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ホンダ、インド工科大学デリー校とボンベイ校とAI技術の共同研究開始 協調人工知能「ホンダCI」を進化へ

2024年9月11日 発表

左から本田技術研究所 常務執行役員 小川厚氏、ホンダ・カーズ・インディア・リミテッド 社長 津村卓哉氏、インド工科大学 デリー校 Rangan Banerjee学長、Ambuj Sagar副学長

 本田技研工業は9月11日、インド工科大学(Indian Institutes of Technology)のデリー校とボンベイ校とともに、AI技術の共同研究を開始したと発表した。

 今回、ホンダのインド子会社Honda Cars India Limited(HCIL)がインド工科大学と契約を締結。共同研究については、HCILに加えホンダの研究開発子会社である本田技術研究所のエンジニアが参加する。

 両校とのAI技術の共同研究は、人と分かり合えるホンダ独自の協調人工知能「Honda CI(Cooperative Intelligence)」のさらなる進化を目指すもので、交通事故低減技術や自動運転技術への将来的な応用も視野に、共同研究を通じてCIの要素技術の進化に取り組んでいく。

インド工科大学 ボンベイ校 Milind Atrey副学長、K V Krishna Rao副学長、本田技術研究所 常務執行役員 小川厚氏、ホンダ・カーズ・インディア・リミテッド 社長 津村卓哉氏

 ホンダが取り組む協調人工知能「CI」の研究開発は、振る舞いや言葉を通じてコミュニケーションを図り、ユーザー・周囲の人と協調しながらユーザーを支える人工知能で、人とシステムが互いに理解し合い協調することで、複雑な交通環境などさまざまなシーンでの共存を目指すもの。いつでも、どこでも、どこへでも、人とモノの移動を「事故ゼロ」「ストレスフリー」で可能とし、「自由な移動の喜び」を一人ひとりが実感できる社会の実現を目指して、茨城県常総市では、CIマイクロモビリティを使用した技術実証実験を行なっている。

 今回の共同研究では、CIのさらなる進化を目指して、CIの要素技術である環境認識や協調行動生成などを研究テーマに設定し、最先端のAI技術を用いて研究開発が行なわれる。また、テーマごとに研究室の枠を超えて学生をマッチングし、計画・設計・開発・テストのフローを高速で回すことで、柔軟で自由度の高い方法で研究開発を進めていく。

 また、共同研究の一環として、デリー近郊およびムンバイにて運転支援や自動運転の技術検証が行なわれる。インドは多様な道路状況と多くの交通参加者が存在するため、AIが予測困難な状況が頻繁に発生する複雑な交通環境があり、このような技術的難易度の高い環境で技術検証を行なうことで、CIの要素技術を磨き、インドを含むさまざまな地域での運転支援や自動運転技術への将来的な応用を目指していく。

 インド工科大学はインドの国立大学で、デリー校とボンベイ校では多くの優れたIT技術者を輩出している。ホンダでは、2019年からインド工科大学卒業生を積極的に採用しており、CIの研究開発を含むモビリティの知能化領域を中心に活躍しているという。最先端のAI技術や自動運転技術を専攻するインド工科大学の学生との共同研究により、CIの研究開発を加速させるとともに、実践的な研究機会を提供することで将来のAI研究を担う人材育成にも貢献していく。