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フェラーリ、史上最もパワフルなV8エンジン搭載の「F8 トリブート」公開

「刺激的なフェラーリサウンドを響かせる世界唯一のターボエンジン」

2019年6月25日 開催

「F8 トリブート」を公開

 フェラーリ・ジャパンは6月25日、ジュネーブモーターショー2019で発表された「F8 トリブート」を日本で公開した。「488 GTB」の後継モデルという位置付けだ。

フェラーリ史上最もパワフルなV型8気筒エンジン

 まずはエンジンの話から始めよう。F8 トリブートに搭載される3.9リッターV型8気筒ターボエンジンは720HPを発生し、その加速性能は0-100km/hで2.9秒、0-200km/hで7.8秒を記録。最高速は340km/hをたたき出す。「実質上ゼロターボラグ、かつユニークで刺激的なフェラーリサウンドを響かせる世界で唯一のターボエンジンです」と評するのは、今回の発表会で来日したフェラーリ 極東中東エリア ヘッドオブコミュニケーションズのウィーピンルム氏だ。488 GTBより最高出力が50HP高められ、スペシャルカーを除くフェラーリの歴史上、最もパワフルなV型8気筒エンジンとなった。

 このV型8気筒エンジンはインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーのベストエンジン賞を2016年から2019年の4年間にわたって受賞。そして2018年にはこの20年間におけるベストエンジン賞も受賞しており、スポーツ性能とドライビングプレジャーをバランスよく味わうことのできる類まれなパワーユニットと言える。

F8 トリブートが搭載するV型8気筒3.9リッターターボエンジンは、最高出力720HP/8000rpm、最大トルク770Nm/3250rpmを発生

 また、488 GTBと比較して40kgもの軽量化を達成。エアロダイナミクスも10%上まわるほか、最新バージョン(6.1)のサイドスリップアングルコントロールシステムが搭載された。

 もう1つ、このF8 トリブートの重要な要素として最上級のドライビングの楽しさが挙げられる。ステアリングホイールはハンドリング性能を向上させるために直径を小径化し、完全に再設計。グリップ感覚が強化され、細かなステアリング操作に反応する車両の挙動がより明確につかめるようになったという。

 また、ボディに採用された先進のエアロダイナミックソリューションは、エンジンパワーを最大限活用するために、「488 ピスタ」と同様にF8 トリブートのエアロパッケージもサーキットで培われた経験が注ぎ込まれた。後傾マウントのフロントラジエターをはじめ、ボディ側面後部からリアスポイラーの両側に設置場所を移したダイナミックエンジンエアインテークなど、エンジンの熱管理に関する機能の一部を488 ピスタから受け継いでいる。

過去の名車をオマージュにしたエクステリアデザイン

 フェラーリスタイリングセンターでデザインされたこのF8 トリブートのフロント部には、488 ピスタで初めて導入された「S-Duct」を備えている。しかし、このエリアの広範囲にわたる再設計によって、デザインは新しくなった。その結果、488 GTBよりも増大した総ダウンフォースにおけるS-Ductの貢献度は15%まで向上。

 また、よりコンパクトになったフラットタイプの新型LEDヘッドライトの採用により、ブレーキ冷却用の新型インテークをバンパー外側のインテークと一体化させることに成功。その目的は、さらなる高速化に向けた対応策としてホイールアーチ全体の気流を改善することで、ブレーキシステムのサイズ拡大を避けるためだった。

 エンジンルームは新型レキサン製リアウィンドウを透して見ることができる。これは、「F40」の特徴的なデザイン要素を現代的にアレンジしたもので、リアウィンドウのルーバーは、リアで発生するダウンフォースの増加に向けて、さらに進化したブロウンスポイラーの効率に悪影響を及ぼすことなく、エンジンルーム内の熱気排出を促すという。

 スポイラーはテールランプを包むことで、視覚的に車両の重心位置を下げ、ツインライトクラスターとボディカラーのテールパネルというクラシックなテール構成を蘇らせた。これはこのシリーズ最初のモデル、「308 GTB」(1975年製)をはじめとする初期の8気筒ベルリネッタのシンボルの1つなのだ。

F8 トリブートのボディサイズは4611×1979×1206mm(全長×全幅×全高)。乾燥重量は1330kg

 キャビンのデザインは、基本的にはフェラーリのリアミッドエンジンベルリネッタ伝統のドライバー重視のクラシックなコクピットデザインを踏襲したものの、ダッシュ、ドアパネルおよびトランスミッショントンネルなど、個々の要素はすべて再設計されている。

 また、新世代HMI(ヒューマンマシンインターフェース)に加え、円形エアベント、新型ステアリングホイールおよびスイッチ類、さらには新型7インチのパッセンジャータッチスクリーンディスプレイなど、かつての時代から大幅に向上したキャビン環境もこのモデルの特徴と言える。

F8 トリブートのインテリア

最後のV型8気筒?

 今回、発表会の会場に選ばれたのは東京都現代美術館(東京都江東区)。2002年に「ARTEDINAMICA疾走するアート:フェラーリ&マセラティ」が開催された場所だ。そこではF1マシンのほか、クラシックフェラーリやマセラティたちが約20台展示されるとともに、ピニンファリーナ、ジウジアーロといったデザイナーのオリジナルドローイング、図面、木型などが展示されており、当時は大いに注目を浴びたものだ。

 今回もトリブートと名付けられたこともあり、会場入り口にはオリジナル度の高い308 GTBとF40が展示され、来場者を迎え入れていた。そしてその奥にはV型8気筒エンジンがLEDのアーチの奥に展示。今回の主役がV型8気筒であることを暗示させていた。

会場に展示された308 GTB(上段)とF40(下段)
308 GTBとF40の奥にV型8気筒エンジンを設置

 先般発表された「SF90 ストラダーレ」はV型8気筒エンジンと3モーターハイブリッドが組み合わされたクルマだ。今後、フェラーリとしてもハイブリッド化の流れを止めることはできないだろう。それを踏まえると、内燃機関だけのV型8気筒はこれが最後かもしれない。だからこそトリブートと名付けられたのだろう。

V型8気筒エンジンはインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーのベストエンジン賞を2016年から2019年の4年間にわたって受賞
F8 トリブートが搭載するV型8気筒3.9リッターターボエンジンの概要
488 GTBに比べてさらに小径の新ステアリングホイールを採用
F8 トリブートと488 GTBのスペック比
F8 トリブートの特徴点
エンジンルームは新型レキサン製リアウィンドウを透して見ることができる
インテリアでのハイライト
488 GTBよりもさらにハイスペック