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ボルボ、1000TOPSの次世代SoC「NVIDIA DRIVE Thor」移行計画発表
2024年9月10日 13:59
- 2024年9月4日(現地時間) 発表
NVIDIAは9月4日(現地時間)、ボルボ(Volvo Cars)の新型バッテリEV(電気自動車)「EX90」に「NVIDIA DRIVE Orin」 SoC(システムオンチップ)が搭載されたことを明らかにした。
北米に向けて出荷している新型バッテリEV「EX90」は、車輪のついたインテリジェントなモバイルデバイスともいえるSUVで、レーダー、LiDAR、カメラ、超音波センサーなど、同社の先進のセンサースイートを搭載。NVIDIA DRIVE Orinは、リアルタイムで冗長性のある高度な360度サラウンドセンサーのデータ処理を可能としている。
NVIDIA DRIVE Orinは、「NVIDIA DriveOS」を実行し、切手サイズのパッケージで自動車グレードの機能安全を備えた高速処理を実現。このコア コンピューティング アーキテクチャは、安全運転支援機能の実現から自律走行機能の開発支援にいたるまで、すべての車両機能に対応しながら、安全で快適なユーザー体験をもたらすという。
Volvo Carsの次世代車両を駆動する「NVIDIA DRIVE Thor」
Volvo Carsでは、250TOPS(Tera Operations Per Second)を超える能力を持つ「NVIDIA DRIVE Orin」の搭載に続いて、将来を見据えて1000TOPSを誇る次世代のSoC「NVIDIA DRIVE Thor」移行計画も発表した。
「NVIDIA DRIVE Thor」では、処理能力をDRIVE Orin SoC 1基の4倍、エネルギー効率を7倍に向上させたもので、Volvo Carsでは10年以内に「NVIDIA DRIVE Thor」に移行する予定で、このコンピューターも「DriveOS」を実行し、将来の車両に搭載される予定。
NVIDIA DRIVE Thorは、最新の「NVIDIA Blackwell GPU」アーキテクチャを組み込んだ次世代の自動運転車用プロセッサとし、この先進的なプラットフォームにより、安全な先進運転支援システム(ADAS)と自動運転機能の展開を促進し、生成AIを活用した新時代の車内体験への道を開くという。
Volvo CarsがNVIDIAの次世代プロセッサに移行することについて、CEOのJim Rowan氏は、「将来、当社のクルマに NVIDIA DRIVE Thorを搭載すれば、製品ラインナップ全体で自社開発のソフトウェアの拡張性が高まり、継続的な車の安全性の向上とクラス最高の顧客体験の提供が可能となり、ひいては利益の向上にもつながるでしょう」とコメントしている。
クラウドの「NVIDIA DGX」へ戦略投資も
さらに、Volvo Carsでは、Volvo Carsとソフトウェア子会社Zenseactが、クラウドでのAIモデルのトレーニング用に「NVIDIA DGX」システムに投資していることを明らかにした。これにより、将来的にもっとも高度で十分にテストされたAIを活用した安全機能の車両搭載が可能に。また、次世代のAI搭載車両を安全にトレーニングするために必要な大量のデータを管理するには、データセンター並みのコンピューティング能力とインフラが必要となり、「NVIDIA DGX」システムは、これまでにない効率でAIモデルをトレーニングするために不可欠なコンピューティング性能を提供するとしている。
北欧にあるVolvo CarsとZenseactのAIトレーニング拠点では、このシステムを利用して、さまざまな側面からADASや自律走行ソフトウェアの開発を促進しようとしている。その主な利点は、物体を分類して認識するための識別とラベリングを必要とする時間のかかる作業であった、データ アノテーション プロセスが最適化されるとのこと。
NVIDIA DGXシステムのクラスターは、安全性を保障するために必要なデータの処理も可能なため、パフォーマンスを2倍に高めながら市場投入までの時間を半減できる可能性があるとしている。
Volvo Carsでエンジニアリングおよびテクノロジ責任者を務めるAnders Bell氏は、「NVIDIA DGX AI スーパーコンピューターは、私たちのAIトレーニング能力を飛躍的に向上させ、この社内のAIトレーニングセンターを北欧最大級のものにしています。NVIDIAのテクノロジを活用し、データセンターを設置することで、高性能なAIを迅速に実現するための道を開き、最終的に製品の安全性と性能を向上させるのに役立ちます」とコメントしている。