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デンソー、燃料ポンプ大量リコールで新たに品質引当金1518億円追加 2024年3月期通期予想の営業利益4950億円に下方修正

2024年2月2日 発表

株式会社デンソー 代表取締役副社長 松井靖氏

 デンソーは2月2日、2024年3月期第3四半期決算を発表。2024年3月期第3四半期の連結業績(2023年4月1日~2023年12月31日)は、売上収益5兆3549億円(前年同期比15.5%増)、営業利益2386億円(同11.0%減)、税引前利益2887億円(同3.2%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益1756億円(同11.2%減)となった。

 同日、同社代表取締役副社長 松井靖氏が登壇する説明会が開催され、デンソー製燃料ポンプに関する大量リコールについて、「1月26日に各メーカーさまよりリコールが届け出されたことを受けて、国内で合計約430万台が対象となっています。当社では現在、全社を挙げて人員を結集させて生産能力の増強をしており、ご担当いただいているお取引さまの多大なるご協力もいただきながら、対策品を1日でも早くお客さまにお届けできるよう、全社を挙げて部品供給に全力を注いでおります。なお、2020年3月以降の一連のリコールの対象となっている燃料ポンプに対する不具合の対策はすでに実施していて、現在、リコール用の交換用部品及び新車向けに提供しております燃料ポンプは、全て不具合の対策を実施した製品をお届けしております。弊社は、カーメーカーさまと連携して、1日でも早く市場のリコール処置を進めて、お客さまに安心安全をお届けできるよう、全力を挙げて取り組んでいます」と現状を報告した。

 燃料ポンプのリコールに関わる経営面での影響に関しては、2024年3月期通期予想の営業利益において、品質引当として前回予想の412億円から、新たに1518億円が追加されることが公表された。松井氏は「(通期品質引当金)1930億円のうち、上期に400億円ぐらい、今回の第3四半期に1500億円ぐらい、現時点で引き当てすべきものについては全て引き当てた状況」と説明した。

 第3四半期決算の内容としては、売上収益5兆3549億円については日米を中心とした好調な車両販売、円安の進行、注力領域製品などの拡販により、前年比で増収。営業利益2386億円については操業度差益や為替差益、合理化努力があるものの、電子部品を中心とした部材費高騰の継続に加えて、燃料ポンプのリコールによる品質引当の追加により、前年比で減益したことが報告された。

 2024年3月期の連結業績予想(2023年4月1日~2024年3月31日)については、売上収益7兆1200億円(11.2%増)、営業利益4950億円(16.2%増)、税引前利益5480億円(19.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益3800億円(20.8%増)。

 通期の業績予想については、第3四半期の為替差益に加え、第4四半期の為替前提を円安方向に見直したことにより、売上収益を7兆1200億円に上方修正。営業利益については、為替差益があるものの、品質引当として1930億円の減益により4950億円に下方修正したことが報告された。