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積水化学工業、自動車塗装工程のCO2削減を目指す「塗料転写シート」を開発
2024年5月21日 18:39
- 2024年5月21日 発表
積水化学工業は5月21日、自動車塗装工程におけるCO2削減に向けて、塗料をシート化し塗装工程を通さず転写によって塗装を実現する「塗料転写シート」を開発したと発表した。塗料転写シートは、同社の高機能プラスチックスカンパニーがテープ製造などで培った材料設計・配合・成膜技術を活用したもので、自動車塗装工程でのCO2削減に貢献できるという。
同社が開発した塗料転写シートの特徴としては、同社独自技術で膜化した塗料(塗料層)を転写フィルムと支持フィルムで挟んだ構成で、塗料層の厚みは通常塗装と同じ数十μm。ロール状態で保管可能で、塗料層にはさまざまな塗料を適用可能。
塗料転写のプロセスとしては、支持フィルムを剥離し、塗料層貼付(被塗物に転写)、転写フィルムを剥離し、熱などを加えて塗料層硬化すると、塗装同等の塗膜が完成するという。塗料層は粘着性があり、粘着テープのように貼り付けでき、ラッピングフィルムのように手で貼ることや真空成形も可能。また、TOM (Three dimension Overlay Method)にも対応可能としている。
CO2削減への貢献については、自動車の製造工程におけるCO2排出量の内訳は塗装工程が約20%と最も多く、自動車産業におけるカーボンニュートラルの達成に向けて大きな課題となっているという。
近年、ルーフ色がボディ色と異なるツートーンカラー車が人気となっているが、このツートーンカラー車は塗装ラインを1色目と2色目で2回通して製造していて、塗料転写シートを2色目としてルーフに適用すればCO2排出量をおおよそ半減させることが可能となり、さらにマルチトーンや個性的なライン意匠など複数回の塗装を繰り返すデザインでは、削減率はより高くなるとしている。
同社では、この塗料転写シートを2026年に上市することを計画しており、現在、量産技術や貼り付け技術の確立に向けた取り組みを行なっているところとなる。また、低温硬化技術の設計を進め、より耐熱性の低い樹脂製被塗物にも塗装対象を広げ、自動車製造におけるCO2削減という社会課題の解決を図るとしている。