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アストンマーティン、2025年から「ヴァルキリー AMR-LMH」でル・マン24時間レースに復帰

2024年6月14日(現地時間) 発表

2025年から2台の「Valkyrie AMR-LMH」でル・マン24時間レースに参戦

 アストンマーティンは6月14日(現地時間)、2025年に2台のハイパーカー「Valkyrie AMR-LMH」で、ワークスチームのHeart of Racingとともにル・マン24時間レースのトップクラスに復帰すると発表した。アストンマーティンはル・マン24時間レースで1959年以来となる総合優勝を狙っていく。

 2025年以降、参戦するすべてのメーカーは、ハイパーカー・クラスには少なくとも2台のマシンを投入しなければならないという、ル・マンのイベント主催者であるACO(オートモビル・クラブ・ド・ルエスト)と、モータースポーツの統括機関であるFIA(国際自動車連盟)によるレギュレーション変更に従い、アストンマーティンは、エントリーが受理されることを条件に、2025年のWEC(FIA世界耐久選手権)の全ラウンドに2台のヴァルキリー AMR-LMHを投入する予定としている。

ヴァルキリー AMR-LMH

 ヴァルキリー AMR-LMHのシャシーはレース用に最適化されたカーボンファイバー製で、ヴァルキリーのロードカー用に製造されたコスワース製V型12気筒 6.5リッター自然吸気エンジンの改良版を搭載。このエンジンは、標準仕様で最高回転数1万1000rpm、1000bhpを超えるパワーを発揮するという。このパワーユニットはハイパーカー・クラスの重要なバランス・オブ・パフォーマンス要件を取り入れるためにさらに強化され、トップレベルの長距離レースの過酷な条件に耐えるように開発されているとのこと。なお、サーキット専用車両である「ヴァルキリー AMR Pro」と同様に、公道仕様のヴァルキリーに搭載されているバッテリ・電気ハイブリッドシステムは、ヴァルキリー AMR-LMHには搭載されないとしている。

ヴァルキリー AMR-LMH

 Heart of RacingはWECプログラムのために英国チーム本部を設立し、その近隣で、シルバーストーンを拠点にヴァルキリー AMR-LMHの設計と開発を監督するアストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズの協力のもとレーシングカーが製造されている。

 ヴァルキリー AMR-LMHの開発は順調に進行しており、最近ではアストンマーティンのシルバーストーンのテスト施設とポルトガルのポルティマオ・サーキットで、インテグラルシステムの走行試験を実施したとのこと。

 アストンマーティンは、ル・マンの第1回大会が開催されてから95年間にわたって実質的に時代をともにし、240人以上のドライバーが27のシャシーとエンジンの組み合わせでアストンマーティン車を走らせてきたという。今回、アストンマーティンがハイパーカー・クラスに参戦することで、アストンマーティンはジェントルマン・レーサーからスポーツカーレースの頂点に至るまで、耐久レースのあらゆる面で存在感を示すことになるとした。

 加えて、アストンマーティンはHeart of Racingとともに、米国の耐久レース・シリーズであるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTPクラスへの、Valkyrie AMR-LMHでの参戦も計画。このプログラムは、北米にあるHeart of Racingのフェニックス本部を拠点に行なわれる予定としている。

 これにより、2025年以降、アストンマーティンはスポーツカーおよびGTレースのすべてのレベル(ハイパーカーからGT4まで)および、FIAフォーミュラ1世界選手権に参戦する唯一のメーカーとなるとした。

 アストンマーティンの耐久モータースポーツ責任者のアダム・カーター氏は「アストンマーティンは、ブランドの草創期から耐久レースに挑戦してきました。実際、初めてル・マンに参戦したのは95年以上も前のことで、これは他の公道走行可能なハイパーカーのメーカーには類をみないことです。私たちはこの素晴らしいイベントとの関係を大変誇りに思っており、そのことを踏まえると、WECの掲げるハイパーカーのコンセプトに真剣に取り組み、誰もが知るアストンマーティンの『翼を備えたマシン』を、ル・マン24時間レースを含む国際的なスポーツカーレースの最前線に復活させることは当然のことです。2025年には、ワークスチームのHeart of Racingとともに、アストンマーティンのハイパーカー ヴァルキリー AMR-LMH 2台を投入し、世界最高レベルのスポーツカーメーカーの豪華ラインアップと競い合う予定です。そして、その最前線での戦いに備え、全力で準備を整えています。ヴァルキリー AMR-LMHプログラムは順調に進んでおり、今夏後半のサーキットデビューに向けた大規模な開発が行なわれています。その後、秋に予定されているホモロゲーション取得に先立ち、集中的なテスト期間を設けて走行距離を重ね、可能な限りのことを理解する予定です」とコメント。

アストンマーティン 耐久モータースポーツ責任者のアダム・カーター氏

 Heart of Racingのチーム代表を務めるイアン・ジェームズ氏は「WECが導入したルールの新しい方針により、WECハイパーカー・クラスに複数の車両を投入する計画を前倒しする必要に迫られました。この変更により明らかに準備プロセスが短縮されることにはなりましたが、2台のマシンが参戦することを大変うれしく思います。このクラスはここ数年間で急成長を遂げ、レース内容は素晴らしく、ファンとの交流の格好の機会を提供しており、その一員となることを誇りに思います。これから計り知れない挑戦が待ち受けていると思いますが、その過程も楽しみにしています」とコメントしている。

Heart of Racing チーム代表のイアン・ジェームズ氏