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TDK、「超薄型ワイヤレス充電用コイル」開発 MPP規格/EPP規格に対応し最大15W充電が可能

2024年5月14日 発表

「超薄型ワイヤレス充電用コイル」

 TDKは5月14日、MPP(Magnetic Power Profile)規格とEPP(Extended Power Profile)規格の両方のワイヤレス充電に対応する「超薄型パターンコイル」(試作品)を開発したと発表した。1つの充電器でQi規格に準拠した全てのスマートフォンを最大15W充電できるコイルは世界初になるという。同製品は5月22日から開催される「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」に出展される。量産開始は2025年1月を予定する。

 近年、スマートフォンをはじめとしたモバイル機器のワイヤレス充電の普及に伴い、自動車内をはじめとしてさまざまな場所で置くだけ充電などの需要が増加傾向にある。

 今回発表された「超薄型ワイヤレス充電用コイル」について、従来の巻線式のコイルでは充電エリアを確保するには3つのコイルが必要だったが、TDKのパターンコイル技術によって形状を自由に設計でき、1つのコイルで広い充電エリアをカバーする。

 MPP規格とEPP規格を同時に満たすためには、MPP方式の磁石の外側にもコイルを設置する必要があり、磁石がその外側に配置されるコイルに影響し、充電効率が下がってしまうという課題があったという。そこでコイルへの影響を最小限に抑えるため、磁石の配置やコイルの設計を最適化することでこの課題を克服し、最大15Wで両規格での使用が可能となる見込み。また、パターンコイル技術によって製品厚み1mmを実現する予定。いずれかのコイルに切り替えて充電することで回路基板の小型化にも貢献するとのこと。

 なお、同社のパターンコイルの銅めっき加工は、必要な部分にのみ銅めっきを施してパターンを形成しており、他の加工方法のように不要な部分の銅を除去することがない、廃棄ロスの少ない製法を採用しているという。