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アストンマーティン、「A3」の誕生100年を記念した限定3台の特別な「ヴァンテージ ロードスター」

2021年6月24日(現地時間) 発表

奥が誕生100周年を迎えたA3、手前がそのA3のトリビュートモデルとなるヴァンテージ ロードスター

随所にA3への称賛がちりばめられた1台

 アストンマーティンは6月24日(現地時間)、現存する最古のプロトタイプカー「A3」の誕生100周年を記念して、スポーツカー「ヴァンテージ ロードスター(Vantage Roadster)」をベースにした現代的なトリビュートモデルの制作を発表した。

 A3がケンジントン(ロンドン)のアビンドンロードにあったアストンマーティンの当時の生産工場で誕生してから、2021年で100年を迎えた。A3はアストンマーティンの量産が開始される前に製造された5台のプロトタイプカーの3番目のモデルで、アストンマーティン共同創業者であるライオネル・マーティン氏が使用していたという。

手作業で磨き上げられたボディパネルは、戦前のアストンマーティンのレストアを手掛けるペシャリスト、エキュリー・ベルテッリによって丹念に仕上げられている

 11HPを発生する4気筒1.5リッターサイドバルブエンジンを搭載したA3は、スリムなレーシングボディを備え、1922年に開催された「Essex Motor Club Kop Hill Climb」レースでの優勝を含め、ライトカーカテゴリーにおけるいくつかのスピード記録を達成。さらに1923年にはブルックランドサーキットで、84.5mph(約136km/h)を記録している。

 製造されてから100年が経過したA3は、2002年に行なわれたオークションで、アストンマーティン・ヘリテージ・トラスト(AMHT)が多額の資金を投じて落札し、現在では同コレクションが誇るもっとも希少なモデルの1台。トラストによる買収後、A3は戦前のアストンマーティンのレストアを手掛けるスペシャリスト「エキュリー・ベルテッリ(Ecurie Bertelli)」によってオリジナル仕様にできる限り忠実に復元されたという。

 この歴史的なクルマの100周年を記念し、老舗ディーラーのアストンマーティンHWMは、アストンマーティン・ヘリテージ・トラストと協力して、A3に敬意を表したヴァンテージ ロードスターのトリビュートモデルの製作を、アストンマーティンのパーソナライゼーション・サービス部門である「Q by Aston Martin」に依頼したという。

Q by Aston Martinが手掛けた証のエンブレムも装着される

 この特別なヴァンテージ ロードスターの製作を依頼したHWMは、1938年にウォルトンオンテムズ(イギリス)に設立され、現在でも1948年に最初の店舗を構えた当時と同じ建物で営業している、世界中のアストンマーティンディーラーの中でもっとも長くサービスを提供している店舗。

 アストンマーティンHWMおよびアストンマーティン・ヘリテージ・トラストから依頼を受けたQ by Aston Martinは、究極のパーソナライズ・サービスを実現するために専門知識を活用して、アストンマーティンの伝統と最新のテクノロジーとエンジニアリングを組み合わせた美しいオーダーメイドのスポーツカーを作りあげた。

 インテリアとエクステリアの細部にいたるまで考え抜かれたデザインのハイライトは、A3のレトロな仕上がりを再現した光沢アルミニウム・サラウンドとブラックのスクエアメッシュを備えたユニークなフロントグリル。A3の製作時に使用されたアストンマーティンのヘリテージバッヂもメッシュに装着される。

A3のフロントグリルとバッヂ
ヴァンテージ ロードスターのフロントグリルとバッヂ
サドルレザーストラップを備えたユニークなサイドフェンダーパネルは、1921年に製作されたA3の露出したアルミニウムボンネットと、それを固定したボンネットストラップからヒントを得たという。さらに、オリジナルモデルに刻印されていた「No-3」の文字も再現している。右はA3に刻印されている「No-3」の文字
A3に数多く採用されていたブロンズのアイテムを再現するために、ブロンズのブレーキ・キャリパーが装備され、専用の20インチ・グロスブラック軽量鍛造ホイールも装着されている。右はA3のホイール

 A3のインテリアの特徴となっていた真鍮からヒントを得て、特別仕様のロータリースイッチを製作。これは特別に真鍮から鋳造で作り、当時の雰囲気を演出。また、マイクロパフォレーテッド仕上げの縦溝シートとリアの収納スペースに刺繍された伝統的なAston Martinスクリプトは、1921年にアストンマーティンが使用していたものと同じスクリプトを再現したもの。さらに、オブシディアンブラックのインテリアには、チェストナット・タン・レザーのアクセントとチェストナット・タンのコントラスト・ステッチが施されている。

センターコンソールにはエンボス加工されたヘリテージAston Martinロゴを装着
リアの収納スペースに刺繍された伝統的なAston Martinスクリプト
伝統的なAston Martinスクリプトが彫られたプレート
1921年当時のAston Martinスクリプト

 Q by Aston Martinおよびアストンマーティン スペシャル プロジェクト セールスのディレクターを務めるサイモン・レーン氏は「アストンマーティンブランドが、現存する最古のモデルの100周年を祝うのは当然のことと言えるでしょう。私のチームが、アストンマーティン・ヘリテージ・トラストおよびアストンマーティンHWMと協力して、アストンマーティンの栄光の歴史へのトリビュートとなる、この素晴らしいモデルを誕生させることができて大変嬉しく思っています」と述べている。

 なお、アストンマーティンHWMで製作される“A3”ヴァンテージ ロードスターは、3台限定で現在注文受け付け中という。

 また、この特別モデルは、アストンマーティン・オーナーズクラブのサポートを受けて、アストンマーティン・ヘリテージ・トラストが6月26日にイギリスのウォリックシャー州ソウザンにある「Dallas Burston Polo Club」で主催する「A3 100周年記念イベント」で初公開される予定。イベントでは他にも、希少なアストンマーティン・モデルが年代別に展示され、来場者はガイド付きツアーに参加して、それぞれの魅力的な時代をテーマにした会場を見て回ることができるという。

 イベントではハイライトであるA3以外にも、戦前の有名なアストンマーティン・モデルのレストアを専門に手掛けるエキュリー・ベルテッリによって復元された下記の名車が展示されるという。

・戦前のアストンマーティン・モデル
・戦前のラゴンダ・モデル
・アストンマーティン工場がフェルサムにあった時代の「DB2」ファミリー
・ニューポートパグネルで製造されたDB4、DB5、DB6、DBSを含む6気筒モデル
・1968年~2000年までに製造されたV8モデル:「Saloon」「Volante」「Vantage」「Lagonda」「Virage」
・アストンマーティンTickfordペシャル:「Frazer Metro」「Tickford Capri」
・DB7&V12「ヴァンキッシュ」
・「DB9」「ヴァンテージ」「ラピード」「ヴァンキッシュ」をはじめとするゲイドンVHアーキテクチャーのスポーツカー、さらに「One-77」、「シグネット」「ヴァルカン」といった希少車
・最新モデル・ラインナップ:「ヴァンテージ、DB11」「DBS スーパーレッジェーラ」「DBX」