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フェラーリ、ソフトトップ採用のオープン2+モデル「ローマ スパイダー」日本初公開 価格は3280万円

2023年5月18日 公開

 フェラーリ・ジャパンは5月18日、3月にモロッコで限定お披露目会を行なった新型オープン2+モデル「ローマ スパイダー(Roma Spider)」の日本初公開にあわせて発表会を実施した。価格は3280万円。

 ローマ スパイダーは、1950年~1960年代のシックなイタリアン・ライフスタイルを現代的に再解釈して生まれたV型8気筒3.9リッターターボエンジンを搭載する2+クーペ「ローマ」のプロポーションやフォルム、さらにスペックを継承しつつソフトトップを採用したオープンモデル。フェラーリがフロントエンジンモデルにソフトトップを採用したのは、1969年の「365 GTS4」以来54年ぶりとなる。

ボディサイズは4656×1974×1306mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2670mm、乾燥重量は1556kg、重量配分はフロント48:リア52
ルーフを閉じた状態でもローマ同等に美しいシルエットはそのまま

 フェラーリ・ジャパンの代表取締役社長 フェデリコ・パストレッリ氏は、発表会の冒頭に、長年の友人であるエンリコ・ガリエラ氏とフラビオ・マンツォーニ氏の名前を出し、「ある日ガリエラ氏がフラビオ氏に『ローマをオープンできると思う?』と質問し、フラビオ氏は目の前にナプキンとペンがあったので、その場でデザインを起こしたんです」というローマ スパイダーの誕生エピソードを披露。

 続けて「スパイダーは、ローマのクーペのよさをしっかりと継承し、それ以上に素晴らしい完成度になっています。ソフトトップでもローマのデザインフォルムを維持し、エレガンスさも兼ね備えました。ソフトトップはカラーやステッチを自分好みに選べるのも特徴です。デュアル・コクピットのコンセプトにより、ドライバーもパッセンジャーも楽しめるように仕上がっていますので、スパイダーをすでに乗っているユーザーも、まだスパイダーに乗ったことのない人も、また小さなお子様は後部座席に乗せられるのでファミリーにも、運転や人生をもっと楽しみたい方にも、ぜひ1度このローマ スパイダーに乗っていただきたいです」とあいさつを締めくくった。

フェラーリ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 フェデリコ・パストレッリ氏

 ローマ スパイダーのエクステリアは、クーペの優雅に流れるシルエットには手を加えず、オープンエアを楽しめるモデルを目指して開発され、ソフトトップには現代的で新しいデザインを採用。リアスクリーンをソフトトップの一部とし、ルーフを開くときにトノカバーの下に折りたたまれるように設計。また、5種類の専用の新素材ファブリックを使用しつつ、アクセントとして入るステッチはオーナーが選択可能。

 ソフトトップの開閉にかかる時間は13.5秒とし、最高で60km/hまでなら走行中も開閉可能としている。さらに、オープンにした状態でもしっかりとトランク容量(255L)を確保したほか、リアシートの背もたれ部分には、特許を取得した「新ウインドウ・ディフレクター」を搭載し、従来の2+スパイダーモデルに比べて頭部周囲の乱流の抑制効果が約30%向上。ディフレクターは最高で170km/hまで展開でき、中央部に設けられた横長の開口部は後方の視認性向上はもちろん、空力ダクトとして機能する角度にしてあり、走行中の風の巻き込みを低減しつつダウンフォースも発生し、快適性とビークルダイナミクスを向上させている。

ソフトトップの開閉にかかる時間は13.5秒。走行中でも60km/hまでは可動できる
特許を取得したという新たなウインドウ・ディフレクター
【フェラーリ】ローマ スパイダーのソフトトップ開閉シーン(1分21秒)

 長いフロントボンネットを持つローマ スパイダーは、ローマ同様サイドはすっきりとしたシルエットが強調され、ダイナミックなルックスを実現。エアダクトなどを設けないシンプルなフロントエンドは、1つの金属塊から削り出したかのような印象を持たせつつ、尖った形状はサメのようなシャークノーズを形成する。

すっきりとしたサイドシルエット

 リアに備わる3段展開式の「アクティブ・スポイラー」は、前後左右の加速度や車速に応じて自動的に展開するが、ローマ スパイダーでは、オープン状態でセッティングを実施。スパイダー特有のキャリブレーションが設けられている。ウイングは走行モードの選択とも連動するが、基本的には100km/hまではLD(ロー・ドラッグ)モード、300km/hあたりでMD(ミディアム・ダウンフォース)モード、さらにそこから前後左右の加速度を検知すると必要に応じてHD(ハイ・ダウンフォース)モードに切り替わるという。

