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BMW、2028年に量産モデル初のFCEV(燃料電池車)の生産開始 トヨタとの協力拡大

2024年9月5日(現地時間)発表

BMWの実証実験車両「iX5 ハイドロジェン」

 BMWは9月5日(現地時間)、2028年に量産モデルとして初めてとなるFCEV(燃料電池車)の生産を開始すると発表した。この量産モデルはBMWの既存の製品群に組み込まれ、既存モデルに関しても水素燃料電池に対応したバリエーションを追加する予定という。

 BMWグループは現在、ガソリンエンジン車、クリーンディーゼル車、プラグインハイブリッド車、48Vマイルドハイブリッド車、BEV(バッテリ電気自動車)など、複数のパワートレーンを提供している。

 その中でFCEVは新たなパワートレーンの1つとなり、BMWグループは2011年からトヨタ自動車と燃料電池車の基礎研究を共同で実施している。BMWグループとしては、2020年代後半に燃料電池車を市場投入する予定であることを兼ねてからアナウンスしており、その実現に向けてドイツやアメリカといった主要国で「iX5 ハイドロジェン」を走行させて実証実験を実施。日本でも2023年から公道での実証実験を行なっている。

 水素を燃料とする燃料電池車は、燃料の充填に時間をかけずに長距離走行を可能とするのが特徴の1つで、iX5 Hydrogen(ハイドロジェン)の場合、燃料である水素が空の状態から3分程度の充填で約500kmの走行を可能にしている。

 そうした動きの中、BMWとトヨタは両社の革新力や技術力を結集し、次世代の燃料電池技術の実用化を目指すと今回発表を行なった。水素社会の発展を目的に、ゼロ・エミッション技術を次のレベルに引き上げるために協力を拡大するという。

 BMWとトヨタは、商用車利用と乗用車利用の双方にシナジーを創出するコア燃料電池技術(第3世代燃料電池)を活用し、乗用車用パワートレーンシステムの共同開発を行なう。この協業の成果はBMWとトヨタ両社の車両に応用される。両社のFCEVモデルは各ブランドの独自性や特徴はそのままに、特色あるFCEVが選択可能になると期待されており、開発や調達部門での協業によりシナジーが実現し、パワートレーンユニットの共有が増加すれば燃料電池技術のコスト削減とFCEVの普及率向上につながるとの見通しを立てている。

 今回の発表について、BMW AGの取締役会会長であるオリバー・ツィプセ氏は「これは自動車の歴史における画期的な出来事であり、世界的なプレミアム・メーカーによって提供される初めての量産モデルです。水素のパワーとこの協業を原動力として、技術の進歩が将来のモビリティを形作ることを示していきます。そしてこれは、多くの人々が燃料電池車を求める時代の幕開けとなるのです」とコメント。

BMW AG 取締役会会長 オリバー・ツィプセ氏

 また、トヨタの代表取締役社長である佐藤恒治氏は、「BMWとトヨタの協業が新たなステージに入ることをうれしく思います。長年のパートナーシップを通じて、私たちはクルマづくりへの情熱と、BMWの『テクノロジー・オープンネス』、トヨタの『マルチパスウェイ・アプローチ』というカーボン・ニュートラルに向けた考え方を共有することを確認し合ってきました。これら共通の価値観に基づき、今後、次世代燃料電池システムの共同開発やインフラ拡充の取り組みなど、水素社会の実現を目指して協力関係を深めていきます。水素エネルギーが社会を支える未来を実現するべく、BMWとともに、そして産業を超えた仲間とともに取り組みを加速してまいります」と述べている。

トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 佐藤恒治氏