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デンソー、社長交代を発表 新社長にソフト担当役員の林新之助氏が内定

2023年4月10日 発表

社長交代を発表し、代表取締役会長 CEOへ就任する代表取締役社長 CEO 有馬浩二氏(左)、新たに代表取締役社長 COOに就任する経営役員の林新之助氏(右)

 デンソーは4月10日、同社代表取締役社長 CEOの有馬浩二氏が社長を退任して代表取締役会長 CEOに、新たに代表取締役社長 COOとして林新之助氏が就任することが内定したことを明らかにした。

 2023年定時株主総会および株主総会終了後の取締役会で正式に決定する新体制では、代表取締役会長 CEOに有馬浩二氏、代表取締役社長 COOに林新之助氏、代表取締役副社長に松井靖氏、副社長に篠原幸弘氏がそれぞれ就任する。

 同日開催された記者会見で、有馬氏は「林さんは、1986年の入社以来一貫して、エレクトロニクスソフトウェア開発に携わり、現在は成長領域であるモビリティエレクトロニクス事業グループ長として、CASE時代におけるクルマの電子化知能化に貢献する製品開発とさらなる事業成長への構え作りを推進いただいております。それに加え、2020年からはチーフソフトウェアオフィサーとして、クルマ視点でのクロスドメイン開発へのシフトや、グローバルな開発体制の構築、リカレントによるソフトウェア人材の育成、強化など、デンソーがソフトウェアを使いこなせる会社になれるよう、変革を進めていただいております。また、林さんは 多様な価値観、スキルを持つメンバーの共感を作り出しながら、強みを最大限に引き出すリーダーシップに長けており、これまでエレクトロニクス、ソフトウェアの開発においても、さまざまな領域のエンジニアやものづくりのプロ集団を巻き込み、それぞれの強みを最大化しながら、世界初の製品を世に出してこられました」と、林氏を紹介。

 続けて有馬氏は「デンソーはこれまでメカ、エレ、ソフトの三位一体での製品開発を強みとしてきており、それはこれからも変わりません。今後、クルマがモビリティに進化し、ますますソフトリッチな社会になっていく中で、ソフトの重要性がさらに高まっております。また、モビリティがクルマの中はもちろん社会とも繋がる中で、社内外、業界内外の方に共感を得ることも大変重要で、林さんは社長として十分に期待に応えることができる人物だと思っております。私は会長CEOとして経営の最終責任は負いますが、林さんに社長COOとして全ての執行を取り仕切っていただきます。また、新体制では、現在経営役員の松井さんに代表取締役副社長に就任をいただき、経営戦略や財務の視点から新社長を支え、執行のツートップとして、会社をリードいただく予定です。引き続き、環境と安心を軸に笑顔、広がる未来を新社長体制らしいやり方で、社会にお届けしていただきたいと思っております」と、新体制の方向性を示した。

 記者会見では、新たに社長に就任する林氏もあいさつ。林氏は「デンソーは、現在、有馬社長が掲げてこられた環境と安心への取り組みを通じて、笑顔広がる未来を届けるという目標を持って事業推進しております。この考えをしっかりと継承した上で、わが社を新たな価値を創造し続け、変化の時代を力強く生き抜いていく会社へと進化させていくことが、私の使命だと考えております。これからの社会がクルマがさらに高度化し、クルマと人、クルマと社会が多様な形で繋がっていくため、従来とは次元の違うレベルで、さまざまな技術、人が広く、深く関わり合いながら、新たな製品やサービスを生み出す必要があります。そのためには、多様な価値観やスキルを持ったプロたちが個の力を高めることはもちろんのこと、一切妥協せず、互いの強みを生かし合い、1つの目標を完遂する力、言い換えますと、調和する力が不可欠だと私は考えています」と述べた。

 また、林氏は「デンソーには、そうした調和する力を育んできた歴史があります。創業以来、自由活発な風土の中でメカ、エレ、ソフトなど、さまざまな領域のエンジニアと物づくりのプロたちが、時にぶつかり合いながらも、技を磨き、お客さまに喜んでいただける製品システムをお届けしてまいりました。CASEの進展により、クルマにおけるソフトウェアの価値が相対的に高まる中、社内は元より仕入れ先さま、車両メーカーさま、さらにはさまざまな他業界の方々との関わりの中で、人物カルチャーなどをより高い次元で調和させながら、モビリティの価値向上に努めてまいります。また、モビリティ以外の領域での新たな事業改革にも、果敢に挑戦し、変化の時代を力強く生き抜いてまいりたいと思います」との方向性を示した。

 社長就任に向けて、林氏は「長年、エレクトロニクスとソフトウェアに関わってきた自分だからこそ、果たせることがあると感じており、しっかりとリードするとともに、さまざまな課題に真摯に向き合い、誠実にコトを進めてまいりたいと存じます。今後とも皆さまからのご支援、ご指導を賜りたくどうぞよろしくお願い申し上げます」との意気込みが語られた。

新社長 林新之助氏の略歴

生年月日:1964年1月15日生
学歴:1986年3月に早稲田大学 理工学部 工業経営学科 卒業

1986年4月 日本電装株式会社(1996年10月 株式会社デンソーに社名変更) 入社
2010年1月 電子技術3部 部長
2015年1月 電子製造部 担当部長
2015年6月 常務役員就任、電子事業部 担当
2016年7月 電子事業部、電子基盤技術統括部 担当
2020年6月 CSwO(Chief Software Officer)就任、モビリティエレクトロニクス事業グループ 電子PF・ソフトウェア 担当
2021年1月 経営役員就任、CSwO、ソフトウェア改革推進室 担当
2022年1月 CSwO、モビリティエレクトロニクス事業グループ長
現在に至る。