フロントビュー
リアビュー
フロント、サイド、リアのスポイラーはすべてカーボンファイバー
フロントタイヤサイズは245/35ZR20。ホイールは20インチ×8.0J。ブレーキローター径は390Φ×34mm
リアタイヤのサイズは285/35ZR20。ホイールは20インチ×10.0J。ブレーキローター径は360Φ×32mm

 シャシーもローマをベースとしているが、極めて重要なサイドシルはスパイダー専用設計、またソフトトップの搭載に必要ないくつかのエレメントと、Aピラーやウインドウまわりも変更されている。それでもクーペからの重量増は84kgに抑え、パワーウエイトレシオは2.5kg/cvを誇る。

 インテリアもローマ同様のアプローチで、ほぼシンメトリーなレイアウトを採用しつつ、1970代以降の歴代モデルにも深く根差している「デュアル・コクピット」のコンセプトを進化させ、ドライバーとパッセンジャーそれぞれに空間を提供する。メインメーターには「デジタル・インストゥルメント・クラスター」を採用。オプションの助手席用ディスプレイを追加すれば、パッセンジャーとの情報共有も容易になるという。また、ダッシュボード中央にはエアコンなどの操作を行なう8.4インチのセンターディスプレイを配置する。

デュアル・コクピットのコンセプトを進化させた

 ステアリングもローマからさらに磨きをかけ、各タッチコントロールの操作性を向上。フェラーリが提唱する「視線は路上に、手はステアリングに」という理念をより実現させたとしている。運転席と助手席はヒート機能付きで、オプションでネックウォーマーも追加できる。

 パワートレーンは、4年連続で「インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー」を獲得したV型8気筒 3.9リッターターボエンジンで、最高出力456kW(620CV)/5750-7500rpm、最大トルク760Nm/3000-5750rpmを発生。トランスミッションは8速F1 DCTを組み合わせ、0-100km/h加速は3.4秒。最高速は320km/hを誇る。

コクピット
前席
後席
デジタル・インストゥルメント・クラスター
8.4インチのセンターディスプレイ
8速F1 DCTなので2ペダル式
助手席用のディスプレイはオプション設定
JBLのサウンドシステムを搭載
サイドシルもカーボンファイバー製
ラゲッジスペースの容量は255L
トランクハッチの裏側には車体に搭載されている機能など情報が記載されている
ラゲッジスペースに見えているのは格納されたルーフ

 ローマ スパイダーでは、ローマから搭載されているコールドスタートでの油圧上昇時間を70%短縮することに成功し、かつ中回転域での流量も増加できるという新しいオイルポンプを採用。また、選択したギヤに合わせてトルク配分をコントロールする「バリアブル・ブースト・マネジメント」で制御を行なっている。トルクはシフトアップとともに増大していき、7速、8速で最大の760Nmに到達。一方低速ギヤでは全回転域でより急角度のトルクカーブを描き、スムーズで安定したピックアップを実現させたという。また、ギヤボックスは「SF90 ストラダーレ」で導入された8速DCTと同型だが、高めのギヤレシオに変更されている。

搭載されるパワートレーンは最高出力456kW(620CV)/5750-7500rpm、最大トルク760Nm/3000-5750rpmを発生するV型8気筒 3.9リッターターボエンジン。8速F1 DCTが組み合わせられる

 クラッチは7速仕様よりも20%小型でありながら、トルク伝達を35%増強し、変速時に伝達される動トルクは1200Nmに達するという。トランスミッションのソフトウェアも進化していて、アイドリング・ストップ機能を使用することで燃費とCO2排出量の低減に貢献するという。

 車両のダイナミクスを統合する「サイド・スリップ・コントロール(SSC)」は、バージョン6.0を搭載。また、走行モードは「Wet」「Comfort」「Sport」「Race」「ESC OFF」の全5種類あり、レース(Race)モードでのみ作動するFDA(フェラーリ・ダイナミック・エンハンサー)は、4輪のブレーキを自動的に効かせることで、横方向のダイナミクスを自動的に制御し、ドライバーはステアリングとアクセル操作により集中できるとしている。

発表会場にはクーペタイプの「ローマ」も展示されていた