住友ゴム、タイヤと車両が連成するロードノイズ性能を簡便に予測する手法の開発に成功

従来のシミュレーションと今回のシミュレーションの結果比較

　住友ゴム工業は5月15日、タイヤと車両の相互の振動によって発生するノイズの予測手法を新たに開発したと発表した。

　自動車走行時に、路面凹凸の刺激がタイヤを通して車両に伝わり発生するロードノイズは、乗員の快適性を左右する非常に大きな要因の1つ。今後、普及が予想されるEV（電気自動車）はエンジン音が発生しないため、ロードノイズがより顕著になり、ロードノイズの低減が今まで以上に求められている。

　住友ゴムはロードノイズ低減のため、さまざまなタイヤシミュレーションを活用してきたが、ロードノイズはタイヤと車両が連成して発現する現象のため、タイヤだけでは実際に車両に装着された時の性能を高精度に予測することが困難だったという。

　そこで今回、複雑なデータを分解して、それぞれの部分の動きを伝達関数として表現し、それらを組み合わせて全体の動きを予測する手法「伝達関数合成法」を用いて、タイヤのみ、車両のみのロードノイズ性能を結合させて、タイヤと車両が連成するロードノイズ性能を簡便に予測する手法を開発。

　この新たな手法では、実験では評価することが困難なタイヤ転動状態でのタイヤ軸フリー転動振動特性（図の※B）を、初めてシミュレーションで評価することに成功した。また、このタイヤ軸フリー転動振動特性をタイヤ静止状態と転動状態で比較した場合、ジャイロ効果などにより振動特性の違いが出ることも確認でき、伝達関数合成法を転動状態で行なうことの有効性が確認できたという。

　この手法を確立させることにより、タイヤ・車両の振動特性について、伝達関数という機密性が低く軽量なデータで両者を連成したロードノイズ性能予測を簡便に実施できるようになり、試作タイヤによる実車テストの工数削減できるため、開発納期の短縮や資源削減を図ることが期待できる。

　なお、この研究内容は、2023年自動車技術会秋季講演会にて「伝達関数合成法によるタイヤ-サスペンション連成軸力予測手法の開発」として発表し、シミュレーションに必要な特許（特許出願公開番号：特開2022-37666）を出願中という。