ニュース

アストンマーティン、全世界85台限定生産の新型「ヴァルキリー スパイダー」 1155PSのハイブリッドV12パワートレーン搭載

2021年8月12日(現地時間) 発表

コンコース・デレガンスで「ヴァルキリー スパイダー」を公開

 英アストンマーティンは8月12日(現地時間)、米国カリフォルニア州モントレーのペブルビーチで開催されるコンコース・デレガンスで「ヴァルキリー スパイダー」を公開すると発表した。左ハンドルおよび右ハンドル仕様を設定するヴァルキリー スパイダーは全世界で85台が限定生産され、予約の受け付けを間もなく開始するとのこと。最初の納車は2022年下半期を予定する。

 ヴァルキリーは、レッドブル・アドバンスド・テクノロジーズ(RBAT)と共同で開発しているハイパーカー。「サーキットはもちろんのこと、公道においてもF1マシンを彷彿とさせる走行体験を提供する」としており、ヴァルキリー スパイダーもヴァルキリー同様に1155PSのハイブリッドV12パワートレーンを搭載。パワートレーンに変更はないものの、ヴァルキリー スパイダーではカーボンファイバー構造に改良が加えられ、アクティブ・エアロダイナクス・システムとアクティブ・シャシー・システムのキャリブレーションの全面見直しが行なわれた。これらの対策は、ルーフを取り外した状態で走行したときでも、ヴァルキリー本来のパフォーマンスを発揮できるようにすることを目標としているという。

ヴァルキリーおよびヴァルキリー スパイダーは1155PSのハイブリッドV12パワートレーンを搭載

 ヴァルキリー スパイダーのパフォーマンスの鍵となるのは、超軽量構造と強力なダウンフォースを発生するエアロダイナミクス・パッケージ。ティアドロップ型のコクピットを含むアッパーボディとサイドパネルは、コクピットフロアの両側を走る巨大なベンチュリ・トンネルを包み込むように優雅な輪郭を形成する。これらのトンネルは大量のエアをアンダーボディに取り込み、リアディフュフューザーへと送り出す役割を果たすとしており、これによって空力デバイスをボディ上部に追加することなく、高いレベルのダウンフォースを生み出すことに成功しているという(240km/hで1400kg以上:トラック・モード時)。

 また、ヴァルキリー スパイダーの重量はオリジナルのクーペモデルと比較してわずかな増加に抑えられ、ルーフを取り外した状態での最高速は330km/h以上(ルーフを装着した場合は350km/h以上)に達しており、この結果をもって「アストンマーティン史上最速かつもっとも過激なオープントップ・モデル」とうたっている。

「アストンマーティン史上最速かつもっとも過激なオープントップ・モデル」とうたわれるヴァルキリー スパイダー

 F1マシンからヒントを得たというコクピットでは、低い着座位置よりも高い場所に設定されたペダル類を特徴とし、6点式シートベルトにより乗員の安全を確保。センター・リアビューカメラ・システムは、フロント/リアのパーキングセンサーとともに高速および低速走行時にドライバーをサポートし、インストルメントパネルのすぐ上にはカメラ用のディスプレイが設置される。

 取り外し可能な専用の軽量ルーフは、カーボンファイバー製センターパネルとポリカーボネート製ルーフウィンドウで構成。センターパネルはルーフ後端のタブとウィンドスクリーン・サラウンドに固定される一方で、ルーフウィンドウはそれぞれの側で支えられる。取り外し可能なルーフパネルとラグジュアリーなオープントップ・レイアウトを採用するが、これを実現するために刷新したドアをサポートするために、カーボンファイバー構造に変更が加えられた。これにより、ヴァルキリー スパイダーのドアは車両前方に向けて上部へ跳ね上がるフロントヒンジ・タイプへと変更されている。

ヴァルキリー スパイダーのドアは車両前方に向けて上部へ跳ね上がるフロントヒンジ・タイプへと変更

 今回の発表について、アストンマーティン最高経営責任者(CEO)のトビアス・ムアース氏は「アストンマーティン ヴァルキリーは、極めて高度なイノベーションとテクノロジーを組み合わせたモデルですが、何よりもエモーショナルなドライブ体験を追及することに焦点を当てています。ヴァルキリー スパイダーは、その情熱と感性をさらなる高みへと引き上げ、真にセンセーショナルな走りを実現しています。このモデルには、レブリミットが1万1000rpm以上に達する6.5リッターV12ユニットが搭載されています。ルーフを取り外した状態で、このエンジンが奏でるサウンドを聴ける日を、今から楽しみにしています」とコメント。

 また、レッドブル・レーシングのチーフ・テクニカル・オフィサーであるエイドリアン・ニューウェイ氏は「私たちは、アストンマーティン ヴァルキリープロジェクトを立ち上げた当初から、従来のロードカーをはるかに超える厳格な目標を設定してきました。そして、オープントップ・ハイパーカー・カテゴリーに属するヴァルキリー スパイダーにも、同じ設計思想を適用しました。このモデルは、一見するとヴァルキリーからルーフを取り外しただけに見えるかもしれませんが、ヴァルキリーと同じコンセプトを採用するためには大きな困難が伴いました。もっとも重視した点は、ルーフを外した状態でも空力性能を維持することでした。同様に、運転の楽しみを最大限に引き出しながらも、オープントップ・モデルにとって避けられない重量増加も最小限に留めています」と、その特徴について語っている。