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フェラーリ、新型「12チリンドリ」発表 830CV&678NmのV12エンジンを搭載した2シータークーペ

2024年5月3日(現地時間) 発表

フェラーリの新型モデル「12チリンドリ」(左)と「12チリンドリ スパイダー」(右)

 フェラーリは5月3日(現地時間)、新型2シータークーペ「12Cilindri(ドーディチ・チリンドリ)」と、スパイダー(オープン)モデルとなる「12Cilindri Spider(ドーディチ・チリンドリ スパイダー)」を、アメリカ上陸70周年を記念してマイアミビーチで発表した。

 フラヴィオ・マンゾーニとフェラーリ・スタイリング・センターのデザインチームは、「12チリンドリ」で従来のフェラーリのミッドフロント・エンジンV12モデルのスタイリングルールを大胆に書き換えることを目指したといい、クリーンなラインで構成することで各部のフォルムを強調しながらも、全体をシームレスにつなぐデザインに仕上げた。

フェラーリの新型2シータークーペ「12チリンドリ」
ボディサイズは4733×2176×1292mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2700mm(スパイダーモデルも同値)
乾燥重量1560kg、前後重量配分はフロント48.4:リア51.6

 ボンネットはフロントフェンダーと一体化させ、冷却用の排熱ダクトを2つ配置。テールランプもリア全体を横切るくぼんだブレードの中に埋め込んでいる。また、リアスポイラーの代わりに三角形の可動フラップを左右に1つずつ配置。60km/h~300km/hの領域で稼働し、速度に合わせたダウンフォースを発生させるという。

フロントバンパー下部は、ラジエータ、オイルクーラー、ブレーキなどの冷却用開口部が設けられる
テールエンドの左右は三角形の可動フラップとなっている

 搭載するエンジンは、新仕様のV型12気筒6.5リッターエンジン(F140HD)で、チタン製コンロッドを採用し、スチール製よりも回転質量の40%低減に成功。ピストンも従来とは異なるアルミニウム合金を使うことで軽量化したほか、クランクシャフトもリバランスを施し3%の軽量化を実現したという。また、バルブ類にはDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティングを施し、摩擦係数を下げることでエンジンの機械効率を大幅に高めたとしている。

 最高出力は830CV/9250rpm、最大トルクは678Nm/7250rpmを誇り、最大トルクの80%を2500rpmから発生。トランスミッションは8速DCTで、0-100km/h加速は2.9秒、最高速は340km/hをマークする。さらに、自然吸気エンジンでは初となる「アスピレーテッド・トルク・シェイピング(ATS)」の開発によって、トルクカーブの繊細な電子制御が可能となっているほか、エキゾーストは各バンク6-in-1の等長マニホールドを採用し、全回転域でフェラーリの特徴的サウンドが響くという。

 冷却システムは、フロントバンパーに開口部を7個設け、中央はラジエータやエアコンコンデンサーに、左右のエアインテークは2分割していて、外側はフロントタイヤの前に配置されているオイルクーラーに、内側はブレーキの冷却に割り当てられている。ボンネットダクトがエンジンルームの熱を効率よく排出することで、床下の開口部を極力少なくでき、ダウンフォース向上にも貢献。

 新設計のアルミニウム製シャシーは、「812 スーパーファスト」よりもホイールベースが20mm短く、ねじり剛性は15%向上していて、動的挙動が分かりやすくなったほか、サスペンション精度も高めている。また、フェラーリの量産モデルとしては初めてフレームの一部に100%リサイクル素材を採用している。

オープンモデル「12チリンドリ スパイダー」
スパイダーの前後重量配分はフロント47.8:リア52.2

 タイヤサイズはフロントが275/35R21、リアが315/35ZR21で、ミシュランの「パイロットスポーツS5」またはグッドイヤーの「イーグルF1スーパースポーツ」を選択可能という。ブレーキ・バイ・ワイヤーの導入により、「296 GTB」で初採用した「ABS Evo」と「6Dセンサー」を搭載でき、「バーチャル・ショート・ホイールベース(PCV)3.0」や「サイド・スリップ・コントロール(SSC)8.0」などを完備したほか、新たな電子制御ロジック「アスピレーテッド・トルク・シェイピング」も搭載し、よりスムーズでリニアなエンジンフィールを実現。また、「812コンペティツィオーネ」から採用されている四輪独立操舵(4WS)も備え、コーナリング中のヨーマネージメントや素早い切り換えしでの応答性なども向上させている。

タイヤサイズはフロントが275/35R21、リアが315/35ZR21

 キャビンはほぼ左右対称の構造で、内装にもリサイクル・ポリエステルを65%含むアルカンターラをはじめ、サステナブルな素材を幅広く採用。15.6インチのドライバー用ディスプレイ、10.25インチのセンターディスプレイ、助手席用の8.8インチディスプレイの3個のディスプレイで構成された新しいヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)を導入。また、Burmesterと共同開発した1600W&15スピーカーの大出力高級オーディオシステムをオプションとして設定している。