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フェラーリ、新作ワンオフ「KC23」誕生 グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで一般初公開へ

2023年7月11日(現地時間) 発表

フェラーリの新作ワンオフモデル「KC23」

「488 GT3 Evo 2020」ベースの新作ワンオフ

 フェラーリは7月11日(現地時間)、フェラーリのスペシャル・プロジェクト・プログラムによるワンオフシリーズの最新作「Ferrari KC23」を発表した。最初の一般公開として、イギリスで7月13~16日に開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで展示。また、8月1日~10月2日にはマラネッロのフェラーリ・ミュージアムで展示される。

 フェラーリの「スペシャル・プロジェクト」プログラムは、いわゆる「ワンオフ」と呼ばれるユニークなフェラーリを生み出すこと。要望に沿ってエクスクルーシブなデザインが作り出され、そのクライアントが唯一無二のモデルのオーナーとなる。各プロジェクトはクライアントのアイデアを出発点とし、それをフェラーリ・スタイリング・センターのデザイナーチームが連携して発展させる。

 車両のプロポーションとフォルムを決定したら、デザインを詳細に検討し、スタイリング用クレイモデルを製作した上で、新ワンオフの製造工程に入る。全プロセスには平均約2年を要し、その間、クライアントはデザインの評価や検証プロセスに密接に関わる。こうして、跳ね馬のロゴを装着し、マラネッロ生まれの全モデルと同じ卓越した水準で設計されたユニークなフェラーリが誕生する。

 その最新作「Ferrari KC23」は、3年に及ぶ開発を終えて、マラネッロの全製品の中で最もエクスクルーシブなグループに加わった。たったひとりのクライアントの指定に従って作り込まれたビスポークモデルであり、フェラーリのパーソナライゼーション戦略の頂点に位置するモデルとなる。

主要フェラーリ・コレクターの依頼で作られた「KC23」

 ワンオフのKC23は、未来のクローズド・ホイール・レーシングカーはこういった姿かもしれない、という大胆で過激なビジョンを形にしたもの。76年に及ぶマラネッロの歴史上、最多の成功を誇る488 GT3 の「Evo 2020」バージョンを変貌させて、極上の新作に仕上げた。

 静止状態ではエレガンスが香り立ち、ひとたび走り出せば見る者を興奮させるという離れ業を実現。これに貢献しているのが、モーター駆動のエア・インテークや堂々たるリアウィングといった画期的な空力ソリューション。

 KC23 は、フラヴィオ・マンゾーニ氏率いるフェラーリ・スタイリング・センターがデザインし、488 GT3 Evo 2020 のプラットフォームをベースに、そのレイアウト、シャシー、エンジンを受け継いだモデルで、このプロジェクトがベースとするのは極めて特別なモデル。488 GT3 は、2016年から今日に至るまでレースで活躍し、世界屈指の耐久レースを制し、勝利数は530、制覇した選手権は119に上るフェラーリ史上最も成功を収めたレーシングカー。その究極のエンジン、シャシー、サスペンション・セットアップを受け継ぐKC23 は、競技以外のサーキット走行に特化して設計された。

静止状態

 KC23で何よりも異例なのは、2種類の仕様を持つ点。静止状態のレイアウトでは、クリーンに波打つ流麗なフォルムが際立つが、ひとたびコースに出ると、自動で開くエア・インテークや堂々たるリアウィングでビジュアルを支配する。

 フェラーリ・スタイリング・センターは、プロジェクトの最初期から、クライアントとの合意の元、ホモロゲーションの制約を完全に排除したラディカルなワンオフを作り出すことに力を注いだ。

 誕生と共に名車の仲間入りを果たすタイムレスなラインで構成され、同時にスーパーカーの未来をのぞかせて興味をかき立てる1台。このチャレンジングな目標を実現するためには、ガラス面からライト・クラスターに至るまで、488 GT3 Evo 2020 のあらゆるラインを残らずデザインし直す必要があった。

 その結果、1個の金属の塊から彫り出されたかのような一体感のある美が生まれた。このデザインにはハイテク機能がいくつか隠れている。特に両サイドのエア・インテークは、ミッドリアに搭載するV8ツインターボ・エンジンを始動すると自動で開き、これがKC23に、使う目的によって姿を変える生き物のような印象を与えた。リアウィングも取り外しが可能で、コース外ではクリーンで端正なラインを強調できる。

 ボディ表面は滑らかで継ぎ目のないよう処理し、鋭角な部分を最小限にまで減らした。そのため、時の試練に耐えるアイコニックで未来的なデザインを追求する中で生まれた、無駄のないしなやかでピュアな美しさが引き立てられた。KC23でコースへ出るため、ドライバーがエンジンを始動すると、その姿は大きく変貌し、突如としてレーシングカーの攻撃性が前面に出る。特に、堂々たるリアウィングを無視することは不可能で、コーナーを次々と切り裂き、V8が発生するパワーを残らず解き放つよう作られたレーシングカーであることを物語っている。

 まったく異なるシルエットを持つKC23 でも、ドナーカーのダウンフォースと冷却性能を維持できるよう、デザイナーらは懸命に努力した。こうして、エンジンの始動で自動的に動くボディパネルが専用に開発された。フロント・タイヤ後方のパネルからはフェンスが現れ、これがフロント・ダウンフォースを押し上げて車両全体の空力バランスを取り、リアのパネルからはインテークが現れ、ここからインタークーラーと補機類、エンジンに適切な量の空気が供給される。

 KC23のバタフライ・ドアは、1箇所のフロント・ヒンジで上方へ開く。この構造的ソリューションは名高いスーパーカーのラ・フェラーリと共通で、そのために車両のグリーンハウスや構造部に手を加える必要はなかった。クラムシェル式ボンネットはシンプルな仕組みで開閉し、2本のピンを取り外すだけで、フロントの検査やメンテナンス作業を行なうことができる。ヘッドライトとテールライトも新デザインで、最も大胆に変更されたのがテールライトで、印象的なメタクリル樹脂製のライトブレードは、Ferrari Vision Gran Turismo をインスピレーションとし、エンジン始動と共に輝きを放つ。

リアウイングは脱着式

 KC23では、ガラス面さえデザイン理念の影響を受け、ボディワークとシームレスに一体化し、ピラーもフレームもシールも見えず、明らかに航空技術から生まれたドームという印象。スタイリングの連続性を最大限に実現するため、シームレスに溶け込むメタリック仕上げで、ひときわ目を引く未来的な印象が生まれた。

 KC23でもうひとつ特徴的なのが、ゴールド・マーキュリーのリバリー。これは特別に開発された4層のアルミニウム・ペイントで実現。塗料に液体金属を含むため、日光を受けると驚くほど明るく輝き、当たる光の種類や角度によって色が目まぐるしく変化して見えるので、心を捉えて離さない。

 キャビンは488 GT3 Evo 2020 を極力そのまま引き継ぎ、無駄を削ぎ落としたデザインで、例外はパッセンジャー側のドア・パネルとダッシュボードの仕上げだけ。KC23専用のシートはアルカンターラでトリミングされ、そこにロゴが電気融着されており、エクステリアと完璧に調和したエレガンスをキャビンにもたらした。後方視界はビデオカメラ・システムで確保。これは、伝統的なフェンダー・ミラーを排除して、サイドボディのラインを損なわずに済むため、エアロダイナミクスにもメリットがある。

 ホイールは専用に設計された2種類が用意され、18インチのホイールを装着すれば、世界のサーキットで目を見張る走りを披露でき、フロント21インチ、リア22インチのホイールは、静止状態での展示で観衆を魅了する。