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フェラーリ「ローマ」を発表したフェラーリ・ジャパン代表パストレッリ氏に聞く

新しいモデルの投入で「より若い世代にもアプローチ」

V型8気筒エンジンをフロントミッドに搭載する「ローマ」

 フェラーリ・ジャパンは、2019年11月にイタリア ローマで発表されたV型8気筒エンジンをフロントミッドに搭載する+2クーペのフェラーリ「ローマ」を発表。一部報道陣に向けて撮影会を実施した。今回、プレゼンテーションなどは行なわれなかったが、1月にフェラーリ・ジャパン代表取締役に就任したフェデリコ・パストレッリ氏が来場していたので、わずかながら話を聞いた。

新たな甘い生活

 イタリア語で“La Nouva Dolce Vita(ラ・ヌオーヴァ・ドルチェ・ヴィータ 新しい甘い生活)”をコンセプトにしたフェラーリ ローマ。ドルチェヴィータ、1960年に公開されたフェデリコ・フェリーニ監督のイタリア映画のタイトルにもなっているこのワードは、1950年代~1960年代における、ローマで生まれた自由なライフスタイルを現代的に再解釈。そこでコンセプトにNouva(新しい)というワードを追加し、また、“ローマ”とネーミングされた。

フェラーリ「ローマ」

 そのスタイリングは、クリーンで統一感のあるフォルムが特徴だ。美しく調和したプロポーションや、バランスの取れたピュアで優美なボリューム感には、フェラーリの歴代ミッドフロントエンジングランドツーリングカーの伝統が色濃く反映している。その最も象徴的な例である「250GT ベルリネッタルッソ」や「250GT 2+2」からインスピレーションを得ながらも、極めて現代的なアレンジを施すことで、洗練された正統派のスタイリングとなった。同時に、滑らかなラインによって、すべてのフェラーリが共有するスポーティさも失ってはいないという。

2+クーペのフェラーリ「ローマ」

 搭載されるパワートレーンは4年連続でインターナショナルエンジンオブザイヤーを獲得しているV型8気筒ターボエンジンファミリーの一員で、ローマには、新しいカムプロファイルに変更したほか、タービンの1分あたりの最大回転数が5000rpm高められた。

 その結果、3855ccで最高出力620CV(およそ620PS)/5750-7500rpm、最大トルクは760Nm/3000-5750rpmを発生。そのパフォーマンスは0-100km/h加速3.4秒、0-200km/h加速は9.3秒、最高速は320km/h以上という。

フロントミッドに搭載されるV型8気筒ターボエンジン

日本市場は伸びしろがまだある

フェラーリ・ジャパン代表取締役 フェデリコ・パストレッリ氏

 さて、1月にフェラーリ・ジャパン代表に就任したパストレッリ氏は、2002年、フェラーリカリフォルニアのシニアプロダクトマネージャーに着任。その後、パーソナリゼーション&アトリエ部門のマネジメントなどを経験し、日本代表に就任する前は南ヨーロッパ・アフリカ地域セールス・マーケティングの責任者を務めていた。

 日本代表に決まったとき、パストレッリ氏は自分のキャリアにプラスになることと同時に、プライベートでも日本の文化に触れられることが楽しみに思ったということなので、日本のイメージはポジティブな印象だ。

 そんなパストレッリ氏に今後の日本市場の展開を聞いてみると「市場としてまだ伸びしろがあると考えています」という。そして今回投入したローマは、「まさにその伸びしろがあるマーケットに対してフィットするモデルです。そこでわれわれはそういったことを考慮しながらさまざまな活動を仕掛けて行く予定です」とコメント。

 具体的には、「フェラーリはお客さまとコミュニケーションを密にとるということを大切にしていますので、お客さまに対してのプレゼンテーションをはじめ(ローマでは各オフィシャルディーラーにおいて招待客限定のプライベートビューイングを開催)、サーキットではフェラーリのレースのDNAを実際に体感してもらうイベントを、さらに、長距離を走るダイナミックツアーというドライビングイベントなど、お客さまにフェラーリを実際に体験してもらえるアクティビティを考えています」と説明。

 日本市場にフェラーリが導入されてから50年以上になり、親和性の高い国ともいえる。近年導入が開始されたアジア諸国と日本との違いについては、「アジアでの勤務経験がないので難しい」としながらも、「日本では長い歴史があるということでお客さまから信頼を獲得しています。実際に中国をはじめとしたアジア諸国ではフェラーリが導入されてから年数が経っていないということもあり、お客さまの層が若いのです。そこで日本はフェラーリの今のお客さまをキープし、よい関係を保ちながら、ローマのような新しいモデルを投入することで、より若い世代にもアプローチし、新しいお客さまにも“体験”してもらいたいのです」と語った。