行為認定を受けている。

 この報告書において、ダイハツ「グランマックス(トラックタイプ)」、トヨタ「タウンエース(トラックタイプ)」、マツダ「ボンゴ(トラックタイプ)」については、オフセット前面衝突試験におけるエアバッグのタイマー着火という不正行為が行なわれており、バンタイプについては行なわれていない。

 これは、本来衝突した際にECUで判断してエアバッグの着火を行なう必要があるが、タイマーによって着火。運転席および助手席エアバッグ並びにシートベルトプリテンショナーをタイマーによって作動させたというものだ。

 トラックタイプにおいては、積算走行距離の虚偽記載という不正も行なわれているが、これはダイハツ「ムーヴ」、ダイハツ「ロッキー」なども行なわれており、これらの車種が型式指定取り消しの手続きが始まっていないことから、前者のタイマー着火問題が、型式指定制度にあまりに反したものだったことが推測される。

 ダイハツ、そしてトヨタは、国交省とともに現在のルールに合わせた手続きを順次進めていくと思われるが、あまりにルールに逸脱した方法で申請を行なっていたものは、今後も型式指定の取消などがあるかもしれない。と、同時に、手続きを確認して問題はないと認定されたものから出荷停止の指示が解除されていくと思われる。