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マツダ、2024年3月期 第1四半期決算は売上高4738億円増の1兆910億円、営業利益495億円増の300億円、当期純利益222億円増の372億円

2023年8月8日 開催

マツダの2024年3月期 第1四半期決算説明会に参加した3人。左からマツダ株式会社 専務執行役員 藤本哲也氏、代表取締役 専務執行役員兼CFO ジェフリー・H・ガイトン氏、常務執行役員 川村修氏

 マツダは8月8日、2024年3月期 第1四半期(2023年4月1日~6月30日)の決算内容を発表した。

 第1四半期の売上高は前年同期の6172億円から4738億円増の1兆910億円、営業利益は前年同期の195億円の赤字から495億円増の300億円、経常利益は前年同期の207億円から432億円増の639億円、当期純利益は前年同期の150億円から222億円増の372億円となった。

 また、連結出荷台数は前年同期の16万6000台から12万台増の28万6000台で、グローバル販売台数は前年同期の23万3000台から7万6000台増の30万9000台。

2024年3月期 第1四半期のマツダ財務指標

 同日に行なわれた説明会では、マツダ 常務執行役員 川村修氏が第1四半期の決算内容について説明。

 生産・販売台数では、前年度から導入が始まった「ラージ商品」が計画どおり販売に貢献したが、オーストラリアの港湾混雑、メキシコでの輸送能力不足といった問題による物流制約が影響して、期初に削減する計画を立てた連結在庫台数は前期末並みの水準に留まっている。しかし、全体としてはおおむね計画どおりに進み、中国とアセアンの市場で販売台数が減少したが、それ以外の市場が販売を伸ばして対前年比大幅増となった。

 営業利益では、上海のロックダウンの影響を受けて赤字となった前年同期から大幅に改善。為替は主要通貨が円安に推移したことにより、米ドル、ユーロなどが増益要因となった一方、マツダの生産拠点があるタイのバーツ、メキシコのペソといった通貨については現地通貨建コストが多いことにより、円安が減益要因に働いて増益を一部オフセットしているという。

マツダ株式会社 常務執行役員 川村修氏

 前年同期から495億円増の300億円となった営業利益の変動要因では、「台数・構成」が819億円、「為替」が58億円、「コスト改善」が49億円の増益要因となっており、台数・構成については前年に起きた上海ロックダウンの影響が解消され、ラージ商品導入などの効果で連結出荷台数が12万台増加。1台あたりの変動利益は新商品の貢献、為替の影響なども受けて前年度から10%以上改善して過去最高レベルになっている。

 減益要因になったのは、「原材料・物流費等」で33億円、「固定費他」で396億円と計上され、固定費他はリアビューカメラのリコールなどに起因する品質費用が発生したことによる一過性の増加で約150億円が必要になったほか、新商品導入に伴う広告宣伝費の増加、賃上げによる人への投資などを主な要因としている。

2024年3月期 第1四半期の台数実績
営業利益の変動要因
2024年3月期 第1四半期決算の総括

 また、川村氏は第1四半期までに行なった商品導入の進捗についても解説。4月には米国市場でラージ商品の第2弾となる「CX-90」を導入し、第1四半期の3か月で7000台を販売。第2四半期以降はWebを中心とした認知拡大を続けることでさらなる拡販を目指していく。

 2022年から日本、欧州などの市場で販売している「CX-60」は第1四半期の3か月で1万3000台を販売し、各市場で販売台数増に貢献している。7月からはオーストラリアでも販売をスタート。豪州市場初のラージ商品としてブランド力向上、販売増をけん引することを期待しているという。

 米国生産モデルとして2022年1月から量産をスタートさせた「CX-50」は、アラバマ工場での生産体制が7月から昼夜2直体制に移行。第1四半期の3か月で1万2000台を販売しており、販売開始以降も強い引き合いが続いて高回転の販売を継続しており、生産強化によってさらなる販売増を見込んでいる。

「CX-90」「CX-60」などの販売状況
「CX-50」は米アラバマ工場での2直生産体制が7月からスタートした

 電動化に向けた取り組みでは、ロータリーエンジンを発電機として利用するマツダ独自のシリーズ式プラグインハイブリッドモデル「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」の生産を6月から開始。電動化に向けたマツダのマルチソリューションの一手となっている。

 同じく6月には、電動化の中核となるバッテリに関する中長期的パートナーシップ構築に向けた検討でパナソニック エナジーと合意。2025年~2027年を予定する電動化Phase2以降に導入予定となっているBEV(バッテリ電気自動車)に搭載する車載用円筒形リチウムイオンバッテリの供給を視野に入れて協議を進めていくとした。

電動化に向けたマツダの取り組み

為替が円高に推移して当期純利益は減益になる見込み

マツダ株式会社 代表取締役 専務執行役員兼CFO ジェフリー・H・ガイトン氏

 6月からマツダの代表取締役 専務執行役員兼CFOに就任したジェフリー・H・ガイトン氏は通期見通しについて報告。

 通期見通しは財務指標、台数見通し共に変更は行なわないものの、中国市場、アセアン市場については販売の改善が必要となっており、これから第2四半期までの取り組み、実績などを踏まえて中間決算のタイミングで通期見通しの見直しも検討するとした。とくに中国市場については、中国で急速に進んでいる電動化に対応するべく現地パートナーと対応を検討しており、撤退などは考えていないとアピールした。

 また、市況では為替が円高方向に推移することを想定。通期としては営業外で為替の評価損が出るとの見通し。前年は大幅な円安による為替評価益を背景に大きな営業外利益を計上しており、今期の評価損はこの裏返しとして当期純利益は前年から減益になると解説。それでも売上高営業利益率は過去5年間で最高の4.0%まで改善する計画で、2026年3月期目標の5%以上に向けて着実に進捗しているとした。

2024年3月期 通期見通しの総括

質疑応答

質疑応答で質問に答えるガイトン氏

 第1四半期3か月の売上高として1兆円を超えた今回の決算の受け止めを問われたガイトン氏は「今回の第1四半期では前年から販売台数が7万6000台増加しています。このように販売台数自体も大切な指標ですが、昨年は半導体供給の問題という要素がありましたので、そこからの改善という見方もできます。しかし、さらに重要なことは、市場シェアが拡大しているということです。北米市場の3か国に加え、欧州、豪州、日本でシェア拡大を果たしています」。

「また、売上高が伸びているという点については、ラージ商品の貢献も非常に大きなものとなっています。個別の利益については公開できませんが、ラージ商品の台あたり利益は一般的な商品と比較してほぼ2倍になっています。こういった要素が合わさったことで売り上げが拡大したと考えています」と回答。

マツダ株式会社 専務執行役員 藤本哲也氏

 同じ質問についてマツダ 専務執行役員 藤本哲也氏が補足を行ない、「売上高が第1四半期で1兆円を超えたということはかなりハイレベルな結果です。直前の第4四半期も1兆1305億円ということですが、販売台数は32万2000台。今回の第1四半期は28万6000台で1兆900億円ということなので、台あたりの単価改善など極めて高いレベルになっているかなと考えます。しかし、これには為替の追い風もありますので、この結果に油断することなくしっかりと売り上げを確保していくことがポイントになると思います」と説明した。