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マツダ、2025年3月期 第1四半期決算 北米市場で過去最高の販売を達成して売上高10.5%増の1兆2056億円、営業利益67.7%増の504億円で増収増益

2024年8月7日 開催

決算説明会に参加したマツダ株式会社 代表取締役 専務執行役員兼CFO ジェフリー・H・ガイトン氏(左)とマツダ株式会社 専務執行役員 藤本哲也氏(右)

売上高1兆2055億6300万円は第1四半期として過去最高

 マツダは8月7日、2025年3月期 第1四半期(2024年4月1日~6月30日)の決算内容を発表した。

 第1四半期の売上高は前年同期の1兆909億7100万円から10.5%増の1兆2055億6300万円、営業利益は同300億2500万円から67.7%増の503億6000万円、営業利益率は4.2%、経常利益は同639億2200万円から25.6%増の802億6700万円、当期純利益は同の372億4200万円から33.8%増の498億1400万円となった。なお、売上高は第1四半期として過去最高を記録している。

 また、連結出荷台数は前年同期の28万6000台から6000台増の29万1000台で、グローバル販売台数は同30万9000台から1000台増の30万9000台。

2025年3月期 第1四半期の財務指標
2025年3月期 第1四半期の生産台数とグローバル販売台数の内訳

 インターネットを通じて行なわれた決算説明会では、マツダ 専務執行役員 藤本哲也氏が第1四半期の決算内容について説明。

 藤本氏は第1四半期のトピックとして、好調に推移した北米市場で第1四半期として過去最高の販売台数を達成したこと、これによって連結売上高も第1四半期として過去最高となっていること、営業利益は対前年比で68%増の504億円を実現して増収増益になっていることなどを紹介。

 なお、今年になって明らかになった型式指定申請の事案による影響を受け、対象となった2車種について国内出荷が一時的に停止されていたが、7月1日から出荷を再開。財務に対する影響は限定的で、通期業績への影響はないと説明し、引き続き再発防止を徹底してステークホルダー各位からの信頼回復に全力で取り組んでいくと述べた。

マツダ株式会社 専務執行役員 藤本哲也氏

 30万台を生産した車両生産では、2023年7月から2直化がスタートした米国・アラバマ工場やメキシコ工場での生産が大きく改善して生産台数を押し上げた。

 対前年比で1000台増となったグローバル販売では、第1四半期として過去最高の台数を記録した北米市場での販売が好調に推移。「CX-50」「CX-90」が販売を牽引して対前年比で14%となる14万6000台を販売。

 一方で日本市場は、「CX-8」の販売終了、「CX-60」の新車効果一巡といった影響を受けて販売台数は対前年比で31%減の2万9000台にとどまっている。通期のグローバル販売見通しに対する第1四半期時点での進捗率は22%となっているが、今期は「CX-80」や「CX-50」のHEV(ハイブリッドカー)といったニューモデルの市場投入を2024年後半に予定しており、おおむね計画どおりの進捗としている。

2025年3月期 第1四半期実績のトピック
北米市場での販売動向
日本市場での販売動向
欧州市場での販売動向
中国市場での販売動向
その他市場での販売動向

 営業利益の変動要因では、主要市場における競争環境の激化による販売奨励金の増加により351億円の減益要因が発生したが、これに対して主要通貨である米ドルやユーロ、豪ドルなどが大幅に円安となった為替の影響で439億円の増益要因が発生。販売奨励金が期初予想よりも増加した分を為替の影響でオフセットする形となっている。

 販売奨励金については米国の例を挙げ、生産制約からの脱却による競争の激化で販売奨励金は増加傾向となっており、マツダでも今期で目指している「トップライン成長」に向けて競争環境の変化に対応するため販売奨励金の積み増しを実施しているが、市場平均よりも低い水準に抑えている。今後もCX-50 HEVといった新商品、モデルイヤー切り替え時の商品力強化といった施策を行なうことで、第2四半期をピークとして販売奨励金を抑制していく計画だと説明した。

2025年3月期 第1四半期 営業利益の変動要因
米国では販売奨励金が増加傾向だが、マツダは市場平均を下まわる水準で抑制している

2025年3月期通期はグローバル全体で140万台の販売を目指す

 通期見通しについては5月に公表した期初予想を据え置きとしたが、為替レートの設定のみ、米ドルとユーロをそれぞれ7円円安に変更している。

 通期見通しを実現していく今後の取り組みとして、藤本氏は販売では新商品の導入などによって販売奨励金を抑制していき、コスト低減活動の加速によって収益力を改善。また、機種数の削減によって変動費を減らし、ユーザーの価値につながらない部分での部品、素材、装備などの見直しを各取引先とも一体となった原価低減活動も推進していくとした。

2025年3月期の通期見通しは、主要財務指標を据え置き
台数見通しでも期初好評の数値を据え置きとしている
通期見通しを実現していく施策について

 今期進めているトップライン成長の取り組みについては、米国では販売シェアでも第1四半期として過去最高を達成したほか、CX-90は7月にセグメントシェアで過去最高を実現するなど好調な販売を続けており、この原動力となっている「次世代店舗」にリニューアルした販売店も300店舗を超えており、米国内にあるディーラーのマツダビジネスに対するコミットメントレベルと期待感が非常に高まっているとした。

 また、すでに販売がスタートしている「CX-70」に加え、年後半からCX-50 HEVも米国市場に投入。北米市場として初となる年間60万台の販売を目指していく。日本・欧州でもCX-80の市場導入を予定しており、ラージ商品全4車種が出そろうことでラージ商品20万台を販売することで、グローバル全体で140万台の販売を目指す計画となっている。

CX-90などの新商品投入で米国販売は好調
ラージ商品全4車種が出そろうことで、グローバル全体で140万台の販売を目指す
5月にトヨタ自動車、SUBARUと発表した電動化に適合する新エンジン開発の取り組みでは、電動化やCN(カーボンニュートラル)燃料と相性のよいロータリーエンジンに注力する
組織風土改革の「ブループリント」、業務構造改革の「DX推進活動」も引き続き推進
決算説明のまとめ

CX-80、CX-60の導入で国内販売を伸ばしていく

マツダ株式会社 代表取締役 専務執行役員兼CFO ジェフリー・H・ガイトン氏

 質疑応答では、対前年比で31%減となった国内販売における今後の戦略について、予定されているCX-80の発売だけで立て直せるのかと問われ、これについてマツダ 代表取締役 専務執行役員兼CFO ジェフリー・H・ガイトン氏が回答。

 ガイトンCFOは「まず、日本国内の販売では第1四半期で全体需要が7%下がっている前提があります。さらにマイナス要因としては、2年前の3月をふり返って見ると、当時は半導体の供給不足によって生産台数に制約が起きており、ここでたまった需要が4月以降にずれ込んで、販売台数を押し上げたという要因があります。さらにこの第1四半期では、ディーゼルエンジンに対する税制優遇が終了したこと、CX-8の販売終了といった影響も出ています」。

「これから販売を伸ばしていくためには、まずCX-80の導入が挙げられます。CX-80では高い品質を実現し、購入していただいたお客さまにこのクルマを所有することに誇りを持っていただけるようなモデルとして仕上げています。こうしたCX-80の品質向上は、続くCX-60にも反映させていきます。これにより、CX-80に続いてCX-60でも販売を伸ばしていくオポチュニティがあると考えており、なにより大事な要素として、私たちの販売チームがこうしたニューモデルを、お客さまに自信を持ってご提案できるということです。CX-80、さらにCX-60の導入で日本における販売を伸ばしていく計画です」と解説した。