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フェラーリ、世界に1台だけのテーラーメイド仕様の「ローマ」 日本の伝統工芸や職人技を取り入れる

2022年5月17日(現地時間)発表

テーラーメイド部門が作り上げた世界で1台だけの「ローマ」

 伊フェラーリは5月17日(現地時間)、ビスポークを手がけるテーラーメイド部門が作り上げた世界で1台だけの「ローマ」を公開した。

 フェラーリ・テーラーメイドは、フェラーリの各要素をカスタマイズし、オーナーの個性と好みにぴったりと合った1台を作りたい人に向けた特別なプログラム。今回のローマはデザイン、カルチャー、テクノロジーに特化した米国の独立系出版社「クール・ハンティング」の創設者である、エヴァン・オレンステン氏とジョシュ・ルービン氏が所有するモデルで、両氏が何度か足を運んだことがある日本の伝統工芸や職人技を取り入れているという。

 今回のローマでは日本の伝統的なインディゴ染料である藍(あい)からインスピレーションを受け、この1台のために特別に開発された鮮やかなブルーの「インディゴ・メタル」を採用。インテリアでも同じカラーパレットを使い統一感を持たせるとともに、シート・トリムのインサートやカーペットには藍色の裂き織りが使われた。

日本の伝統工芸や職人技を取り入れたローマ。ボディカラーは鮮やかなブルーの「インディゴ・メタル」を採用

 また、藍のテーマはヘッド・ライニングにも見られ、ここには京都の浅井ローケツで染めた2枚の藍染めの革を使用。1枚はクルマのカラースキームに合わせて作られた独特の単色で、もう1枚には8世紀にまでさかのぼる「ろうけつ」という技法を用いて手作業で柄が描かれるという。さらにインナードアハンドルのデザインも日本からインスピレーションを得たものとし、刀を握る部分を包む柄巻(つかまき)という伝統技法へのオマージュとして、ブラックの革ひもを手作業できつく巻きつけている。

 加えてクール・ハンティングのチームは銅製の茶筒で知られる京都の老舗、開化堂を訪れた際にもインスピレーションを得ており、シフトゲートまわりやレバーなどのディテールに銅めっきを採用し、日本でめっき加工を施した。デュアル・コクピットを取り巻くアウトライン、ホイールリム、家紋にもこの色が使われる。

シフトゲートまわりやレバーなどのディテールに銅めっきを採用するとともに、ホイールリムなどにもこの色が使われる

 また、センターアームレストとドアシルに設けられたデディケーションプレートには、日本で先祖より代々受け継がれている家紋のデザインを特注し、ユニークな紋章としてあしらった。これは家紋のデザイン会社である京源がデザインしたもので、平安時代(794年~1185年)の貴族の乗り物である牛車の車輪に、ローマに搭載するV8エンジンの8本のピストンをスポークとして組み合わせたものという。

センターアームレストとドアシルに設けられたデディケーションプレートには、日本で先祖より代々受け継がれている家紋のデザインが与えられた