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BMW、最新カラーチェンジ技術とアートをボディに融合させた「i5 Flow NOSTOKANA」世界初公開

2024年2月29日(現地時間) 発表

BMWは最新のカラーチェンジ技術とアートを融合させた「i5 Flow NOSTOKANA」を公開した

 BMWは2月29日(現地時間)、88歳の南アフリカ人アーティストであるエスター・マハラング(Esther Mahlangu)氏の芸術と、BMWが開発したカラーチェンジ技術を融合させた世界に1台の特別仕様車「i5 Flow NOSTOKANA」を、現代アート展「Frieze Los Angeles」にて世界初公開した。

 特別仕様車「i5 Flow NOSTOKANA」は、ルーフ、ボンネット、リアセクション、サイドなどにE Inkと共同開発した電子制御でカラーリングを変更できるフィルムが貼られている。フィルムには数百万個のマイクロカプセルが入っていて、その中に含まれる色粒子の構造と配列は、電圧をかけることで変えることができ、マハラング氏の芸術作品の色とパターンが絶えず変化するようになっている。

特別仕様車「i5 Flow NOSTOKANA」
【BMW】i5 Flow NOSTOKANA - Sound Film(1分19秒)

 マハラング氏の複雑な芸術の細部まで正確に再現するため1349枚のフィルムが使われ、各フィルムは個別に制御が可能。フィルムカットに使用するレーザー切断と電子プログラム制御は、E Ink社との共同開発で、曲面への適応技術やアニメーションプログラムはすべてBMWグループ内で開発したという。

 また、アニメーションはサウンドと連携していて、サウンドはBMWグループのサウンド・クリエイティブ・ディレクターであるRenzo Vitale氏が特別に作曲。Vitale氏は、マハラングがペインティングに使用する羽ブラシの音や、BMWのデザインスタジオで使用している鉛筆の音やi5のタッチディスプレイの操作音なども取り込み、最初はソフトに始まりアニメーションが進むにつれてハードになるように仕上げたという。

製作中の様子

 BMWによると、2022年に発表したE Inkを採用した「iX Flow」は、ボタンを押すだけでボディを白から黒へ切り替えることができたが、そのわずか1年後には初のマルチカラーを実現し、「i Vision Dee」は240枚のフィルムを貼り、最大32色のボディカラーを可能にするなど、カラーチェンジ技術は急速に発展しているという。最新の開発技術では、さらに多くの色とパターンが可能になったほか、フィルムがより丈夫になり、量産の可能性も見えてきたという。

エスター・マハラング氏(左)。「i5 Flow NOSTOKANA」はマハラング氏の長男の名前にちなんで名付けられたという

 エスター・マハラング氏は、1991年に「525i」をベースにしたBMWアートカーを、女性初兼アフリカ人として初めてデザインしたアーティストで、「i5 Flow NOSTOKANA」はそのアートカーをオマージュした仕上がりとなっている。マハラング氏は、「現代のテクノロジーが私の芸術を拡張させ、新たな人たちに見てもらえるようになることが、私にはとても魅力的です」と語っている。

「i5 Flow NOSTOKANA」と1991年に製作されたアートカーの「525i」

 BMWグループのオープン・イノベーション・リサーチ・エンジニアであるStella Clarke氏は、「彼女のアートにインスピレーションを受けたのは何年も前のことで、クルマのカラー・チェンジというコンセプトは、私の頭の中にあったアイデアでしかありませんでした。今、このアイデアを実現し、エスター・マフラングと一緒に仕事ができることは、本当に超現実的です」と述べている。

BMWグループ オープン・イノベーション・リサーチ・エンジニア Stella Clarke氏(左)と、BMWグループ デザイン責任者 Adrian van Hooydonk氏(右)

 BMWグループ・デザインの責任者であるAdrian van Hooydonk氏は、「i5 Flow NOSTOKANAは、BMWブランドの歴史に敬意を表し、ユニークな方法でBMWのグローバルな文化活動のストーリーを継承しています。このクルマは、先進的なテクノロジーによってアートとデザインを融合させています。ここでは、テクノロジーそのものがアートになるのです」と語っている。

BMW i5 FLOW NOSTOKANA - fascinating colour changing exterior(5分28秒)